福岡市内観光コース「博多旧市街」とは?
古くから海外との交流が深かった福岡・博多が世界的にみてもっとも栄えていた中世(12世紀〜16世紀頃)の歴史や伝統文化が残るエリアを「博多旧市街」といいます。
【前編】博多駅~呉服町エリア「博多旧市街モデルコース」街歩きガイド
>>https://fukuoka-leapup.jp/tour/202303.1236
今回は、活気あふれる商人のまち、そして「博多祇園山笠」の躍動を常に感じられる、地下鉄呉服町駅から川端通商店街、櫛田神社までのモデルコースをまわってみます。
エネルギッシュな「博多旧市街」呉服町駅からスタート
博多駅からまっすぐのびる大博通り、呉服町駅から店屋町に向かいましょう。一見オフィス街の様相ですが、一歩中に入ると、ユニークなスポットがいっぱい。
A【ブラジレイロ】福岡最古の老舗喫茶店でレトロな雰囲気堪能
まずは、現存する福岡最古の喫茶店!創業昭和9年の「ブラジレイロ」へ。古い洋館風の3階建ての建物で、中も随所に歴史を感じさせてくれます。
コーヒーはもちろん、美味しいランチを目当てに行くのですが、人気があって満席のことが多いので、お早めに。特に、私の好きなのは、一番人気のミンチカツレツです。自家焙煎コーヒーやケーキと一緒に上質な時間を楽しんで。
【ブラジレイロ】
■住所: 福岡市博多区店屋町1-20 [MAP]
■営業時間: 10:00~19:00(18:30OS)
■TEL: 092-271-0021
■定休日: 日曜日・祝日
■Instagram@cafebrasileiro1934
この周辺は福岡で有名な鯛茶漬けを食べられる割烹「よし田」や、「チョコレートショップ」など個性あふれる食の銘店が点在するので、散策も楽しいですよ。
B【WeBase 博多】アートなホステルに注目!
さて、次に目指すのは、ひときわ目立つ猫のアートオブジェがある「WeBase 博多」です。
2017年にオープンし、現代美術作家・ヤノベケンジ氏が手掛けた「SHIP’S CAT」は、写真に撮影したくなる、インパクト大のアイコン!店屋町の古いまちなみにもマッチしています。
このホステルはドミトリータイプから個室まで揃い、24時間フロントスタッフが常駐しているので、深夜のチェックインも可能です。
9階にあるシェアスペース「Books&Lounge」はドロップインもできるコワーキングスペースです。旅に関する本も揃い、旅気分も味わえますよ。
>>WeBase 博多の関連トピックスはこちらをご覧ください
【WeBase 博多】
■住所: 福岡市博多区店屋町5-9 [MAP]
■TEL: 092-292-2322
■公式HP: https://we-base.jp/hakata/
中洲川端駅から川端通商店街を歩こう
WeBase 博多から少し北に歩いて、明治通りに出ましょう。「博多座」がみえてきます。
C【博多座】芸どころ博多を象徴する演劇専用劇場
博多座は、福岡での演劇専用劇場で、歌舞伎やミュージカル、宝塚歌劇など華やかな演目が揃います。
人気の演目はあっという間にチケット完売のこともあるので、気になる公演は早目にチェックを。
観劇ももちろん楽しいのですが、幕間(休憩時間)に食べるお弁当やここにしかないお菓子やお土産をみるのも醍醐味のひとつです。
ちなみに私が楽しみにしているのは「六月博多座大歌舞伎」。出演者の歌舞伎俳優が船に乗ってご当地到着をお披露目する『船乗り込み』が4年ぶりに5月31日に開催されます。
キャナルシティ博多から博多リバレインまで博多川を下る、華やかなイベントです。
【博多座】
■住所: 福岡市博多区下川端町2-1 中洲川端駅直結 [MAP]
■TEL: 092-263-5555
■公式HP: https://www.hakataza.co.jp/
■船乗り込みに関してはこちら
D【福岡アジア美術館】福岡市が世界に誇る美術館
博多座のお隣は「博多リバレイン」という複合施設で、ショップや飲食店、ファミリーに大人気の「アンパンマンこどもミュージアム」などがあります。
ここで絶対に足を運んでほしいのが7・8Fにある「福岡アジア美術館」!アジアの近現代美術作品を収集する、世界で唯一の美術館で、約5,000点が収蔵されています。
ブー・ホァ(卜樺)《最良のものはすでにある》
まずは1階のウォールアートに注目。縦約4m、横約11mの巨大壁画は、美術館への誘いとして目印となる作品をと、2018年に設置されました。
原画を制作したのは中国のデジタル・アーティスト、ブー・ホァ(卜樺)さんで、分身であるおさげ髪の少女「リトル・ホァ」が軽やかに躍動し、福岡のいろんな名所やグルメが散りばめられています。
常設展にあたるコレクション展はぜひのぞいてみてほしいところ。
7階にある壁画「パンヤー・ウィチンタナサーン《魂の旅》」。この前のスペースでトークイベントなども開催される
アジアのエネルギーと社会の大きなうねりを感じるパワーにあふれています。約1万冊の書籍が揃う「アートカフェ」やミュージアムショップは無料で入ることができます。
アジア、アート、旅などに関する書籍1万冊が並ぶアートカフェ 自由に楽しめるのが嬉しい
【福岡アジア美術館】
■住所: 福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7・8階 中洲川端駅直結 [MAP]
■TEL: 092-263-1100
■開館時間: ギャラリー9:30~18:00(金曜・土曜は20:00まで)※入室は閉室30分前まで/あじびホール、アートカフェ等9:30~19:30(金曜・土曜は20:00まで)
■休館日: 毎週水曜(水曜が休日の場合はその翌平日)、年末・年始(12月26日~1月1日)
■公式HP: https://faam.city.fukuoka.lg.jp/
E【川端通商店街】博多を感じる老舗商店街
福岡アジア美術館がある「博多リバレイン」の道を挟んで「ザ・博多」な川端通商店街がのびています。
入口に芸どころ福岡を象徴する「川上音二郎」の銅像にも注目を。1864年に博多の商家で生まれた彼は、当時を風刺した「オッペケペー節」で有名になり、外国でも日本劇を上演するなど、夫人の貞奴とともに活躍しました。
ここからは、川端通商店街を歩いていきましょう。
川端通商店街は川端中央商店街と上川端商店街の2つの商店街からなり、約400mのアーケードに約130軒を超える老舗と新しい店舗が融合し、博多旧市街の活気をふんだんに感じることができます。
博多人形など伝統を感じる老舗や、仏壇店も多いのがユニーク。衣料品店や雑貨、飲食店、マッサージ店が混在し、楽しく散策でき、お菓子や山笠グッズなどお土産選びもここで揃います。
上部に掲げられた大きな横断幕が「博多の方言」などもあり、行き交う人を楽しませてくれます。
【川端通商店街】
■住所: 福岡市博多区上川端町6-135 [MAP]
■営業時間: 店舗により異なる
■公式HP: https://kawabatadori.com/
E-1【門田提灯店】伝統工芸体験に挑戦!
ここでは時間に余裕をもって、伝統工芸品を作る体験をおすすめします。
門田提灯店のミニ提灯絵付け体験です。明治28年(1892年)創業の老舗で、櫛田神社・太宰府天満宮をはじめとする各神社の大提灯から、各店舗の軒先に吊がる看板提灯まで、全て手作りの提灯を製造し販売。盆提灯や祭りの提灯も手掛けています。
小さな提灯に自分の好きな絵付けをしてお土産として持ち帰ることができる体験を大人3,300円、子ども2,750円(どちらも税込)で実施しています。
実はこの体験が外国人にも大人気!某航空会社のキャンペーンプロモーション動画で紹介されて、日本人にもますます注目されています。
【門田提灯店】
■住所: 福岡市博多区上川端町11-4 [MAP]
■TEL: 092-271-5766
■営業時間: 10:00〜19:00
■定休日: 不定休
■公式HP: https://kadota-chouchin.com/
■体験の予約はこちら
E-2【川端ぜんざい広場】で飾り山笠を鑑賞!
川端通商店街の中ほどには「ぜんざい広場」があります。金土日祝日などが営業日で、甘くて美味しいぜんざいや夏場はかき氷も楽しめます。
営業日でない時にも、上川端通の飾り山笠をみることができますので、立ち寄ってみてください。
【川端ぜんざい広場】
■住所: 福岡市博多区上川端町10-256 [MAP]
■営業時間: 金土日祝イベント時11:00〜18:00
F【リノベーションミュージアム冷泉荘】味わい深い個性がつまったレトロビル
このまままっすぐすすむと櫛田神社に到着しますが、冷泉公園の方にまがってみましょう。
昭和の雰囲気を感じるレトロなビルがみえてきます。築60年を超える古い建物をリノベーションし、ベーグル専門店やギャラリー、工房やバーなどユニークなスペースが広がっています。
アート展示やイベントなどもいっぱいなので、ホームページやSNSをチェックしてね。
【リノベーションミュージアム冷泉荘】
■住所: 福岡市博多区上川端町9-35 [MAP]
■TEL: 092-985-4562(冷泉荘事務局)
■営業時間: 店舗により異なる
■冷泉荘事務局定休日: 火曜
■公式HP: https://www.reizensou.com/
博多旧市街のクライマックス 櫛田神社界隈へ
さあ、757年に創建された博多の総鎮守、櫛田神社へ参拝しましょう。
G【博多の総鎮守 櫛田神社】は見どころがいっぱい
櫛田神社は、博多の祭りと深くかかわっています。国指定重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産である「博多祇園山笠」や、博多に秋を告げる風物詩である「博多おくんち(秋季大祭)」などが行われています。
「博多祇園山笠」のフィナーレを飾る7月15日早朝の「追い山笠」は圧巻で、櫛田入りから始まります。博多祇園山笠では、7月1日〜15日まで市内中心部各所に「飾り山笠」が立ちますが、ここでは6月を除きほぼ一年中飾り山笠をみることができます。
毎年5月に開催される「博多どんたく」の起源である博多松囃子の一行は、櫛田神社から出発します。
境内には有名力士が力自慢に持ち上げた石を奉納する力石(ちからいし)や樹齢1,000年以上といわれる櫛田の銀杏などじっくりみておきたいところがたくさんあります。
楼門の天井にある干支恵方盤。毎年大晦日に新しい年の恵方を示すそう
拝殿の破風の左右に掲げられている風神雷神をよくみてください。あっかんべをしている風神は博多っ子のユーモアあふれる気質を表しているそう
博多のさまざまな資料や企画展示がある「博多歴史館」にもぜひ立ち寄って。
【櫛田神社】
■住所: 福岡市博多区上川端町1-41 [MAP]
■TEL: 092-291-2951
■営業時間: 4:00〜22:00(社務所9:00~17:00)
■博多歴史館 入場料300円/10:00〜17:00/月曜休館(祝日の場合はその翌日)
H【博多町家ふるさと館】博多のことがよくわかる
櫛田神社のそのすぐ隣、博多町家ふるさと館へ足を運びましょう。
提供: 福岡市
「町家棟」は、明治中期の博多織元の住居兼工場であった建物を移築し、当時の暮らしぶりが体験できます。博多織職人が機織り実演をしているので、ぜひ訪ねてみてください。博多ならではの伝統工芸品や土産が揃う「みやげ処」とここは無料で入ることができます。
ここで終わりにしないで、入場料が200円かかる「展示棟」にぜひ。博多町人の暮らしぶりがわかる展示や博多祇園山笠の動画、台上がりを体感できるVRや博多人形、博多張子、博多独楽、博多曲物のなどの制作実演が行われており、絵付け体験もできます(要予約)。
>>博多町家ふるさと館の関連トピックスはこちらをご覧ください
【博多町家ふるさと館】
■住所: 福岡市博多区冷泉町6-10 [MAP]
■TEL: 092-281-7761
■開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)※7月,8月は9:00から開館、みやげ処は10:00から
■定休日: 第4月曜(祝休日の時は翌平日) ※みやげ処は営業12月29日~12月31日
■公式HP: https://www.hakatamachiya.com/
I【キャナルシティ博多】噴水ショーやエンタメ、ショッピング、グルメを存分に楽しむ
世界中の人が集まっているような賑やかさと活気にあふれるキャナルシティ博多。
ここではショッピングやグルメが楽しめるのはもちろん、30分に1度、中央のサンプラザステージで行われる噴水ショーがダイナミックで気分を盛り上げてくれます。
さらに夜に行われるキャナルアクアパノラマは鮮やかで楽しいですよ。そのほか、季節のイベントもたくさんあって、リラックスできる空間です。
私の好きな韓国のアーティスト、ナムジュン・パイクのアートも見逃さないでね。
1996年のキャナル開業時にクリスタルキャニオン壁面に設置されたビデオアートの先駆者、ナムジュン・パイクの作品。
一時消灯していたが2021年から放映再開。縦約5.4m、横約10.7mの巨大な作品は1日に3回放映時間が決まっているのでチェックを!
>>キャナルシティ博多の関連トピックスはこちらをご覧ください
【キャナルシティ博多】
■住所: 福岡市博多区住吉1-2 [MAP]
■TEL: 092-282-2525
■営業時間: ショップ10:00~21:00、レストラン11:00~23:00
■定休日: なし
■公式HP: https://canalcity.co.jp/
J【櫛田神社前駅】まるで博多の伝統のショーケース
2023年3月27日に開業した地下鉄七隈線櫛田神社前駅。ここを利用すれば櫛田神社へもキャナルシティ博多へも行きやすい博多旧市街の拠点駅です。
ここはまさに博多旧市街の歴史と伝統を感じるショーケース、ギャラリーのような駅です。この駅のデザインコンセプトは「博多の歴史や文化をつむぎ、都心の賑わいを感じる駅」とのこと。
博多祇園山笠の世界観を表した壁面装飾。各流れにQRコードが埋め込まれていて、情報がキャッチできます
櫛田神社の石畳参道をイメージした床タイルの落ち着いた雰囲気の中、博多祇園山笠を表現した壁面装飾や博多水引、博多人形や博多織などの伝統工芸品を展示するコーナーなどゆっくり鑑賞することもできます。
散策スポットのひとつとしてゆっくり時間をとって訪ねてください。
博多旧市街 博多駅〜呉服町駅編で紹介した長澤宏美さんの博多水引。鮮やかです
博多水引は「博多旧市街コレクション」のひとつ。博多旧市街コレクションとは博多旧市街の看板商品で、「宿泊」「体験」「お土産」の3カテゴリーがあり、それぞれ独自の趣向を凝らした、博多旧市街の魅力がぎっしり詰まったものばかり。
【櫛田神社前駅】
■住所:福岡市博多区祇園町 [MAP]
■TEL:092-715-7800
■公式HP:https://subway.city.fukuoka.lg.jp/eki/stations/kushida.php
■博多旧市街コレクション商品一覧
散策MAP付!今回は「動」の博多旧市街を楽しむモデルコース
Aの呉服町付近を始点にJの櫛田神社前駅付近までが今回の博多旧市街の街歩きモデルコースです。
呉服町から広がる「博多旧市街」の世界、いかがでしたか。活気あふれる商人のまち、そして「博多祇園山笠」の躍動を常に感じられる、地下鉄呉服町駅から川端通商店街、櫛田神社まで
。
ぜひ、博多の「動」に触れてみてください。
■前回の「静」の博多旧市街を楽しむモデルコース記事はこちら
>>https://fukuoka-leapup.jp/tour/202303.1236
博多旧市街の散策方法と世界が広がるガイド案内や講座
私が、福岡市の一番の見どころと思う博多旧市街を「博多駅〜呉服町界隈〜呉服町駅〜店屋町界隈〜中洲川端駅〜川端通商店街〜櫛田神社界隈〜櫛田神社前駅」とぐるっと一日かけてもまわることができるように紹介しました。
時間がない方は、博多駅から、「福岡空港線祇園駅」「福岡空港線中州川端駅」「七隈線櫛田神社前駅」と駅を選んでその周辺を散策するといいでしょう。
特に、これからの季節は祭りや神事が続きます。博多旧市街エリアを中心に開催されます
■5月3日4日: 博多どんたく港まつり
■7月1日〜15日: 博多祇園山笠
深堀すればするほど面白い博多旧市街。ガイドさんに案内してもらうと見え方が変わって、積み重なった歴史やストーリーが見えてきますよ。
【博多ガイドの会】
東長寺にはガイド(10:00〜15:00、無料 ※不在の場合あり)が案内をされています。また、自分の興味関心や時間にあわせて、ガイドをお願いできます(有料)。
>>博多ガイドの会
【福岡市観光案内ボランティアの無料定時ツアー】
毎日14:00、博多町家ふるさと館展示棟前から約1時間の「まち歩き」にご案内します(無料、休みの日もあり)。先着6名程度(団体不可)。予約不要。
>>無料定時ツアーについてはこちら
>>福岡市観光案内ボランティアHPはこちら
【博多っ子講座】
前編で紹介した西門蒲鉾の上田啓蔵さんが議長を務めるはかた部ランド協議会主催の博多を知る勉強会。5月27日スタートで12月までで年8回(受講料6,000円、都度1,000円)開催されます。興味がある方はぜひ。
■問合せ・申込み: はかた部ランド協議会事務局(西門蒲鉾本店内)
■TEL : 092-291-2466