豚骨の街で愛される醤油ラーメン。東京の名店の味を受け継ぐ「らぁめん蔵持」

薬院駅から徒歩圏内、白金エリアで10年目を迎える「らぁめん蔵持」。豚骨ラーメン文化が根付く福岡では珍しい醤油ベースのラーメンや、まるでざる蕎麦のようにラーメンを味わう”ざる”を看板メニューに、地域の人々から長く愛されているラーメン店です。師匠から受け継いだ「お腹いっぱい食べてもらいたい」という想いを大切にしながら、街の日常に寄り添うお店づくりを続けています。今回は店主の泉修さんに、お店を始めたきっかけや受け継がれてきた味へのこだわり、そして白金エリアの魅力について話を聞きました。

店主プロフィール

泉 修さん/らぁめん蔵持店主。高校時代を福岡で過ごした後、上京しホテルマンの仕事に従事。50代で独立を決意し、東京の名店から受け継いだ「らぁめん」「ざる」を看板に、2016年に白金エリアで「らぁめん蔵持」をオープン。世代を問わず親しまれる一杯を提供し続けている。

 

 

 

ホテルマンからラーメン店主への挑戦

 

―まずはお店を始められたきっかけを教えてください。

 

泉:熊本県天草市の出身ですが、高校時代を福岡で過ごしていたこともあって、「いつか自分で商売をするなら福岡がいいな」という思いはずっとありました。

ただ、最初からラーメン屋になろうと思っていたわけではなくて、東京では長年ホテルマンとして働いていたんです。

 

 

―ホテルマンから一転、ラーメンの世界に入られたんですね。

 

泉:東京・新宿にある「らぁめん満来」というお店の味に出会ったことが大きかったですね。60年以上続くお店なんですが、その一杯に惹かれて、「この味を福岡でも届けたい」と思うようになりました。ラーメン店で働いた経験はほとんどありませんでしたが、師匠につきっきりでご指導いただいてオープンを迎えることができました。

 

 

 

―白金エリアに出店されたのはなぜだったのでしょうか。

 

泉:ラーメン店をやると決めてから物件を探し始めて、この場所と出会いました。当時は白金という街のこともよく知らなかったんですが、ご縁が重なって出店することになったんです。

 

最初はラーメン店向きの物件ではなかったんですが、「らぁめん満来」の名前をオーナーさんにお伝えしたところ、「東京のあの名店の味を福岡で食べられるんですか?それならぜひやってみましょう」と後押ししていただいて。そこから今のお店が始まりました。

 

 

 

ーリニューアルのタイミングで、たい焼きの販売も始められましたね。

 

泉:そうなんです。ちょうどお店を始めて7、8年経った頃に、地元天草の「まるきんたい焼き」を福岡でもやってみないかというお話をいただきまして。それがちょうどお店を改装しようと思っていたタイミングと重なり、「蔵持まるきん」をスタートすることになりました。

 

 

ーラーメンとはまた違う魅力がありますよね。

 

泉:そうですね。まるきんたい焼きは長く受け継がれてきた製法で作られていて、昔ながらの味わいが魅力です。ラーメンを食べた後に買って帰られる方も多いですし、たい焼きだけを買いに来てくださる近所の方もいらっしゃいます。

 

福岡では珍しかった“ざる”と特注麺へのこだわり

―らぁめん蔵持のメニューについて教えてください。

 

らぁめん 980円(2026年6月12日現在)

 

泉:うちの看板メニューは醤油ベースの「らぁめん」と「ざる」ですね。今でこそ福岡でも醤油ラーメンのお店は増えましたが、開業当時はまだ珍しかったと思います。

 

 

―「ざる」はどのようなメニューなのでしょうか?

 

ざる 1,030円(2026年6月12日現在)

 

泉:東京では昔から親しまれているつけ麺なんですが、福岡ではほとんど見かけませんでした。日本そばのざるそばのような感覚で、濃いめのつけ汁に麺をつけて食べていただいて、最後は割りスープで締めるスタイルです。

 

 

―「ざる」のスタイルもですが、麺も福岡ではなかなか見ることがない種類だと思いました。

 

 

泉:この麺は福岡ではあまり見かけない多加水麺なんです。水分を多く含んでいるので、やわらかさがありながらもしっかりコシがあります老舗製麺所「真鍋食品」の社長さんにお願いして、一緒に試行錯誤しながら今の形になりました。

 

 

言葉で説明するのは難しいんですが、「やわらかいけど強い」麺なんです。うちのざるには、この麺が一番合うと思っています。

 

 

 

毎朝ゼロから仕込む、師匠から受け継いだ味

―らぁめん蔵持のラーメンはどのような特徴がありますか?

 

泉:毎朝、鶏から出汁を取ってスープを作っています醤油ラーメンというと濃い味のイメージを持たれるかもしれませんが、うちは関東の醤油を使っているので、どちらかというとすっきりした味わいですね。

 

ただ、あっさりしているだけではなくて、鶏の旨みもしっかり感じてもらえると思います。最後まで飲みやすいスープを目指しています。

 

 

―メニューづくりで大切にしていることを教えてください。

 

 

泉:師匠から受け継いだ味を大切にしています10年近く作り続けて感じるのは、やっぱりスープが命だということですね。うま味を重ねたり派手な味にしたりするのではなく、具材がスープをじゃましないことを意識しています

 

 

毎朝ゼロからスープを炊いて、その日のうちに使い切る翌日に持ち越すことはありません。昼に食べるラーメンと夜に食べるラーメンでは少し印象も変わります。時間とともにスープが変化していくのも、このラーメンの面白さだと思います。

 

 

―蔵持のらぁめんと言ったら、大きなチャーシューが印象的です。

 

泉:チャーシューも毎朝仕込んで、その日のうちに提供しています。厚みがあって食べ応えもあるので、楽しみにしてくださるお客様も多いですね。

 

 

師匠からは「お客様にはお腹いっぱい食べてもらいなさい」と教わってきました。味はもちろんですが、量でも満足して帰っていただきたいという思いは今も変わりません。

 

 

―カレーも人気メニューだと伺いました。

 

 

泉:チャーシューを作る時に出る端材を使っているんです。特別なカレーではないんですが、昔から食べ慣れた家庭のカレーをイメージしています。ラーメンと一緒に注文される方も多いですし、カレーだけを目当てに来てくださるお客様もいらっしゃいますね。

 

 

 

子どもの成長を見守る、街に根付くラーメン店

―薬院・白金エリアにはどのような魅力を感じていますか?

 

 

泉:静かなんですが、年々面白いお店も増えてきていて、賑わいも感じられる街ですね。

 

お店の前には保育園があるんですが、毎日子どもたちの姿が見えます。開業当初に保育園児だった子たちが、今では高校生になっていたりするんですよ。親御さんと来ていた子が、一人で来るようになったり、彼氏や彼女と来たり。子どもたちからもらったお手紙は、今も大切にお店に飾っています。そういう成長を見守れるのは本当にうれしいですね。

 

10年続けてこられたからこそ見られる景色だと思います。

 

 

―薬院・白金エリアで泉さんがよく利用されるお店を教えてください。

 

泉:記念日など特別な日や他県からお客様をお迎えするときには、やまやさんが運営されている「やまや総本店 膳」さんによくおじゃましています。庭を眺めながら食事ができる素敵なお店なんです。

 

ランチタイムからイカの活き造りを楽しめることで人気の「宝祥」さんは料理がどれも美味しくて好きですね。あとは、「和がし 圓左」さんのお弁当もよく利用しています。体に優しい料理が魅力で、忙しい時にも助かっています。

 

このエリアには個人店ならではの魅力を持ったお店が多くていい街だなと思いますね。

 

 

 

変わらない一杯を、これからも

―最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

 

泉:子どもからご年配の方まで、どなたにもお腹いっぱい食べていただけるラーメンを目指してやってきました。ありがたいことに、この街でたくさんの方に支えていただいています。

 

うちのラーメンは、師匠から受け継いだ60年以上続く味がベースです。これからも変わらない一杯を大切に作り続けていきたいですね。

 

今は少しお休みしていますが、朝ごはんやたい焼きも、また時期を見ながら再開できればと思っています。再開の際はInstagramでもお知らせしますので、楽しみにお待ちいただけるとうれしいです。

 

初めての方も、久しぶりの方も、ぜひ気軽に足を運んでください。

 

 

 

店舗情報

住所:福岡県福岡市中央区白金1-10-5

アクセス:薬院駅より徒歩9分

営業時間:11:00~21:00

定休日:水曜日

Instagram:@kyusyukuramochi

 

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