大学がある街・大橋。九州大学「芸工祭」で、学生がつくる音と光と空間に出会う
大橋駅から歩いて約5分。買い物や食事でにぎわう駅周辺のすぐ近くに、九州大学大橋キャンパスがあります。1968年に開設された九州芸術工科大学を前身とし、現在は芸術工学部などの学生が、芸術と工学を組み合わせたデザインを学んでいます。その学びから生まれる多彩な表現に触れられるのが、学園祭「芸工祭」です。今年は10月30日(金)から11月1日(日)の3日間で開催されます。音楽や映像、ファッション、空間演出など、多彩な表現を地域の人も楽しめるこのイベントを通して、大学がある大橋の魅力を探ります。
この記事の目次
芸術と工学を学ぶ場所。九州大学大橋キャンパスとは

大橋キャンパスの歴史は、1968年に開設された「九州芸術工科大学」にさかのぼります。
2003年に九州大学と統合し、現在の芸術工学部・大学院芸術工学府へと受け継がれてきました。
芸術と工学の両面から、人の暮らしや社会をよりよくするデザインを学ぶ芸術工学部。
現在は「環境設計」「インダストリアルデザイン」「未来構想デザイン」「メディアデザイン」「音響設計」の5つのコースがあり、学生は空間や製品、映像、音など、幅広い領域を学んでいます。
2026年5月1日時点で、芸術工学部には954人、大学院芸術工学府には482人が在籍しています。
キャンパスのうち、食堂「Manly」と図書館は一般の人も利用できますが、教室や実験施設には通常、大学関係者しか入れません。
ただ、地域の人が学生の学びや研究に触れられる機会も、年に何度か設けられています。
その一つが、毎年6月頃に行われる施設公開です。
教室や実験施設の一部を開放し、展示やワークショップ、体験ブースを用意。2026年の「デザインのふしぎ体験」には、子どもから大人まで1,069人が来場しました。
そしてもう一つが、この記事で紹介する芸工祭です。
音も、光も、空間も。学生がつくる「芸工祭」
芸工祭は九州芸術工科大学の時代から続く学園祭で、統合後の2003年から数えて今年で23回目になります。
ここからは、第23回芸工祭の実行委員長を務める、芸術工学部音響設計コース3年の塚本俊輔さんにインタビュー。
学生たちがつくり上げる企画の見どころから、日頃の活動を支える大橋の街とのつながりまで、詳しく教えていただきました。

――芸工祭ならではの特徴を教えてください。
5つのコースの学生が力を合わせて、授業などで培った知識や技術を生かしていることです。
ホールや舞台、専門的な機材を使って、一つの芸術表現を組み上げています。その点に注目していただきたいですね。
芸工祭には6つの大型企画があり、それぞれに担当する学生たちがいます。一般的なサークルの出し物というより、芸工祭の中で各企画を担う集まり、というイメージです。
――6つの大型企画では、どんなことをするのでしょう。
「zenya」は、ホールに舞台を設営して音楽ライブを行う前夜祭の企画です。
「2研」では、美術や照明、映像、音響を組み合わせて、空間全体を一つの作品に仕立てます。いわゆる「インスタレーション」です。
「噴水企画」はキャンパス内にある「噴水広場」を舞台に、演劇を中心としたエンターテインメントを届けます。
「CBA project」はファッションショーです。衣装に音や照明を組み合わせ、舞台全体で表現します。
「未定研」は、手描きのアニメーションなどを制作する企画ですが、映像だけでなく、その見せ方にも取り組んでいます。
立体物や音響システムも用意して、上映する空間まで考える。「上映行為そのものをつくる」という言い方が、一番しっくりきますね。
そして「火祭」は、グラウンドに木を組んで「火櫓(ひやぐら)」を設け、その周りで踊って芸工祭を締めくくります。
街の中で火柱が立ち上がる、独特の光景になります。

BGMまで学生の手で。今年のテーマは「jam」

――今年のテーマ「jam」は、どのように決まったのですか。
テーマは実行委員会だけで決めるのではなく、学生から募った案をもとに投票で選びます。
今年の「jam」には、作品ができる喜びだけでなく、そこにたどり着くまでの行き詰まりも含めて、全部楽しんでしまおうという思いが込められています。その考え方に、多くの学生が共感したのだと思います。
――テーマは、どんなところに生かされていますか。
大型企画はそれぞれ表現の手法も目指すものが違うので、すべてを同じテーマに合わせているわけではありません。主に、芸工祭のメインBGMやポスター、パンフレットなどに反映しています。
このBGMも学生が作曲するんですよ。テーマから着想を得た曲を公募して、投票で決めています。本番では会場の何カ所かにスピーカーを置いて、その曲を流す予定です。
お店や施設も応援!大橋の街に支えられる芸工祭
――大橋の街とのつながりを感じるのは、どんなときですか。
まず、この規模のイベントを大橋の街で毎年開催できていることですね。
屋外で音を出しますし、学生や来場者の行き来もあります。こうして続けられるのは、地域の皆さんの理解や協力があるからだと思っています。
地域のお店にはポスターの掲示やパンフレットへの広告協賛などで協力していただいています。活動が終わった後に、みんなでご飯を食べに行くのが習慣になっていて、そうした飲食店にも応援していただいているんです。
過去には実行委員会が大橋駅前にある複合商業施設『OHASHI HILL』のイベントに出店し、学生が手づくりしたアクセサリーやポストカードを販売したことがあります。
南区塩原にある「福岡市立南市民センター」で活動する機会をいただくなど、キャンパスの外とのつながりもありますね。
>>OHASHI HILLのイベント詳細はこちら
『OHASHI HILL』初となる主催イベント「おおはしヒル オープニングフェスタ〜はじまりの丘〜」参加レポート
https://fukuoka-leapup.jp/city/202507.59592
――南市民センターでは、どんな活動をしたのでしょう。
今年は「CBA project」が、10月3日(土)と4日(日)に開催された「Minamiku Art Next Collection 2026」に出演し、公演を行いました。これまでも、ファッションショーで使った衣装などを展示したことはありましたが、このイベントのために新しく演出を組んだのは初めてです。
芸工祭当日に来られない方や、芸術工学部以外の九州大学の学生にも活動を届けたい、という思いから、私たちが南市民センターに相談して実現しました。
展示や模擬店、受験相談も。初めての芸工祭を楽しもう

――芸工祭は大学の関係者でなくても、楽しめますか。
もちろん、一般の方も企画をご覧いただけます。大型企画のほか、模擬店やフリーマーケットなどもありますし、高校生向けの受験相談企画も予定しています。
入学前に、学生の活動や学部の雰囲気を知りたいと訪れる高校生も多いんですよ。
模擬店や舞台は、噴水広場の周辺やフライパン広場など、キャンパス内のいろいろな場所に設けられます。

――来場前に、確認しておくとよいことはありますか。
企画によって開催日や時間が違い、予約が必要なものもあるので、お目当ての催しの日時や予約方法を確認してからお越しください。
最新情報は各大型企画独自のInstagram等のSNS(企画名で検索)や公式サイト、実行委員会のInstagramで発信していきます。また、当日会場に来られない方に向けて、YouTubeでの配信も予定しています。
――最後に、大橋や地域の皆さんへメッセージをお願いします。
気軽に芸工祭に来てほしいです!「ここに大学がある」と知っていても、中で何をしているのかは、なかなか分からないと思います。
実際に入って活動を見ていただくことで、この学校のことや大橋という街について、より知ってもらえたらうれしいです。
いつもの買い物や食事で訪れる街に、学生たちの創作を間近で楽しめる場所がある。それも、大学がある大橋ならではの魅力です。芸工祭をきっかけに、学生たちの創造力に出会ってみませんか。
Information
- 第23回芸工祭
- 開催日時
- 2026年10月30日(金)前夜祭(14:30開場/15:00開演)、10月31日(土)・11月1日(日)本祭(両日10:00~19:00)
- 会場
- 九州大学大橋キャンパス(福岡市南区塩原4-9-1)
- アクセス
- 西鉄天神大牟田線 大橋駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- https://geikosai.com/
- 公式Instagram
- @qu_geikosai
- ※各大型企画で独自のアカウントがあります。Instagram等のSNSは企画名で検索をしてください。
※一部企画は事前予約が必要です。開催時間・予約方法・配信情報は公式サイトやSNS(Instagram・X)をご確認ください。


