旅先の記憶を一杯に。「縁と氷」で味わう、季節を映したかき氷

薬院駅から徒歩9分、白金エリアの一角にある「縁と氷」。こちらのお店は、大将の松永倫明さんと女将の水町凪沙さんのお二人で営むかき氷店です。2020年6月から間借り営業をスタートし、クーラーボックスひとつで会場を巡る移動販売を経て、今の店舗にたどり着きました。

「縁と氷」のメニューの原動力になっているのが、”旅”です。旅好きのお二人がこれまでに訪れた、スペインやバスク地方、沖縄、香港などの土地で出会った食材や香りが、そのままかき氷のヒントになっています。

旅先で得たインスピレーションと、旬の果物やお茶、香りの素材。それらが重なって生まれる一杯には、今を逃すと次はいつ出会えるか分からない楽しさがあります。沖縄で食べたパッションフルーツのかき氷から着想を得て、さんぴん茶と組み合わせたメニューを作ったり、香港で買い付けたお茶を桃のかき氷に取り入れたり。熊本のチャイ職人に依頼したオリジナルブレンドのチャイマサラを使ったメニューも人気なのだとか。

かき氷に使用するシロップは、基本的に店内で手作り。果物によって、加熱するもの、フレッシュな香りを生かすものなど、仕込み方を変えています。
農家から直接仕入れたり、自ら食材を探しに出かけたりすることもあり、その時期に本当に使いたいものを選んでいます。人気のメニューは早いもので1週間ほど、長くても1ヶ月ほどで新しいものへと移り変わっていきます。

最初にいただいたのは、開業当初から愛される定番メニュー「苺ピスタチオ(1,800円)」。鮮やかないちごの赤とピスタチオの緑が映える、華やかな一杯です。
氷はふわふわで、口に含むとすっとほどける軽やかさ。外側には生クリーム、中にはレアチーズクリームを使い、場所によって異なる味わいを楽しめるように仕立てられています。

濃厚なミルクの甘みといちごの酸味を味わいながら食べ進めると、中から香ばしいピスタチオが登場。
ザクザクとした食感がアクセントとなり、柔らかな氷とのコントラストを楽しめます。見た目にはしっかりとしたボリュームがありますが、甘さと酸味、食感のバランスがよく、気づけば一杯をペロリと完食していました。

次にいただいたのは、韓国の夏のデザート「ファチェ」をイメージした「西瓜ファチェ(1,800円)」。取材時には、黄色スイカを使った自家製シロップが使用されていて、涼しげな色合いが印象的な一杯です。

みずみずしく爽やかなスイカの風味に、仕上げの塩が甘みを引き立てます。見た目はシンプルながら、氷の中にはスイカや自家製杏仁豆腐、フルーツポンチなどがザクザク入った、遊び心のある一品。

スプーンを入れる場所によって異なる果物や食感が現れ、まるでフルーツポンチを食べているよう。最後まで「次は何が出てくるだろう」と、わくわくしながら味わえました。

「縁と氷」に並ぶのは、その季節、その時期だからこそ作れるかき氷です。

メニューの入れ替わりも早いため、目当ての一杯がある場合は、早めの来店がおすすめ。暑い日に涼を求めるだけではなく、まだ知らない味の組み合わせに出会いに、「縁と氷」を訪れてみてはいかがでしょうか。
【縁と氷】
住所:福岡市中央区白金1-10-5 2F
アクセス:薬院駅より徒歩9分
定休日:不定休
Instagram:@en_to_kori ※ご予約はInstagramのDMより前日までに
ヨーロッパで出会った文化を福岡へ。白金「パティスリー グラシエ アセット」のアイスクリーム

薬院駅から徒歩9分、白金交差点に店を構える「パティスリー グラシエ アセット」は、パティシエの技術でアイスクリームやアイスケーキを手がける、日本ではまだ珍しいスタイルのお店です。
店主でパティシエの本田拓三さんがアイスクリームに惹かれたのは、ヨーロッパでの修業時代でした。最初に修業先として決まったベルギーの店では、アイスクリームやアイスケーキも扱っていたことに驚きつつ、ヨーロッパ、特にフランスやベルギーでは菓子店がアイスも一緒に手がけているケースが意外と多いことを知ったのだそう。


店名にある「グラシエ」は、フランス語でアイスクリーム職人を表す言葉。パティシエでありグラシエでもある本田さんがアイスクリームのおいしさを語るうえで、特に大切にしているのが「舌触り」です。スプーンですくい、口に含んだ瞬間から柔らかくほどけていきます。そのなめらかな食感や、口の中で溶けていく速度まで含めて、アイスクリームのおいしさだと考えています。

中でもアイスケーキは、生地やマカロン、チョコレートなどを組み合わせて作る、まさにパティシエの技術が生きる分野だといいます。


アセットのアイスは素材選びの姿勢が随所に現れています。ベースに使う牛乳と生クリームは、フレーバーに合わせて九州産と北海道産を使い分けています。本田さんが道の駅などへ足を運び、そこで出会った福岡や九州の食材を新しいフレーバーに取り入れることも。旬が短い果物や、今しか手に入らない素材を使った商品もあるため、ショーケースの内容は季節によって変化します。

フレーバーは、オーソドックスなものと、少し意外性のあるものをバランスよくラインナップ。今回は本田さんにダブル(648円)を2組セレクトしていただきました。どちらのアイスにももくもくとした雲のようなメレンゲがトッピングされています。

まずは「赤しそ&白桃」と「ショコラ」から。

鮮やかなピンク色が目を引く「赤しそ&白桃」は、白桃のすっきりとした甘さに、赤しその爽やかな酸味と香りが重なるシャーベットです。果実の甘みはありながら、後味はさっぱり。夏らしい軽やかさがあります。

「ショコラ」は、チョコレートの濃厚なコクをしっかり感じられる味わい。パリパリとしたチョコレートと、優しい甘さのサクサクとしたメレンゲが加わり、なめらかなアイスの中に楽しい食感を生み出しています。
チョコレートのコクと果実のさっぱりとした味わいが調和し、単体で食べたときとは異なるマリアージュを楽しめました。

2つ目は、「クリームチーズ ノルマンディ」と「あまおうオレ」の組み合わせ。
「クリームチーズ ノルマンディ」は、濃厚でまろやかなチーズの風味を楽しめるフレーバーです。レアチーズケーキにレモンを合わせる発想から、自家製のレモンクッキーをトッピング。濃厚なチーズに爽やかな酸味とサクッとした食感が楽しめます。

使用しているのは、フランス・ノルマンディー地方で製造したクリームチーズ。環境に恵まれた海外の地で作り、日本に輸入をするその製造スタイルに感銘を受けた本田さんが、ぜひ使いたいと選んだ素材で作ったのが「クリームチーズ ノルマンディ」です。

合わせた「あまおうオレ」は、いちごの酸味と果実感をしっかり感じられるミルクアイス。あまおうそのものを味わっているような甘酸っぱさに、ミルクのコクが柔らかく重なります。二つを一緒に味わうと、いちごのレアチーズケーキを思わせるような、新しい表情が広がりました。

店頭ではカップに入ったお持ち帰りのアイスも販売中。お中元にもおすすめです。

本田さんの作るアイスは、実際に味わうと、どのフレーバーも口溶けが柔らかく、濃厚なものでも重さを残しすぎない仕上がりでした。なめらかな口溶けに、クッキーやメレンゲの食感、二つの味が重なったときの変化まで、最後まで飽きずに楽しめます。
ヨーロッパで出会った文化を、福岡らしい素材や感性で届ける「パティスリー グラシエ アセット」。この夏は、気になるフレーバーを見つけに訪れてみてはいかがでしょうか。
【パティスリー グラシエ アセット】
住所:福岡市中央区白金2-15-1 白金ビル1F
アクセス:薬院駅より徒歩9分
営業時間:10:00〜19:00
定休日:火曜日他、不定休あり
Instagram:@p_g_a7
※最新の情報は公式アカウントをご確認ください。
技術と表現力が光る、大人のためのパフェ専門店「amber」

薬院大通駅から徒歩1分、薬院大通り沿いのビルにある「amber」。店主の森川直樹さんはパティシエとして大阪で学び、フランスの有名店やレストランでの経験を経て、東京ではカウンタースタイルの人気デザート店などで研鑽を積んできました。

2025年のオープン以降、森川さんがパフェ作りで大切にしているのは、季節感と「パティシエらしいパフェ」であること。フルーツを主役にしたパフェではなく、細工や表現といった技術そのものを見せるパフェを志しています。着想源は映画や音楽など、日常のさまざまなインスピレーションから得るのだとか。

パティシエが作るパフェならではの魅力について尋ねると、「繊細な細工や表現力、そしてフルーツを美味しく加工する技術」と森川さん。コンポートなど、フルーツそのものの味を引き出す加工技術はパティシエならでは。

さらに、食感のバランス設計にも余念がありません。噛んだときに香りがどう抜けるかや、パーツごとの硬さのバリエーションまで綿密に計算されており、最後の一口まで飽きずに、そして食べ終えたときに心地よさが残るように組み立てられています。

最初にいただいた「黒蝶ダリア〜ピスタチオとチョコのパフェ〜(2,200円)」は、Adoの楽曲『ギラギラ』からインスピレーションを受け、誕生した一皿。見方次第で美しく見えるという世界観から、赤黒い花を咲かせる「黒蝶」という品種のダリアを表現しています。

花びらは一枚ずつ手作りのチョコレートで、重たくなりすぎない枚数を見極め、見た目と味のバランスを両立。ビターなチョコレートにピスタチオの香ばしさとベリーの酸味が重なり、パリッとした食感やなめらかなクリームが層になって現れる、食べ進めるほど表情を変える一皿でした。

続いていただいたのは、夏限定の「桃のかき氷風パフェ(2,200円)」。桃のコンポートやシャーベット、ココナッツとラベンダーのグラニテ、クリームチーズ、メレンゲなど数多くのパーツで構成され、香りの強さや広がるタイミングまで計算されています。

同じ桃でも生の果実、コンポート、シャーベットではまったく異なる表情を見せ、熟し具合に左右されすぎないよう香りやソースで味を補いながら仕上げられています。冷たいパーツを使いながらも冷たすぎず、素材の甘さや酸味、香りを丁寧に確かめながら食べ進められる、上品な満足感のある一皿でした。

杏と桃のパフェ(長野県)
amberでは季節メニューに加え、旬の短い果物や希少な品種を使った数日限定のイベントも開催。全国の農家から果物を直接仕入れ、長野県の生あんずや高知県のライチなどを使用しています。

ライチのパフェ(高知県)
輸送の都合で九州には入りにくい果物が多いと知り、自ら仕入れて伝えたいという思いから始まった企画です。届いた果物はその日のうちに味を確認して撮影まで済ませ、翌日には提供を始めることも。提供期間は4〜5日ほどと短く、その時季にしか出会えない一皿です。

店内では、森川さんが手がけるケーキや焼き菓子も販売されています。パフェ同様店内でケーキを味わうこともできます。

ケーキの気分の日や、パフェと一緒に持ち帰りのお菓子を選びたい日など、訪れるたびに違った楽しみ方ができるのも魅力です。

一目見たときの美しさ、スプーンを入れて現れるパーツ、噛んで鼻へ抜ける香り、食べ終えたときの心地よさ。食べ進める時間そのものを楽しむデザートは、季節や果物が変われば物語も変わります。その時だけの素材と技術が出会う一皿を、五感でゆっくり味わってみてください。
【amber】
住所:福岡市中央区薬院2-1-5 OAK VILLA BUREAU薬院大通 301
アクセス:薬院大通駅より徒歩1分
営業時間:12:30〜21:30(L.O)
定休日:火曜日他、不定休あり
Instagram:@amber_fukuoka
※席が9席(カウンター5席、テーブル4席の小さなお店のため、3名様以上は予約推奨)
※最新の情報は公式アカウントをご確認ください。
今回紹介した3店は、それぞれ異なるアプローチで“涼”を届けてくれるお店ばかり。薬院・白金エリアには、それぞれの個性が光る“ひんやりスイーツ”が揃っています。本格的な夏を前に、身体も心もほっとひと息つける涼しい時間を過ごしに、ぜひ足を運んでみてください。








