【2026基準地価】福岡市は住宅地5.5%増・商業地8.1%増、県庁所在地で上位
先日発表された2026年の基準地価で福岡市は住宅地・商業地ともに14年連続で変動率の上昇を記録しました。過去10カ年における日本の大都市や他都道府県との比較をはじめ、直近6カ年の福岡市内および福岡県内の市区町村の地価推移を通じて、福岡市・福岡県の地価上昇の実態や今後の動向を探ります。
この記事の目次
「一物四価」といわれる日本の不動産価格

同一の土地であっても、目的や評価方法によって、不動産価値は異なってくる。
不動産価値のベースになっているのは、実社会においていくらで取引されているのかという「時価」であり、それが一つの判断基準となっている。
不動産価格は時価に基づいて、公示地価・基準地価・相続税評価額・固定資産税評価額が決められており、「一物四価」といわれることもある。
4つの不動産価格を整理すると、次のようになる。
【公示地価】
毎年1月1日時点での土地の標準価格を国土交通省が毎年3月下旬に公表する。
公示地価は、土地の基本的な価格であり、土地取引の目安とされる。
【基準地価】
毎年7月1日時点での地価を各都道府県が9月下旬に公表する。
基準地価の公表は、公示地価の半年後であり、地価変動を補完する役割も担う。
公示地価、基準地価に加えて、課税のための評価基準が、相続税路線価と固定資産税評価額だ。
【相続税路線価】
国税庁が実施、公示価格の8割。
【固定資産税評価額】
固定資産税を徴収する市町村(東京23区は東京都)が実施し、公示地価の7割をめどとする。
なお、相続税路線価、固定資産税評価額は、公示地価を基準にしており、地価の最上位基準は、公示地価である。
福岡市・福岡県の基準地価は上昇続くも、伸び幅は縮小傾向

国土交通省は2026年9月15日、同年7月1日時点の都道府県地価調査の結果を公表した。
全国平均の住宅地における変動率は前年と同じ1.0%増であり、同商業地は前年を上回る2.9%増だった。
日本の各経済圏における変動率では、東京圏や大阪圏で拡大する一方、福岡市をはじめとする地方主要4市(札幌市・仙台市・広島市/福岡市)では、変動率の伸びが縮小する傾向がみられた。
【基準地価2026:福岡市】住宅地5.5%増は4位、商業地8.1%増は5位
福岡市における変動率では、住宅地が前年比5.5%増となり、都道府県庁所在地別で第4位だった。
同じく商業地は8.1%増で、同第5位となっている。
住宅地・商業地ともに14年連続でプラスとなったものの、伸び率は2年連続で縮小した。
今回、都道府県が主体となる『基準地価』調査を取りまとめた不動産鑑定士である株式会社旭鑑定補償の納富久雄常務取締役は、次のような見解を示す。
納富久雄常務取締役
福岡市内のマンション市場については、富裕層向けの高額マンションと一般世帯向けのファミリータイプで市況に差がみられます。
富裕層向けマンションについては投資需要にも支えられ、販売価格の上昇が続いており、中央区などの優良なマンション用地に対する需要は引き続き強い状況です。
戸建住宅についても、建築費や土地価格の上昇に加え、住宅ローン金利の上昇が住宅取得者の負担となっており、エリアの価格水準に対して販売価格が高くなった物件では売れ行きが鈍化し、値下げに踏み切るケースもみられます。
商業地については、福岡市で店舗、オフィス、マンション、ホテル等の複数用途の需要が競合する地域を中心に高い上昇が続いております。
福岡市の全区で上昇幅は縮小しているものの、人口増加や交通利便性の高さを背景に土地需要そのものは依然として強い状況です。



【基準地価2026:福岡県】住宅地の変動率は全国6位、商業地は7位
2026年の基準地価における福岡県の変動率は、住宅地が2.1%増で47都道府県別で第6位となった。
同じく商業地は4.0%増で、第7位だった。
福岡県の住宅地は10年連続、同商業地は11年連続でプラスとなったものの、伸び幅はいずれも2年連続で鈍化している。
福岡県における基準地価の動向について納富常務は、次のようにコメントする。
納富久雄常務取締役
このため、県全体として地価は上昇しているものの地域ごとの選別は以前より明確になっていると考えております。


福岡市における住宅地・商業地の変動率上位地点
福岡市が2026年9月16日に発表した『令和8年度地価調査(福岡市分)』では、住宅地および商業地の変動率の上位順位を一覧(10位まで)として公表している。
【福岡市内2026:住宅地】変動率1位は次郎丸3丁目10.7%増
福岡市内の住宅地に111カ所ある基準地点で最も伸びが大きかったのは、早良区次郎丸3丁目の10.7%増だった。
以下、中央区梅光園2丁目の10.4%増、東区箱崎3丁目の10.3%増が続き、上位には都心部以外の住宅地も並んだ。
第1位になった早良区次郎丸3丁目について、納富常務は、次のように分析する。
納富久雄常務取締役

【福岡市内2026:商業地】変動率1位は箱崎1丁目14.6%増
福岡市に59カ所ある商業地の調査地点で最も伸びが大きかったのは、東区箱崎1丁目14.6%増だ。
以下、博多区綱場町の14.3%増、中央区高砂2丁目の14.0%増が続く。
伸びが大きかった地点は、福岡市内の各生活圏の拠点に位置する場合が多い。

福岡市内・福岡県内で6カ年の伸びが著しいのはどこか
福岡市が発表した『令和8年度地価調査(福岡市分)』では、2021年~2026年の6カ年における各基準地点の価格推移についても集計している。
福岡市の公表資料と国土交通省の国土数値情報を基に、福岡市内および福岡県内の直近6カ年における基準地価の動向をみていきたい。
【福岡市内6カ年推移:住宅地】1位は箱崎3丁目、2位は西都1丁目
今回の基準地価における福岡市内の住宅地について、2021年を100とした2026年の価格水準をランキング化すると、第1位は東区箱崎3丁目の182.9%となっている。
続く第2位に西区西都1丁目の182.6%、第3位に博多区西春町3丁目の179.0%が連なる展開だった。
一方、2021年比が最も低かった3地点は、南区長住4丁目の117.6%、東区多々良1丁目の120.3%、中央区小笹1丁目の121.6%となっている。

【福岡市内6カ年推移:商業地】1位は綱場町、2位は高砂2丁目
同様に2021年~2026年の6カ年における福岡市内の各商業地について、2021比をランキング化すると、第1位は博多区綱場町162番の218.2%だった。
続く第2位は中央区高砂2丁目215.8%、第3位は博多区竹下4丁目203.3%であり、いずれも2021年の2倍を超える価格水準となった。
他方、2021年比が最も低かった3地点は、中央区天神2丁目の107.8%、中央区天神1丁目の108.0%、博多区博多駅東1丁目の110.5%となっている。
いずれも福岡市の都心部機能更新誘導方策である天神ビッグバン、博多コネクティッドの対象エリア内であり、福岡市都心部における基準地価の高止まり感がうかがえる。

【福岡県内6カ年推移:住宅地】1位は博多区、2位は中央区
国土交通省が公開している『国土数値情報 都道府県地価調査データ2026年(令和8年)』では、福岡県内の市区町村における1975年~2026年の調査データも開示している。
福岡市発表分と同様に、福岡県内の2021年を100とした2026年の市区町村別住宅地の価格水準をランキング化した。
すると、2021年比トップ3は、第1位:福岡市博多区の163.4%、第2位:福岡市中央区の156.8%、第3位:粕屋町の152.0%だった。
以下、福岡市東区の150.3%、福岡市(全市平均)の149.9%、篠栗町の149.4%、大野城市の146.1%、古賀市の145.7%、福岡市西区の145.6%、福津市の145.0%が続く。

福岡県内住宅地の基準地価においては、福岡市をはじめとする福岡都市圏の基準地価がけん引しているのは、間違いない状況だ。
【福岡県内6カ年推移:商業地】1位は久山町、2位は福岡市早良区
基準地価における市区町村別商業地の2021年比ランキングでは、2026年単年の変動率とは異なる顔ぶれとなった。
商業地の2021年比トップ3は、第1位:久山町の180.4%、第2位:福岡市早良区の179.5%、第3位:大野城市の172.9%だった。
以下、福岡市西区の172.9%、福岡市東区の162.8%、志免町の162.8%、筑紫野市の161.5%、糸島市の159.8%、粕屋町の158.2%、福岡市城南区の157.3%が連なる。
福岡県内での商業地の基準地価においても福岡市をはじめとする福岡都市圏の存在感は大きい。

日本の21大都市で福岡市は住宅地1位、商業地3位
国土交通省『国土数値情報 都道府県地価調査データ2026年(令和8年)』を基に、20政令指定都市に東京23区を加えた日本の21大都市について、2017年を100とした2026年の価格水準をランキング化した。
同ランキングにおける日本の大都市の住宅地、商業地の状況は、次の通りだ。
【大都市10カ年推移:住宅地】福岡市は10年でほぼ倍増の194%で1位
福岡市の住宅地は、2017年比193.6%となり、価格水準は10年間でほぼ2倍となった。
その数値は、日本の21大都市で最大だった。

【大都市10カ年推移:商業地】トップ3は京都市、札幌市、福岡市

福岡市の商業地は、2017年比211.4%となっている。
この数値は、京都市250.7%、札幌市248.3%に次いで、21大都市で第3位だった。
福岡市における10カ年の基準地価推移を踏まえて納富常務は、下記のような見方を示す。
納富久雄常務取締役
人口増加が示すように住宅地の需要は強く、特に交通利便性の高い地域やマンション用地として利用可能な土地への需要が地価を牽引しております。
都道府県10カ年推移で福岡県は住宅地1位、商業地2位
国土交通省『国土数値情報 都道府県地価調査データ2026年(令和8年)』の調査データのうち、全国47都道府県について、2017年の価格を基準にした2026年の住宅地・商業地の価格水準をランキング化した。
【都道府県10カ年推移:住宅地】福岡県の拡大率167%は1位
住宅地の2017年比は、第1位が福岡県の166.6%、第2位が沖縄県の160.5%、第3位が宮城県の150.5%だった。
以下、東京都の147.9%、千葉県の140.0%、北海道の133.0%、愛知県の122.6%、石川県の121.2%、神奈川県の121.1%、熊本県の119.7%が続いた。

【都道府県10カ年推移:商業地】福岡県は2017年比211.5%で2位
都道府県別の商業地の2017年比は、第1位が京都府の248.8%だった。
続く第2位は福岡県の211.5%であり、第3位は宮城県の198.0%となっている。
以下、北海道の197.4%、大阪府の190.0%、沖縄県の178.8%、東京都の164.8%、千葉県の163.2%、神奈川県の158.8%、兵庫県の148.5%が連なる。

今後の福岡市、福岡県における地価見通しについて

現状、福岡市および同市がけん引する福岡県では依然として、土地需要を背景に地価が上昇傾向にあるものの、今後はどのような展開になっていくのだろうか。
この点について、納富常務は、下記のような見通しを示す。
納富久雄常務取締役
地価動向そのものに関しては、立地条件をはじめ経済状況や金利動向、国際情勢など、複雑な要素が絡んでくる。
そうした状況下、景気回復に伴って底力を発揮し始めた東京都をはじめとする首都圏や、関西圏における「大阪一極集中」で本来の実力を見せ始めた大阪市・大阪府に対して、今後、福岡市・福岡県はどのような展開を見せていくのだろうか。
これからの福岡市・福岡県の動きに対して、人々の注目がますます集まるのは必然である。
【参照サイト】
国土交通省土地政策審議官部門『令和8年都道府県地価調査の概要(令和8年9月)』
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/002021832.pdf
福岡市『令和8年度福岡県地価調査 各基準地価の価格推移(福岡市分)』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/zaisei/zaisan/machi/documents/01_itiran_r8chousa.pdf
国土交通省『国土数値情報 都道府県地価調査データ2026年(令和8年)』
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L02-2026.html
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