突然ですが、あなたのまちにブックオフはありますか?
最後に行ったのはいつですか?
中古の本もAmazonで簡単に手に入るいま、敢えてブックオフに足を運ぶこともない、かもしれません。もしくはそもそも本を読むのが億劫だとか、まだ読んでない積ん読があるから今は、、、という方もいるでしょう。
そういう方に言いたい。必要な本だけ買ってんじゃねーぞ、と言いたい。
こういう原稿を書いておきながら、そもそも私はそんなに本を読むタイプではありません。特に高校生までは本といえば漫画ばかりで、今はなき地元のブックマーケットに行っては、スラムダンク完全版を少しずつ集めたり、目をハートにして少女漫画を立ち読みしたりしていました。
少ないお小遣いで買った漫画やCDの入った袋をママチャリのカゴに入れて、ホクホクしながら家に帰ったあの光景が、ブックオフに入店すると蘇るのです。あの独特の匂いとともに。
この外観に無性にひかれる
現在は、本に限らず服なども扱う総合リユース店としての色が強くなっていますが、そもそもブックオフって何者なんでしょう。
業態は従来の「古書店」とは異なり、希少性が低く大衆的に人気の高い本を中心に売買する「新古書店」。
1990年に創業したブックオフはすごい勢いで店舗数を増やしていくわけですが、本来古書店なら「この本はこのくらいの価値があるから、この値段をつけよう」というように、目利きのできるスタッフを時間をかけて育てる必要があります。
ところがブックオフはそれをせず、「綺麗な本を定価の半額で売る」「状態がイマイチの本は100円コーナーに置く」という、誰でも値付けができる暴力的なスタイルで多店舗展開を実現。
それによって生まれる本来の本の価値と値段との不一致が、利用者のウキウキの発動源となり、はたまた、せどり(いわゆる転売)をすることを生業とする”せどらー”と呼ばれる人たちも生んできました。
現在はこの値付けスタイルは変わってしまい、定価440円の漫画が400円で売られるなど、かつてのブックオフの価格破壊を知っている人からすれば「お前も変わっちまったな、、、」と肩を落とされるかもしれません。
けれどもあの、自分の検索能力の範囲外にある何とも面白そうな本が、目の前の棚に裸で叩き売られて大量に並んでいる。且つその中にお宝があるかもしれないという光景の楽しさは、ブックオフ以外では得難いものではないでしょうか。
『ブックオフ大学ぶらぶら学部』は、2020年に創業30周年を迎えたブックオフについて、ライターや本屋、漫画家、そして現役のせどらーなど9人が、思いを寄せて執筆している本です。前述のようなブックオフ史も面白いのですが、割と冒頭でライターの武田砂鉄さんがさらりと書いている、「なんで、必要な本ばかり読んでいるんだよ」という言葉が私はたまらなく好きです。
必要のないもの、なくたって別に困らないものこそが、人生を楽しくしてくれると思うんです。
それに本は一度買えば、よきタイミングで読む時が必ず来てくれるので、とりあえず家において満足するだけでもいい。ブックオフ大学ぶらぶら学部とりあえず買って積ん読学科として、声を大にして言います。
無駄と偶然の出会いを愛して、まだいらない本を買いにゆきましょう!
必要な本だけ買ってんじゃねーぞ!
* * *
福岡にあるブックオフのうち、博多と天神の最寄り店舗はこちら。店主のセレクトが楽しいまちの書店や古書店、品揃え豊富な大型書店もいいですが、たまにはブックオフ、どうでしょう。いろんな本屋さんそれぞれに違う楽しさがありますね。
・BOOKOFF 福岡博多口店
営業時間:10:00~22:00
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前3-2-8 住友生命ビル
・BOOKOFF SUPER BAZAAR ノース天神店
営業時間:10:00~21:00
住所:福岡県福岡市中央区天神4-3-20 ノース天神6・7F
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