福岡市、2029年春の市立高専開校を目指す。高度デジタル人材を育成へ

近藤 益弘

福岡市は、高度デジタル人材の育成を目指し、2029年4月の福岡市立高等専門学校開校に向け準備を進めています。この福岡市高専が、東京大学や九州大学なども選定された『令和8年度大学・高専機能強化支援事業』の支援対象に選ばれました。

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福岡市高専は2027年度に認可申請、2029年4月開校を目指す

福岡市は2029年春の市立高専開校で高度デジタル人材育成を目指す
出典:福岡市役所 教育委員会(高等教育検討担当)『福岡市立高等専門学校について』

福岡市が新たな高等専門学校の設置を目指す背景には、デジタル分野における人材不足がある。

 

 

経済産業省の推計によると、2030年までに最大約79万人のIT人材が不足する見通しだ。

また、2040年にはAI・ロボット等の利活用を担う人材についても、約340万人の不足が生じる可能性がある。

福岡市でも、本社機能の誘致に加えて、知識創造型産業をはじめとする成長分野の産業集積を進めており、専門性の高い人材への需要が今後さらに高まると見込まれる。

 

 

このような状況を踏まえ福岡市は『福岡市立高等専門学校(仮称。以下「福岡市高専」)』の2029年4月開校を目指している。

2027年度に認可を申請し、2028年度に認可を得る計画だ。

 

 

福岡市高専の開設については、福岡市立高校に関する有識者会議の議論から始まった。

2026年6月に公開された福岡市教育委員会(高等教育検討担当)の資料『福岡市立高等専門学校について』によると、市立高校のあり方に関する有識者会議が2023年8月~2024年1月に計5回開催された。

そして、2024年2月に取りまとめた同報告書では、福岡市立博多工業高校のあり方について、IT人材の育成や3年間に限らない学びなどを議論した上で「高度なIT人材育成のため、高等専門学校を設置すべき」という提言を行った。
提言の実現に向けて、博多工業高校の学科を再編した上で存続させながら、同校内に高等専門学校を併設することが提案された。高校への高専併設は全国初となる。

 

 

福岡市は2025年2月、福岡市議会教育こども委員会で福岡市高専の設置に向けて、具体的な準備に着手することを表明した。
2025年4月から、学びの方向性やカリキュラム、施設整備、人材確保などの検討を開始した。

 

福岡市は2029年春の市立高専開校で高度デジタル人材育成を目指す
出典:福岡市役所 教育委員会(高等教育検討担当)『福岡市立高等専門学校について』

 

福岡市高専は油山・百道浜の2キャンパス制を予定

福岡市は2029年春の市立高専開校で高度デジタル人材育成を目指す
出典:福岡市役所 教育委員会(高等教育検討担当)『福岡市立高等専門学校について』

福岡市は2025年12月、博多工業高校に併設する高等専門学校の検討状況を教育こども委員会に報告した。
計画では、博多工業高校の敷地内に設ける『油山キャンパス』を低学年が使用し、百道浜地区の旧産学官連携施設を活用する『百道浜キャンパス』を高学年が使用する2キャンパス制を予定している。

同報告資料によると、福岡市高専の検討背景として、「高度デジタル人材の不足」「高度専門人材の需要の高まり」を挙げている。
そして、福岡市高専に求められる学校像として、地場企業をはじめ、高付加価値なビジネス分野や成長分野の企業への「即戦力となる人材の育成」を打ち出す。
さらに産学官連携による市内中小企業のDX推進をはじめ、高度な情報技術教育・研究活動の社会還元による「地域課題・社会課題の解決」を掲げる。

 

 

福岡市高専の入学定員については、福岡市立中学校から高等専門学校への進学実績や中学生ニーズ調査を踏まえて、1学年80人(40人×2学級)を予定している。
常勤教員は、校長1人に加えて一般科目12人、専門科目13人の計26人以上を見込む。

 

 

学校施設面では、既存の博多工業高校校舎を活用するものの、国の設置基準である床面積約4,300平方メートルに対して、約2,300平方メートルが不足していた。
このため、情報関連産業が集積する福岡市百道浜地区に立地する旧産学官連携施設(延床面積2,693平方メートル)を活用することとした。

なお、旧産学官連携施設を活用した改修工費4億7,000万円については、増築工費15億2,000万円に比べて、約10億5,000万円の縮減となる。
また、設計・工事に要する期間も、増築の場合の約4年に対し、改修では約2年となる見込みだ。

 

 

2029年春開校予定の福岡市高専、大学・高専機能強化支援事業に選定

福岡市は2029年春の市立高専開校で高度デジタル人材育成を目指す
出典:独立行政法人大学改革支援・学位授与機構『令和8年度大学・高専機能強化支援事業で28件を選定。大学・高専の理工・デジタル人材育成機能強化を支援』

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構(NIAD-QE)は2026年9月16日、『令和8年度大学・高専機能強化支援事業』における選定結果を発表した。

同事業は、デジタル・グリーン等の成長分野を担う高度専門人材の育成を支援するため、2023年度から実施されている。
2026年1月には、AI・半導体等の重点分野における人材育成への支援を新たに追加するなど、支援枠を拡充した。

 

 

今回の選定では、すでに選定されている「成長分野転換枠」に続き、有識者による審査を経て、「高度情報専門人材育成枠」と「重点分野支援枠」の計28件が選ばれた。

このうち、高度情報専門人材育成枠では、福岡市高専、東京工業高等専門学校、新設予定の愛知県立高等専門学校(仮称)の3校が選定された。

一方、重点分野支援枠では、東京大学や九州大学をはじめ、国立大学20校、公立大学2校、私立大学2校、公立高専1校の計25校が選定された。

 

 

同機構では、「政府が推し進める『理工・デジタル人材育成を含む大学・大学院等の機能強化』(骨太の方針2026)の実現に向け、当機構は、大学・高専の成長分野への学部再編等への支援を通じて、理工・デジタル人材の育成機能強化に引き続き力を入れてまいります」とする。

 

福岡市は2029年春の市立高専開校で高度デジタル人材育成を目指す
出所:独立行政法人大学改革支援・学位授与機構『令和8年度大学・高専機能強化支援事業で28件を選定。大学・高専の理工・デジタル人材育成機能強化を支援』

 

 

【参照サイト】

 

福岡市役所 教育委員会(高等教育検討担当)『福岡市立高等専門学校について』

https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/highereducation/child/documents/gaiyo.pdf?shem=aimgspe

 

 

福岡市議会教育こども委員会報告資料『市立高等専門学校の設置について』(令和7年12月)

https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/highereducation/child/documents/20251217_kyouiku_houkoku.pdf

 

 

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構『令和8年度大学・高専機能強化支援事業で28件を選定。大学・高専の理工・デジタル人材育成機能強化を支援』

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000190339.html?shem=aimgspe

 

 

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 事業紹介

https://www.niad.ac.jp/josei/business/

 

 

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 令和8年度選定分
https://www.niad.ac.jp/josei/report/r8selection/

 

 

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