パークPFI

【 福岡の経済・ビジネス事情 】

『パークPFI』で公園と都市の価値を上げていく、福岡の魅力的な公園づくり

大濠公園、天神中央公園、西公園、明治公園、清流公園、東平尾公園、海の中道海浜公園……。都市のオアシスともいえる都市公園では最近、魅力的な施設や飲食店・ショップを整備する計画や工事が目立っています。〝稼げる公園〟へのリニューアルとしても注目を集めるパークPFIについて注目していきます。

日本での公園開設は今年で150周年!

【画像】パークPFI東京・芝にある三縁山増上寺(画像提供:寺崎正勝氏)

日本における公園制度の始まりは1873年、府県に出された太政官布告第16号に起因し、今年で150周年を迎える。
そして、東京府(当時)に浅草(金竜山浅草寺)、上野(東叡山寛永寺)、芝(三縁山増上寺)、深川(富岡八幡社)、飛鳥山が誕生した。

 

 

もっとも、5公園の開設以前に『公園』を名乗った施設として、横浜の山手公園(1870年開設)がある。
もっとも同施設は横浜に居留する外国人が開設し、利用者も外国人限定であり、今日の公園と異なる存在だった。

 

 

太政官布達による公園開設後、西南戦争が終結した1878年までの5年間で国内に67カ所の公園が設けられた。
公園が急速に普及した背景として、明治期における都市化の進展が挙げられる。
特に20世紀以降、公園は社会インフラとして脚光を浴びる存在となり、19036月に日本初の洋式公園として日比谷公園を整備した。

 

 

世界的にみて、誰でも無料で利用できる公共空間としての『公園』は、近代に入って登場した。
たしかにそれ以前、人々が憩いを求めて集まる緑地では、利用者を制限したり、利用料を徴収したりするなど私的に管理されたところが多かった。

 

 

一方、19世紀のイギリスでは、市民革命を通じて〝誰もが無料で利用できる公共の空間〟としての公園という概念が生まれた
そして、貴族が所有していた庭園や狩り場などが憩いの場として、市民に開放されていくようになった。
今日、公園の起源とされるのは、イギリスのイングランド北西部にある『バーケンヘッド・パーク』だ。バーケンヘッド・パークは1847年、〝自治体が運営する市民のための公園〟として、都市計画の一環で開発されたという経緯がある。

 

 

公園管理の3手法。指定管理者制度、設置管理許可制度、パークPFI

【画像】パークPFI

出典『都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン』

 

国土交通省『都市公園データベース』によると、20223月時点で日本には、11万3,828カ所の都市公園などがあり、その面積は13万352ヘクタールにも及ぶ。
そして、 一都市公園の面積は1.15ヘクタールであり、人口一人あたりでの都市公園等面積は 10.8平方メートルとなる。

 

 

今日、都市公園は、地域住民にとっての憩いの場であり、子どもの遊び場や災害時の避難場所などの機能もあり、道路や港湾と同じく必要不可欠な公共インフラだ。
その一方で少子・高齢化が加速して、財政面で課題を抱える自治体も少なくない。
このため、公園の整備や維持管理に予算面で手が回らないことも多くなっている。
このような状況下、官民連携による主な公園管理の手法として、指定管理者制度、設置管理許可制度、パークPFI事業が挙げられる。

 

 

指定管理者制度

指定管理者制度は、公園全体の管理を民間事業者らに委ねる手法だ。
民間のノウハウや活力を用いた、利用者向けのサービス向上や維持管理コストの削減などがメリットとして挙げられる。
その半面、指定期間が35年と短く、民間事業者にとって長期的な投資を実行しづらいという課題もある。

 

 

設置管理許可制度

設置管理許可制度は都市公園法で定めた手法であり、公園内に民間事業者の施設(売店、飲食店など)を設置・管理できる制度だ。
設置する施設は、公園利用者へのサービス向上を目的とする。
施設の建蔽率で最大2%、設置管理許可期間の上限10(更新可能)だ。
同じ公園内でも公園全体を管理する民間事業者と公園内の施設だけを設置・管理する民間事業者が異なる場合もある。

 

 

パークPFI 

パークPFIとは、2017年の都市公園法改正で創設された制度だ。
公園管理者が公募で民間事業者を選定し、公園内に独立採算可能な収益施設の設置・管理を認める。
許可期間は上限20年、建蔽率は上限10%まで上乗せ可能だ。
設置する施設は、公園利用者へのサービス向上を図ると共に収益の一部を公園整備費用に還元していく。
なお、パークPFIは都市公園法を論拠法とし、通常のPFIPFI推進法に基づく。

 

 

日本初のパークPFIは北九州市の勝山公園、国営公園初は海の中道海浜公園

(画像)パークPFI

北九州市ホームページ「勝山公園鷗外橋西側橋詰広場における便益施設の供用開始について」の「施設状況」の中の写真画像「対岸からの施設全景」(画像提供:北九州市)

 

最近、〝稼げる公園〟へのリニューアルとしても注目を集めるパークPFIを日本で最初に導入した事例は、福岡県内の公園だった。
北九州市小倉北区城内にある『勝山公園』が、パークPFIの第1号だ。
敷地面積約20ヘクタールの同公園のうち、紫川に架かる鷗外橋西側にある0.32ヘクタール橋詰広場で2018年7月、『珈琲所コメダ珈琲店』がオープンした。
公園設置者である北九州市は当初、設置管理許可制度で開設する方針だった。
検討途中に都市公園法の改正があり、パークPFIを導入したという経緯がある。

 

 

一方、国営公園において日本で初めて、パークPFIを採用したのは、福岡市東区にある国営公園『海の中道海浜公園』だ。
敷地面積350ヘクタールと広大な海の中道海浜公園では2022年3月、公園一体型宿泊施設『INN THE PARK福岡』をパークPFI制度で開業した。
なお、海の中道海浜公園の西側にある水族館『マリンワールド海の中道』、ホテル『ザ・ルイガンズ』は、通常のPFI事業で整備運営されている。

 

 

【福岡県】大濠公園、天神中央公園、西公園でパークPFIを導入

福岡県内における都市公園の数は2022年3月末現在、県営都市公園9カ所を含めて6,244カ所となっている。
福岡県として最初に手掛けた天神中央公園の西中洲エリアは、国土交通省『Park-PFI等の制度活用状況』によると、全国で5番目のパークPFIの導入事例となっている。

 

 

天神中央公園(西中洲エリア)

【画像】画像提供:福岡県

『天神中央公園』西中洲エリア(画像提供:福岡県)

 

天神地区のオフィスワーカーらにとって、〝都会のオアシス〟といえる『天神中央公園』は、天神エリアと西中洲エリアで構成されている。
このうち西中洲エリアは2019年8月、パークPFIを活用した事業として、飲食施設『HARENO GARDEN EAST&WEST』」(ハレノガーデン イースト&ウエスト)をオープンさせた。
今後、アクロス福岡の南側である天神中央公園の天神エリアにおいてもパークPFIで〝飲食機能を有する常設の公園施設〟として賑わいを創出していく予定だ。

 

大濠公園(大濠テラス)

【画像】『大濠公園』内にある『大濠テラス』

『大濠公園』内にある『大濠テラス』

 

全国有数の水景公園である大濠公園では、設置管理許可制度とパークPFIを併用している。
公園管理者である福岡県では、『レストラン花の木」や『スターバックスコーヒー大濠公園店』、『ボートハウス大濠パーク』を設置管理許可制度で開業した。
一方、パークPFIで園内の日本庭園整備に伴って、八女茶をテーマとした飲食施設『大濠テラス』を2020年9月にオープンした。
同施設は、公園としての利便性や魅力の向上を図ると共に管理と運営を行っている。

 

西公園

【画像】画像提供:福岡県

画像提供:福岡県

 

毎年春、約1300本の桜が咲き誇り、『日本さくら名所100選』にも選ばれている『西公園』は、パークPFIで〝にぎわいのある魅力的な公園〟へ生まれ変わっていく
大型遊具などの遊び環境や飲食施設などの休憩機能の充実を図ることで「にぎわいの核をつくる」。
パークPFIで展望台の設置や樹木の整理による眺望確保や、樹勢回復やライトアップを通じて「魅力を磨く」。
さらに周回歩道や駐車場の拡張などで回遊性やアクセス性の向上を図ることで「つながりを強化する」方針だ。

 

                        ◇   ◇       

      

福岡県において都市公園の整備・管理を担当する福岡県建築都市部の橋本晃公園街路課長は、パークPFIによる公園整備について、次のように語る。

 

 橋本晃課長

福岡県では、『福岡県行政改革大綱(平成29年3月)』に基づき、公共施設の整備において「民間の技術・ノウハウ、資金等の活用(PPP/PFIの活用)により、建替えや維持管理に係る費用の削減等を図るとともに、地域の活性化及び地域における民間の事業機会を創出する」としています。

公園の整備においても民間事業者向けサウンディングなどを行い、パークPFIを活用しています。

 

【画像】福岡県建築都市部の橋本晃公園街路課課長(左)と火山太課長技術補佐(右)

福岡県建築都市部の橋本晃公園街路課課長(左)と火山太課長技術補佐(右)

 

【福岡市】明治公園、清流公園、東平尾公園でパークPFIを導入

福岡市内には2023年4月1日現在、都市公園法の対象となる都市公園は、1,688公園ある。

福岡市では、管理運営を見据えたうえで民間活力を最大限引き出すことを目的として、パークPFI事業に加えて、公園施設整備事業、管理運営事業を一括して実施する事業者を公募しており、事業手法上での特色の一つになっている。
福岡市管理公園におけるパークPFIを活用した第1は、20238月に優先交渉権者が発表された『明治公園』『清流公園』『東平尾公園(大谷広場)』の3公園となる。

明治公園

【画像】画像:福岡市発表資料より

画像:福岡市発表資料より

 

都心再開発『博多コネクティッド』でビル更新が進む博多駅前に位置するのが、明治公園だ。
パークPFIで今後、新たな「体験」・「にぎわい」・「回遊」の〝ゲートウェイ〟(玄関口)となる公園に整備していく。
今回、大阪・関西万博2025のプロデューサーであり、太宰府天満宮仮殿でも知られる建築家の藤本壮介氏を総合デザイン監修者に起用。
樹木と建築を一体とした新たなランドマークとなる明治公園は、福岡市のFitness Cityプロジェクトに連動して〝おもわず上りたくなる階段〟と〝歩きたくなる立体回廊〟を設ける。

 

 

清流公園

【画像】画像:福岡市発表資料より

画像:福岡市発表資料より

那珂川沿いの清流公園は、昭和通りからキャナルシティ博多まで南北に細長く広がっている公園だ。
清流公園は、複合商業施設キャナルシティ博多に近い『南側エリア』、迂回路橋を賑わい空間として暫定整備した『橋上エリア』、春吉橋から昭和通りまでの那珂川に面した『北側エリア』で構成する。
福岡市の『リバーフロントNEXT』を踏まえ、水辺のロケーションを生かした公園に整備していく。
建築を生かした照明計画により、リバーフロントエリアの新たな夜の象徴や水と光のスペクタクルショーも計画する。

 

 

東平尾公園(大谷広場)

【画像】福岡市発表資料より

画像:福岡市発表資料より

福岡空港東側に位置する東平尾公園は、陸上競技場をはじめ球技場やテニスコートなどの多彩なスポーツ施設やレクリエーション施設を備えた総合公園だ。
今回の東平尾公園(大谷広場)でのリニューアル事業では、福岡市の『Fukuoka Green NEXT』を踏まえ、利用者が自然と森の魅力に気づいて体感する公園として整備し、すべての人に優しい公園の実現を目指す。
エリアごとに難易度や特色の異なる遊び場を設け、その遊び場が『わ』となることで自分に合った場所を遊びながら見つけていくとする。

 

                        ◇   ◇        

   

福岡市においてパークPFI制度の推進を担当する福岡市住宅都市局公園部の小島ゆいParkPFI推進課長は、次のように語る

 

小島ゆい課長

福岡市では、公園利用者の利便性向上と公園の魅力向上を目的として、『市政の推進』『公園の価値向上』『地域ニーズへの対処』という視点で、パークPFI制度の活用を推進しております。

今後も公園の特色や地域ニーズに応じて様々な制度を活用し、魅力あふれる公園づくりに取り組んでいきたいと思います。

 

【画像】福岡市住宅都市局公園部Park-PKI推進課の長野貴之推進第1係長(左)と小島ゆいPark-PKI推進課長(右)

福岡市住宅都市局公園部Park-PFI推進課の長野貴之推進第1係長(左)と小島ゆいPark-PFI推進課長(右)

今後、公園はどのように変わっていくのか

社会インフラの一つである公園を巡っては、指定管理者制度、設置管理許可制度、パークPFIという、民間の活力を生かした管理手法が登場している。
このような状況を専門家は、どのように見ているのだろうか。
景観設計や公共空間のデザインなどを専門にしてパークPFIにも詳しい福岡大学工学部社会デザイン工学科の柴田久教授は、次のような見解を示す。

 

 柴田久教授

厳しい財政状況下、公園を〝稼ぐ場〟にしていきながら、公園の維持管理を図っていくことが、パークPFIの基本的な考え方です。

パークPFIにおける成功とは、来園者がさらに増えて、経済的にもプラスになるということだけではありません。

一連の経済活動や情報発信などを通じて、地域住民の方々にも公園としての魅力や価値に気づいてもらい、周辺エリアや地域社会に対して新たな波及効果をいかにもたらすことができるかが、重要なポイントになると考えています。

 

【画像】福岡大学工学部社会デザイン工学科の柴田久教授

福岡大学工学部社会デザイン工学科の柴田久教授

 

パークPFIの対象になり得るのは、都市公園のうち一定の規模と集客力のある〝稼げる〟都市公園に限られる
平均面積で1ヘクタール強の日本の都市公園の大半は、街なかにある小規模な公園だ。
民間の活力を生かした公園の管理手法としては、指定管理者制度が登場し、その後に設置管理許可制度が導入され、さらにパークPFIも誕生した。
今後、身近な小規模の都市公園に対しても民間活力による新たな公園管理手法の登場が期待される。

 

 

参照サイト

国土交通省『都市公園の質の向上に向けたPark-PFI活用ガイドライン』
https://www.mlit.go.jp/common/001197545.pdf

 

国土交通省『都市公園データベース』
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/content/01_R02.pdf

 

ホームメイトパブリネット『公園の歴史』
https://www.homemate-research-park.com/useful/15481_facil_002/#:~:text=%E5%85%AC%E5%9C%92%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%BA%90%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C,%E8%A8%BC%E3%81%A7%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

 

桜草数寄
http://sakuraso.jp/house/modules/hachi/index.php?content_id=25

 

北九州市『勝山公園鷗外橋西側橋詰広場における便益施設の供用を開始しました』
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/kensetu/05900156.html

 

国土交通省『Park-PFI等の制度活用状況(第1回検討会資料の更新版)』
https://www.mlit.go.jp/toshi/park/content/001489962.pdf

 

福岡県『統計情報アーカイブ > F・ポジション (文化・スポーツ、居住)』
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/dataweb/fposition4.html

 

福岡県『福岡県行政改革大綱(H29~R3)』
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/156407.pdf

 

福岡市みどり経営基本方針
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/107665/1/midorikeieikihonnhousin.pdf?20230323130441

 

 

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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