天神・警固公園地下で福岡アジア美術館の施設拡充、工事費140億円を想定
福岡アジア美術館が福岡市・天神の警固公園地下での施設拡充へ動き出します。老朽化や展示・収蔵スペース不足などの課題を解消し、アジア美術の新たな発信拠点が誕生します。
この記事の目次
福岡アジア美術館が警固公園地下に施設を拡充する理由とは?

福岡アジア美術館の魅力向上に向けて、警固公園地下への施設拡充を進める━━。
福岡市は2026年8月18日、警固公園地下への福岡アジア美術館の施設拡充に向け、基本設計を担う事業者の公募を始めた。
同年10月13日締切で一次審査提案書を受け付け、11月8日に一次審査、11月11日頃に一次審査の審査結果を通知する予定だ。
1999年にアジアの近現代美術作品を系統的に収集する世界で唯一の美術館として開館した当初、福岡アジア美術館の収蔵作品数は約1,000点だった。
四半世紀余りを経過した2025年、同館が収蔵する作品は、中国や韓国、シンガポールなど23カ国・地域の絵画や工芸品など約5,700点にも及ぶ。
福岡市経済観光文化局アジア美術館(魅力向上検討担当)が2026年6月にまとめた『福岡アジア美術館 施設拡充等基本計画』では、施設・設備の老朽化をはじめ、展示・収蔵スペース不足、市民や観光客が気軽に立ち寄れる場所としての認知不足を課題として指摘している。
同基本計画では、こうした施設課題を解消し、展示機能や集客・にぎわい機能を拡充するには、現在入居する博多リバレイン7階・8階の限られたスペースを再編するだけでは困難と判断した。
同基本計画では、新たな福岡アジア美術館の拡充先として床面積規模で7,500~9,000平方メートルを想定し、展示室の天井高4~5メートルが確保できることを前提条件に設定していた。
現館が入居する博多リバレインとの近接性や回遊性などを踏まえ、天神エリア周辺、博多駅エリア周辺、中洲川端エリア周辺を対象に、公有地を優先して候補地を選定。比較のため民間用地も加え、次の4カ所を評価した。
◎ボートレース福岡第4駐車場(公有地:総合評価32点/50点満点)
◎冷泉小学校跡地(同:同37点)
◎警固公園地下駐車場(同・既存利用:同46点)
◎天神・博多駅エリアの民間ビル内(民有地:同34点)
有識者の意見を踏まえて総合的に評価した結果、警固公園地下駐車場を拡充先として選定した。
警固公園地下駐車場は、1966年4月完成した地上1階・地下2階、鉄筋コンクリート造・ベタ基礎の構造物だ。
建築面積142平方メートルで、延べ床面積は1万916平方メートルとなっている。

委託設計費の上限価格1.9億円、工事費は140億円を想定

福岡市と福岡アジア美術館が2023年度から魅力向上の検討を重ねてきた内容をまとめたのが、『福岡アジア美術館 施設拡充等基本計画』だ。
同基本計画では、福岡アジア美術館の魅力向上の基本的な方針として、「アジア美術と出会い、その問いかけから、自分と世界を見つめる美術館」「交流を通じて、アジア美術の発展と福岡市の都市の魅力向上に貢献する美術館」とする。
今回、公募した業務名は、『警固公園地下への福岡アジア美術館の施設拡充に係る基本設計業務委託』であり、警固公園地下にある旧駐車場を活用した増改築のための基本設計だ。
主な参加資格として、2015年4月1日以降に延べ床面積1,000平方メートル以上の新築・増築・改築について基本設計または実施設計を手掛け、施設が完成した実績などを求めている。
選定方式としては、美術館の設計に対する考え方や提案内容、実績などを総合的に評価し、最も優れた設計者を選ぶ公募型プロポーザル方式を採用する。
一次審査では、下記の5項目について評価し、5者程度に絞り込む予定だ。
◎美術館の設計方針(配点30点)
◎まちの顔となる高い意匠性(同20点)
◎公園の魅力、価値の向上や美術館との一体化・相乗効果(同20点)
◎ユニバーサルデザイン、人と作品を守る高い防災性(同10点)
◎実績・実施体制(同20点)
その後の二次審査において公開プレゼンテーションを実施し、最も適した設計者を選定していくとする。
二次審査の評価項目は、下記の4項目だ。
◎アジア美術と出会い、楽しみ、学ぶ拠点づくり(同30点)
◎まちをつなぎ、人をつなぐ福岡の新たな顔の創出(同30点)
◎提案の実現性、持続可能性(同20点)
◎事業推進への意欲や地域との協働(同20点)
委託費の見積上限価格は1億9,198万円(税込)であり、工事費は約140億円(税込)を目安としている。
ただし、2026年3月時点の工事単価や想定床面積などに基づく概算で、公園など周辺整備の費用は含まれておらず、今後の設計や物価動向によって変更となる可能性がある。
新たな福岡アジア美術館の施設拡充先となる警固公園は、1951年度に開園した都市公園(近隣公園)であり、2012年12月に再整備された。
土地面積は1万1,380平方メートル、うち公園面積は1万1,156平方メートルとなっている。

福岡アジア美術館の拡充施設、現館、アーティストカフェ福岡の3拠点連動

今後、警固公園地下における福岡アジア美術館の施設拡充においては、既存の駐車場構造を再利用して展示空間として活用する。
そして、ギャラリーをはじめ、展示準備室やワークショップ室、ボランティア室、飲食スペース、ショップ、事務室などを設置する計画だ。
美術館スペースとして活用する地下駐車場の床面積は、約6,500~7,500平方メートルを想定している。
また、地下に美術館施設を設けるため、採光の工夫についても考慮していくという。
警固公園内に設ける福岡アジア美術館の施設拡充では、地上において搬入出口や一時保管庫、各種機械室などの管理運営上で最小限必要な諸室を配置するとともに、象徴的なエントランスについても検討する。
美術館として、地上での配置が望ましい施設の床面積は、約1,000~1,500平方メートルを想定。公園施設の建ぺい率も考慮しながら、地上部でのアート空間の展開についても検討を進める。

福岡アジア美術館は施設拡充後、警固公園地下の拡充施設、博多リバレイン7階・8階にある現館、舞鶴公園内のアーティストカフェ福岡の3拠点を連動させ、相乗効果を生かした運営を目指す。
3拠点がそれぞれ担う役割は、下記の通りだ。
◎福岡アジア美術館の拡充施設(警固公園地下)
福岡市・天神の中心に位置する警固公園地下に展開し、福岡アジア美術館の活動の中心として、アジア美術を見せる新たな発信拠点を目指す。
【導入する主な機能】
展示機能、学び・体験機能、にぎわい・集客機能
◎福岡アジア美術館(現館:川端)
これまでの福岡アジア美術館における活動実績や現在の施設環境を生かし、収蔵や調査研究機能を拡充する。
警固公園地下に設ける拡充施設の展示内容を支え、補完していく。既存の展示室を活用しながら、市民や美術活動者らにとっての文化発信の場とする。
【拡充、継続する主な機能】
展示機能、収蔵機能、調査研究機能、市民らの文化芸術活動の発表
◎アーティストカフェ福岡(舞鶴)
アーティストカフェ福岡では、アーティストの創造性を高め、チャレンジを支える場として、アーティスト・イン・レジデンス事業などの活動を支援していく。
【参照サイト】
福岡市経済観光文化局アジア美術館魅力向上検討担当『福岡アジア美術館 施設拡充等基本計画』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/faam-miryoku/business/documents/kihonkeikaku_aj.pdf
福岡市『警固公園地下への福岡アジア美術館の施設拡充に係る基本設計業務委託 公募型プロポーザル説明書』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/faam-miryoku/business/documents/01_setsumeisyo_0911.pdf
福岡市経済観光文化局アジア美術館『天神の中心、警固公園の地下空間を活用し、新しいアジア美術館を設計する事業者を募集します!』
福岡アジア美術館『【公募】福岡アジア美術館 施設拡充「基本設計プロポーザル」について』
https://faam-kego.jp/topics/proposal_detail/



