これからの暮らしとお金のはなし

「100万円を高1娘に投げました」ブログの著者太刀山美樹さんに聞く“考えるマネー教育”とは?

もし3年分の生活費を一括で手に入れたら、あなたはどうやって管理しますか? 期限内にきれいに使い切るのは、大人でも難しいですよね。 今回は、このチャレンジを高校生活で見事にやり遂げた娘さんとそれを見守ったお母さんによる一本の記事に注目。著者である太刀山美樹さんと当時の子育てを振り返りながら、この挑戦が親子にもたらしたもの、そして家庭でのマネー教育のコツについてお聞きします。

「どうせ使うなら楽しもう」。太刀山家のマネー教育で目指したもの


2014年に西日本新聞に掲載された太刀山さんのコラム「子どもの携帯代が高いと思う方へ ~私は、100万を高1娘に投げました~」
▶記事はこちら

この記事は、高校に入学した娘さんの初めての携帯代が高価だったことに母である太刀山さんが仰天。口論の末に3年間分のお小遣い100万円を娘さん本人に管理させることになったというお話です。「高校卒業までに100万円をキレイさっぱり使い切ってレジェンドを達成する」と、奮闘する娘さんの様子がユーモアたっぷりに綴られています。

発表当時から“高校生に100万円”というキャッチーな見出しに衝撃を受ける方も多く、マスコミの取材やSNSでもかなりの反響があったそうです。
けれども、じっくり記事を読んでみると、決して突飛なお話ではないのです。
何よりも印象的なのは、娘さんが楽しみながら工夫されていたこと。そして、太刀山さんもその反応を面白がりながら見守っていたことです。

ー娘さんが高校生になる前は、ご家庭でお金についてどう話されていたのでしょうか?

太刀山さん

生活の中で楽しく学ぶことを目指して、いろいろと取り組んでいましたね。例えば、家族旅行のためにいくらかかるか調べて、家族全員で“〇〇したつもり貯金”をしようとか。パーキングに駐車する時に『40分100円と30分100円どっちが得かな』と問いかけて、浮いた100円でアイス食べようぜ、とか。

ーすごく身近な話題でとっつきやすいですね。子ども自身が取り組めるのもコツなのでしょうか?

太刀山さん

そうですね。子どもたちにも、どうせお金を使うなら自分が楽しめる方を選ぼうよと伝えていました。もともと私自身もそうやって実践してきたんですよ。実家が果樹園で品物を青果市場に持っていくのですが、その時に自生しているフキを一緒に持っていって売って、その儲けでリカちゃん人形を買ったとか。習字の塾に行くのにバス停の一つ手前で降りて、浮いた運賃でおやつを買うとか。ちょっとした工夫でお小遣いを増やして好きなものを手に入れていたんです。

ーなるほど。子どもにとっては遊びのような感覚で取り組めそうです。太刀山さんのお宅では、お小遣いをゲットするために“プレゼン方式”を採用されていたそうですね。

太刀山さん

私の実家は何でも買ってくれる親ではなかったので、小さい頃からどう話せば納得してもらえるか常に考えていたんですよ。私の影響で、子どもたちも自然にプレゼン方式が身に付きました

ーお金の使い道に対して自分で考え、伝えると言う下地ができていたからこそ、記事のような流れにつながったのですね。
まとまったお金を渡すのは、計画的だったのですか?

太刀山さん

いえいえ、最初は本当に喧嘩の勢いでした。とはいえここまでの成長を見てきたし、『将来一人暮らしする練習をしたい!通帳を作って月ごとに管理するから』と計画を話してくれたので、これは大丈夫だと確信していました。やっぱり100万円は大金ですから簡単にGOは出せないですよね。ただし、渡したからにはこちらも口を出すまいと覚悟しました

ーブログの発表後は、賛否両論の意見が集まったそうですね。お子さんのマネー教育に悩むご家庭には特に衝撃だったのではないでしょうか?

太刀山さん

私の教育法が100%正しいことではないですし、そのまま同じことをやってみればという話でもないんです。日頃からお母さんが何を伝えているか、子どもとの関係性が重要なんです。だから、こういったコラムを読んだ時に、『うちの場合はどうすればいいのかな』って、お子さんと話し合ってみて欲しいなと

私は保育の講師もしているのですが、小さな子どもさんを持つ保護者の方には、『理由を言ってあげてください』と伝えているんです。『お母さんは今日頭が痛いから、元気が無いのよ』とかね。そうすれば、2歳くらいでも、その子なりに理解しようとします。それに、おもちゃで遊ぶ時も、どっちがいいのか自分で選んでもらう。自分で考えるということが大切なんです。

ーその積み重ねで、自主性や責任感が芽生えるんですね。
太刀山さんと娘さんのやりとりを見ると、お母さんが悩んだり、学んだり、ありのままの姿で接しているように感じます。

太刀山さん

娘にも『私がやっていることが常に正解じゃない』とは伝えています。親だって人間だから間違える時もある。そうしたら、何をどう間違えたのか理由を探すのも勉強だよねと

親が学び、チャレンジする背中は、子どもにとってもモチベーションになる

太刀山さんは、子どもさんが成人された後に大学院のビジネススクールでMBAの資格を取得。現在は二度目の大学院生としてソーシャルデザインを学んでいます。畑違いの勉強に四苦八苦する様子も、子どもさんは間近で見ていたそうです。

太刀山さん

合格率5%の資格なんか、落ちたらまた費用がかかる。絶対合格しなければいけないから必死ですよ。人生は楽しいことばかりじゃないから、愚痴を言ったり、イライラするのもしょうがない。でも、最後に『やっぱり、これがやりたいから頑張る』ってニカッと笑って立ち向かえば、子どもはきっとわかってくれるはずなんです

ーお母さんが楽しそうだと、応援したくなりますね。ちなみに、お子さんは高校生活のチャレンジで変化が見られましたか?

太刀山さん

もともと娘が志望した高校は学力レベルが高かったんです。逆転合格したものの、入学後はついに学年最下位になりました。大学受験で目指した学校も、先生からは『現実をみましょう』と言われるくらいで。もちろん模試もE判定。でも、本人はいけると考えていたんですって。受験勉強を始めてから毎日ブログに勉強法を記録していたんですが、それを読んだ受験生から成績が上がりましたってコメントが寄せられていたらしくて。だから自分がやっていることは間違っていない、C判定くらいだって先生にも言い切ったんですよ(笑)受験も自分なりに工夫していたんですね。おかげで大学は第一志望だけ合格。そこでマーケティングを学んで就職したのですが、仕事ではプレゼン技術が役に立ったみたいです。『家でやっとったことと同じやった』って(笑)。


娘さんは7年前に大学を卒業。一人暮らし生活では高校時代に培った家計管理術が役立ったそう


大学生生活でも続けていたというマネー管理。卒業時には、娘さんに最後の仕送りを手渡して、マネー教育もひと段落

子どもの学びを促すためにシニア世代をサポート。全世代を元気にする太刀山流メソッドとは?


太刀山さんが主催する50〜80代のシニアチアリーディンググループ「グランチア」。元気なマダムの活動は面白エピソードの宝庫なのだとか

太刀山さんも娘さんも、実践しながら学ぶ姿勢がとてもよく似ています。
現在、太刀山さんは学生生活のかたわら、子どもの教育のために続けている活動があるそう。それは、なんと“シニアのサポート活動”なんですって。
子どもからシニアとは結びつかないような気がしますが、一体どんな発想なのでしょうか?

太刀山さん

私は、子ども達の周りに“おもろい大人”をたくさん配置したいんですよ。子どもを元気にしようと思ったら、まずお母さん達を元気にする必要があるでしょう?シニアがイキイキと活動していたら、30代、40代の方にも希望になるんじゃないかと思ったんです。マネー教育にしても、子どもだけじゃなくて、それを伝える保護者の学びが重要なんです。だから、シニアのおもろいインストラクターを送り込んで、ゲラゲラ笑いながらお金やそれ以外の知識を身につけて欲しいなと。そのために、今はシニアの方と一緒にいろいろなテーマに取り組む“研究会”を結成して活動しています

お金の問題を考えると、どうしても暗い話題や焦る気持ちになりがちです。
けれども、人生の先輩がいろいろなことに挑戦していたら、なんだかこちらも元気が出てきませんか?それに、教育は子どもと保護者、学校だけの問題ではなく、地域の人々や社会にもつながっています。みんなで取り組むものだと思えば、肩の力が抜けて取り組めるのではないでしょうか。太刀山さんのユニークな実践法は、またひとつ新たな視点に気づかせてくれました。
シニアのマネー教育についても、機会があればぜひ聞いてみたいものです。


西日本新聞社『前傾姿勢でいいじゃない〜子育て・起業・いま女子大生〜』太刀山美樹 著(1,404円)
▶本の内容はこちらをチェック

太刀山 美樹
株式会社MIKIファニット代表取締役
近畿大学・西日本短期大学 保育科講師
九州大学大学院経済学府 MBA
日本健康運動指導士会福岡県理事
教育コメンテーター / なまはげ伝道師
 
福岡大学体育学部を経て、保育科の講師へ。その後、NHK福岡体操コーナーや子育てサークルなどで子育て支援活動を開始。2006年には子供向け運動教室「MIKIファニット」を設立し、保護者や指導者向けに講演会なども行う。
2014年に西日本新聞ウェブサイト「ふぁんふぁん福岡」に掲載した「子どもの携帯代が高いと思う方へ ~私は、100万を高1娘に投げました~」が話題に。2016年には、コラムの内容も収録した著書「前傾姿勢でいいじゃない〜子育て・起業・いま女子大生〜」を出版。
現在は大学院生として就学しながら、子供だけではなく、保護者やシニア、ビジネスの現場までユニークな視点で元気を与える活動を続けている。
オフィシャルサイト
MIKIファニット 

 

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ライター
大内 理加
壱岐出身。福岡市内の編集制作会社を経てライターとして独立。現在は、福岡のweb、紙媒体を中心に食、カルチャー、地域活性など、ジャンルを問わずに執筆しています。趣味は、街ぶらと1人旅。妖怪と忍者、サメ・ワニ映画などのワードに飛びつく癖がありますが、話し出すと大体苦笑いに終わります。

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