1万年前は日本の人口2万人。維新後の近代で人口爆増
出典:社会実情データ図録『人口の超長期推移』
いまから1万年前の縄文早期、日本の人口は2万人だったと推計されている。
縄文・弥生期の人口は遺跡数などで推計する。紀元前4300年頃の縄文中期にピークとなる26万人まで増えたものの、寒冷化によって減少。
紀元前2900年頃の縄文晩期には8万人まで急減した。稲作農耕が本格的に普及した弥生期に再び急増し西暦200年頃には、59万人だったとみられる。
国家の形成で人口は伸長し、人口推計法も戸籍などの文献資料が主になっていく。
大宝律令が制定した8世紀初頭に610万人となったものの、停滞期を迎え、承平天慶の乱が起きた10世紀半ばは500万人だった。
鎌倉幕府が成立した12世紀後半に590万人となり、元寇が起きた13世紀後半で595万人と横ばいで推移した。
応仁の乱を契機に戦国時代を迎えた15世紀後半に1,005万人だった人口は、戦国時代の終焉を告げる関ケ原合戦が起きた17世紀初頭に1,700万人まで増えた。
16~17世紀に農耕開始期に次ぐ人口増を誘発した要因として、戦国大名による領内開発に加え、小農民の自立で〝皆婚社会〟化が進んだことによる出生率の上昇などが挙げられる。
江戸期、享保の改革が進展した18世紀前半に3,128万人となった。
その後、都市化の進展もあり、人口は停滞して明治維新時は3,330万人だった。
明治期以降、爆発的に人口が増加して2008年に日本における人口のピークとなる1億2,808万人に達した。
江戸期:武士のまち福岡3万人、商人のまち博多2万人が暮らす
画像:福岡県立図書館所蔵『博多旧図』(福岡県立図書館デジタルライブラリより)
1601年(慶長6)、豊前国から黒田長政が、筑前福岡藩主として入府した。以降、武士のまち『福岡』と商人のまち『博多』という性格の異なる二つのまちが、那珂川を挟んで隣接する〝双子都市〟として発展していく。
かつての福博のまちの状況について、福岡市博物館アーカイブスNo.335『江戸時代の福岡住宅事情』によると、博多は1690年(元禄3)における家数3,118軒、人口1万9,468人と紹介している(『筑前国続風土記』)。
那珂川の東側にあった商人のまち『博多』に対して、那珂川の西側に新たに建設した武士のまち『福岡』の人口は、明治初年の記録から推計している。
福岡とその周辺である西新、鳥飼、警固、薬院、春吉などに1万6,000人余りの武士とその家族が住んでいた (『福岡県地理全誌』)。
福岡には、武士以外の人口が1万5,000人余りだったということで、合わせて約3万人が、那珂川~室見川の範囲内に居住していたそうだ。
明治初期:福岡、熊本、鹿児島の人口は4.5万人前後で並ぶ
画像:福岡県立図書館所蔵『福岡城下屋敷図 全』(福岡県立図書館デジタルライブラリより)
名古屋11万4,898人、金沢10万7,979人、広島7万6,484人、仙台6万1,709人、和歌山6万492人、福岡4万5,712人、鹿児島4万5,097人※、熊本4万4,384人※、佐賀2万4,657人、久留米2万907人、柳河1万4,025人、小倉1万1,594人※……。
京都大学教授や奈良大学学長を歴任した地理学者の故西村睦男氏は、論文『藩領人口と城下町人口』において、『共武政表』を基に1879年(明治12)当時の旧城下町(陣屋所在町)の人口の一覧表を掲載している。(※は1886年『統計集誌306号』)
激動の幕末・維新を経て明治期へ移行した後、西南戦争による影響も残る1879年当時、福岡の人口は4万5,712人だった。
一方、細川54万石の城下町だった熊本が4万4,384人(1886年『統計集誌306号』調べ)、島津77万石の城下町だった鹿児島が4万5,097人(同)となっている。
現在では九州新幹線で結ばれている福岡、熊本、鹿児島の3都市は当時、人口4万5,000人前後で〝どんぐりの背比べ〟状態だった。
福岡市は135年前、人口5万人で誕生。市制施行31市の伸長率1位
いまから135年前の1889年(明治22)4月1日、市制施行で福岡市が誕生した。
当日、全国では、福岡を含む31の都市で市制が施行され、九州内で長崎市、久留米市、熊本市、鹿児島市、佐賀市が発足した。
福岡市制施行130周年を記念して、福岡市博物館は2019年4月2日~7月15日の会期で企画展示『市制施行130周年記念 福岡市 これまでとこれから1』を開催した。
当時の福岡市について、企画展示の資料では、次のように記す。
「この時の福岡市の面積は5.09平方キロメートルで、江戸時代の福岡城下の範囲と同程度、現在の市域の67分の1に過ぎませんでした。また、人口も50,847人で、現在の30分の1の規模でした。現在では158万人を超え、東京23区、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市に次ぐ全国で6番目の人口となっていますが、市制施行直後は、全国で15番目、九州では鹿児島市、長崎市に次いで3番目の規模でした」
1889年に市制を施行した31市のうち、現在の人口規模で最多は横浜市の376万人強となり、164万人強の福岡市は第2位だ。
一方、現在の人口を当時の人口で割った伸長率でみると、31倍強の福岡市は横浜市を逆転して、第1位となっている。
100年余前の第1回国勢調査で9.5万人の福岡市は九州で4番手の都市
1920年10月、『第1回国勢調査』が実施された。
その結果、当時の日本における人口は5,596万3,053人だということが明らかになった。
当時の九州において、人口規模で最大の都市は、17万6,534人の長崎市だった。続く第2位が10万3,180人の鹿児島市であり、第3位に10万235人の八幡市(現北九州市)が続いた。
当時9万5,381人の福岡市は、九州で第4番目の都市だった。
福岡市は1930年実施の『第3回国勢調査』において熊本市を抜いて九州で最多の都市となる。
その後、1963年に旧5市が合併して北九州市が誕生すると、福岡市は九州で二番手の都市となる。
1980年実施の『第13回国勢調査』で福岡市は、北九州市を追い抜いた。
最新の国勢調査である2020年10月実施の『第21回国勢調査』によると、福岡市の人口は、九州最多となる161万2,392人(確定値)だった。
日本の大都市において、福岡市の人口規模は、東京都区部、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市に次いで6番目となる。一方、福岡市の人口増加数および人口増加率については、全国20政令指定都市の中でもトップとなる数字だった。
福岡市は2040年に170万人突破を推計。未来へ投資する
福岡市は近年、<生活の質の向上>と<都市の成長>の〝好循環〟をテーマにまちづくりに取り組んできた。
この間、国家戦略特区をはじめ、『天神ビッグバン』『博多コネクティッド』による都心再開発なども展開している。
福岡市の『第9次福岡市基本計画』がスタートした2013年度からの10年間における商業地、住宅地、全用途の平均地価では、それぞれ147%増、74%増、128%増という大幅な伸びだった。
一方、基本計画のスタート前年だった2012年度の福岡市内総生産(名目)は6兆9,500億円であり、市税収入は2,697億円だった。コロナ禍直前の2019年度には、市内総生産(同)が12.09%増の7兆7,900億円になり、市税収入も27.73%増の3,445億円へと大幅な伸びをみせている。
そして、2013年3月1日時点で149万8,887人だった福岡市の推計人口は、2024年3月1日時点では9.8%増の164万5,364人へと大幅に増加している。
福岡市における総人口のピークは、2040年頃で約170万人に達する━━。
福岡市は独自の試算に基づき、人口のピークについて従来の2035年から5年ほど延びて、2040年に170万2,000人を突破するとの推計を出した。
人口は、『自然増減』と『社会増減』という2つの要素で変動する。福岡市の場合、出生数と死亡数の差である自然増減は2021年以降はマイナスに転じたものの、転入数と転出数の差である社会増減は進学や就職によって社会増が続くと見込む。
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福岡市が2024年1月18日に発表した『令和6年度一般会計当初予算案』の総額は、前年度比3.1%増の1兆825億円となり、過去最大だった。
歳入面で市税が、固定資産税や都市計画税の増加などで同1.4%増の3,706 億円となり、過去最高を更新する見込みだ。
福岡市では、〈都市の成長〉で得た〝果実〟を子育て支援をはじめとする〈生活の質の向上>に生かす。
そして、都市経営においても〝未来への投資〟ともいえる施策を着実に進めるなど、布石を打っている。
参照サイト
社会実情データ図録『人口の超長期推移』
https://honkawa2.sakura.ne.jp/1150.html
福岡市博物館 アーカイブスNo.335(歴史展示室)『江戸時代の福岡住宅事情』
https://museum.city.fukuoka.jp/archives/leaflet/335/index.html
福岡市博物館『市制施行130周年記念 福岡市 これまでとこれから1』
https://museum.city.fukuoka.jp/sp/exhibition/532/
西村睦男著『藩領人口と城下町人口』
http://hist-geo.jp/img/archive/111_001.pdf
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