【 ランキングで知る福岡の実力 】

日本で交通アクセスが良いのは、どの都市? ~地下鉄七隈線の博多駅乗り入れでさらに便利になる福岡市の交通を考える~

2023年3月27日、福岡市地下鉄七隈線が博多駅へ乗り入れて延伸開業します。今年は地下鉄誕生160周年という節目の年であり、七隈線延伸で福岡市の交通・アクセスがさらに高まっていくことが期待されます。福岡市の住みやすさを下支えしている〝交通・アクセス力〟について、各種データを基に考えてみます。

政令市・県庁所在地など138都市での交通アクセス上位は大阪、名古屋、福岡

『日本の都市特性評価2022』における「交通・アクセス」ランキング(画像提供:森記念財団都市戦略研究所)

都市とは古来、多くの人口が比較的狭いエリアに集中し、その地域における経済や文化、政治、交通などにおいて中心的な役割を担う地域だ。
今日、これらの都市の存在が、あらためて脚光を浴び、そして〝都市力〟そのものにも注目を集める。

「日本の各都道府県における主要都市を対象として、都市の力を定量・定性データをもとに相対的かつ多角的に分析し、都市の強みや魅力といった都市特性を明らかにすることを目的として調査研究」に取り組む森記念財団都市戦略研究所。
同研究所は毎年、『日本の都市特性評価』(Japan Power Cities/JPC)を発表する。

経済・ビジネス、研究・開発、文化・交流、生活・居住、環境、交通・アクセス━━━。
JPCでは、これらの6分野26指標グループ86指標をスコアにしてランキング化している。
調査対象である政令指定都市、 都道府県庁所在地(政令指定都市除)、 人口17 万人以上の都市の計138都市における交通・アクセス分野のトップ3は大阪市(スコア218.8)、名古屋市(同187.6)、福岡市(同176.5)だった。

交通・アクセス分野は、都市内交通、都市外アクセス、移動の容易性の3つのグループ指標で構成されている。
福岡市の場合、都市内交通の「公共交通の利便性」、都市外アクセスの「空港アクセス時間の短さ」「インターチェンジ数」が群を抜いて高かった

福岡市は博多駅、博多港、福岡空港という陸海空の一大交通拠点を半径2.5キロ圏内にもつコンパクトシティだ。
この結果、都市外アクセスが極めて高く、都市内交通や移動の容易性にも優れた都市として評価されている。

なお、JPCの総合ランキングにおける順位は第1位の大阪市、第2位の京都市に次ぐ第3位が福岡市だった。

『日本の都市特性評価2022』における福岡市に対する総合評価(画像提供:森記念財団都市戦略研究所)

世界が認めた福岡の交通・アクセス力!

『世界の都市総合力ランキング2022』における6分野評価(画像提供:森記念財団都市戦略研究所))

森記念財団都市戦略研究所では、JPCと共に『世界の都市総合力ランキング』(Global Power City Index/GPCI)を毎年、発表している。
「国際的な都市間競争において、人や企業を惹きつける“磁力 ”は、その都市が有する総合的な力によって生み出されるという考えに基づき作成された」とする同ランキングにおいては、東京、大阪、福岡の日本国内3都市が対象だ。
GPCIにおいてもJPCと同じく6分野26指標グループ70指標のスコアでランキング化する。

交通・アクセス分野での評価は、世界43都市中で東京(スコア185.1)は第10位、福岡(同134.0)は第31位、大阪(同115.0)は第38位だった。
GPCIランキングで大阪を逆転した福岡は、第32位のサンフランシスコ(同133.8)、第33位のストックホルム(同133.2)、第34位のワシントン,DC(同132.9)を上回っている。

JPCでも高い評価を得た福岡の〝交通・アクセス力〟は、GPCIにおいても世界の首都もしくは同クラスの都市に匹敵する評価を得ているといえそうだ。

なおGPCIの総合ランキングにおける日本国内3都市の順位は、東京は第3位(総合スコア1,367.2)、大阪は第37位(同947.3)、福岡は第41位(同871.9)だった。

東京都市圏とロンドンの公共交通分担率は共に36%、福岡は・・・

世界の各都市と東京23区における公共交通分担率の比較と考察(画像提供:住商アビーム自動車総合研究所)

東京(都市圏)の交通分担率とロンドンの交通分担率(画像提供:住商アビーム自動車総合研究所)

交通・アクセスにおいて、人々が移動に用いる交通手段は、公共交通と私的交通に大別される。
公共交通は、鉄道やバス、タクシーなどの交通機関が担う。
一方、私的交通は、自動車や自転車、徒歩などだ。

総合商社である住友商事と、アジア発の国際コンサルティング会社であるアビーム・コンサルティングによる合弁会社、住商アビーム自動車総合研究所は2020年10月、業界レポート『交通分担率の都市比較とポストコロナの展望』を発表した。

移動時における交通手段毎のシェアである『交通分担率』に注目した同研究所の糸川咲太郎アシスタントマネージャーは、次のように記す。

交通分担率は、都市計画や都市開発、地下鉄の路線検討の際や、人々の移動実態を把握する上で重要なデータとなる。
日本では、交通分担率の調査にパーソントリップ調査と呼ばれる、市民へのインタビューに基づいた統計的な手法によって集計される。

世界の各都市については、都市毎の調査目的や地域特性に応じて調査の方法や対象、交通手段分類の粒度が異なるため同条件で捉えることはできないが、並べて比較することによって都市毎の特徴を読み解くことができる。

 

福岡の交通分担率については、上記のレポートで明らかになっていない。
これまで福岡は〝ミニ東京〟とやゆされることもあるものの、バス交通網の発達ぶりを考慮すると、『東京(都市圏)』型よりも『ロンドン』型に近いと推測できる。

当のロンドンでは1863年1月10日、メトロポリタン鉄道が世界初の地下鉄をパディントン駅~ファリンドン駅の約6キロに開通させた。
そして今日、地下鉄を意味する『メトロ』という名称の語源は、メトロポリタン鉄道に由来する。

地下鉄誕生160周年の今年、3月27日に地下鉄七隈線が延線開業

画像提供:福岡市交通局

画像提供:福岡市交通局

地下鉄が登場して160周年にあたる今年、福岡市営地下鉄七隈線が博多駅へ乗り入れて延伸開業する。
福岡市西南部と都心を結ぶ、九州初の鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄の七隈線は3月27日朝、七隈線延伸開業式典と一番列車出発式を行う。

これまでの天神南駅から博多駅に至る約1.4キロ(営業キロ1.6キロ)の延伸工事は当初、450億円を投じて2020年度に開業する予定だった。
しかし、2016年11月8日に発生した博多駅前での道路陥没事故によって開業時期が見直されたほか、労務単価や資材価格などの高騰もあって事業費は587億円に膨れ上がった。
これらの困難を乗り越えての博多駅への延伸開業によって、七隈線沿線から博多駅までの所要時間は、乗換時間も含めて約14分短縮される。

JR線との乗り換えはJR改札口~地下鉄改札口で約180メートルであるのに対し、七隈線が乗り入れる博多駅における地下鉄空港線との乗り換えは、改札内移動で空港線ホームから七隈線ホームまで約150メートルとなり、JRへの乗り換えよりも短い距離となっている。

地下鉄七隈線の延伸において中間地点に新駅『櫛田神社前駅』を設けて、延伸区間の1日あたりの利用者として8.2万人(うち新規利用者数2.3万人)を見込む。 

今回の地下鉄七隈線の延伸開業の意義について、交通計画や都市計画を研究する福岡大学工学部の辰巳浩工学部長は、次のように語る。

公共交通システムは、ネットワークとしてつながっていることが重要です。
特に、交通ネットワークの〝要〟である交通結節点では、≪待たなくて良い≫≪歩かなくて良い≫≪濡れなくて良い≫などの利便性も求められます。

今回、地下鉄七隈線が博多駅に乗り入れたことによって交通結節機能が強化され、交通ネットワーク上において〝一つのカタチ〟が出来上がったものと考えます。

 

福岡大学工学部 工学部長 辰巳浩教授

 

福岡市の好敵手は釜山、台北、上海、クアラルンプール!?

シンポジウム「都市の魅力~持続可能で魅力的な国土形成を目指して~」(画像提供:森記念財団都市戦略研究所)

JPCとGPCIを毎年発表する森記念財団都市戦略研究所は2023年2月24日、電気ビル共創館においてシンポジウム「都市の魅力~持続可能で魅力的な国土形成を目指して~」を開催した。

パネリストとして九州大学大学院の黒瀬武史教授、九州経済調査協会の岡野秀之事業開発部長と共にJPC運営委員会委員長であり、GPCI実行委員の市川宏雄明治大学名誉教授が登壇した。
当日の質疑応答において市川教授は、福岡市が今後取り組むべき施策として「海外からヒト、カネ、ビジネスを呼び込む上での積極的な規制緩和の必要性」を説いた。
そして、福岡市の好敵手となる国際都市として、釜山、台北、上海、クアラルンプールの名前を挙げた。

今日、ポストコロナ時代へ動き出し始め、都市間競争も激しさを増している。
このような状況下、地下鉄七隈線の延伸開業をテコに福岡市の〝交通・アクセス力〟を高めていくことを通じて、より一層ヒト、カネ、ビジネスを呼び込んでいくことが、いま求められていると考える。

参照サイト

森記念財団都市戦略研究所『日本の都市特性評価』(Japan Power Cities/JPC)
https://mori-m-foundation.or.jp/pdf/jpc2022_summary.pdf
森記念財団都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング』(Global Power City Index/GPCI)
https://mori-m-foundation.or.jp/pdf/GPCI2022_summary.pdf
業界レポート『交通分担率の都市比較とポストコロナの展望』
 https://www.sc-abeam.com/and_mobility/article/20201028/
福岡市地下鉄『七隈線延伸事業に関するお知らせ』
https://subway.city.fukuoka.lg.jp/nanakumaline_extension/
鉄道計画データベース】福岡市営地下鉄七隈線延伸
https://railproject.tabiris.com/nanakuma.html

 

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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