今回は、福岡市博多区吉塚(よしづか)からお届けします。
こちらは「吉塚営業所」バス停から発車するバス時刻表です。都心を抜けて福岡市の西南部へ、多彩な系統が延びています。
そして、その「吉塚営業所」から徒歩2分ほどの場所にあるのが、「吉塚駅」バス停。
駅前のロータリー内に立っているので、
こちらも各地への出発拠点になっているのかと思いきや、
表示されている行先はひとつだけです。
本数も、平日に2本だけ。土日祝はロータリー内にバスは来ません。
終点と始発
果たして吉塚駅で何が起こっているのか、見ていきましょう。
ロータリーの向こうから、九大病院からのバスが「吉塚駅ゆき」としてやってきて、
ロータリー内で終点です。
今回は誰を降ろすことも、誰を乗せることもなく、「51柏原営業所ゆき」となって、
ロータリーを回り、出発していきました。
この後51番のバスは九大病院方面へ向かい、交差点を通った先にある「吉塚駅前」バス停に停車します。
これが1日2回ずつ繰り返されています。
もちろん、ふだんはお客さんがいることのほうが多いと思いますが。
もしもあなたがマニアなら
先回に引き続き、すべての路線を乗りつくすマニアの夢「完乗(かんじょう)」をするとして、一連の流れを図で確認してみましょう。ロータリーを道路と見做すと、「一周」しなければなりません。
つまり、完乗のためには「終点の吉塚駅」で降り、「始発の吉塚駅」で乗る必要があります。
「吉塚駅」で降り、且つ「吉塚駅」から乗ることで、ロータリーを一周できる
吉塚駅に来るバスの本数が多ければ、降りたあとで少ししてから次のバスを待ってもよいのですが、ここで冒頭の時刻表を思い出してください。
そう、平日2便なのです
吉塚駅で11時台の便から降りたとしても、数時間後にしか次のバスは来ません。
となると、あくまで「完乗」が目的ならば、
乗ってきたバスを降りて、待ち時間もないまま出発するバスに、
また乗り込む。そんなシーンが想像できますでしょうか。
個人的には気まずいです。じゃあ乗らなければいいのに、と自分で自分にツッコミを入れることもあります。乗りますけどね。
こういうロータリー形式でなく、末端の終点で普通に折り返す場合でも、同じ運転士さんに往復乗せていただくのは、申し訳ない気持ちになります。
「せっかく運んでやったのに、何もせずに帰るのか」と思われるのではないか、心配です。時として「終点まで往復お願いします」と、マニアであることを事前に明かすこともあります。
バスというのは基本的に、「移動の手段」です。
運転士さんは仕事なので、往復乗るだけの客でも運賃を払うのであれば気にしないのかもしれませんが、あくまで「異端の乗り方をしている」という自省は忘れたくありません。
バスが走ってくれないと、それに乗って楽しむこともできないですから、「バス路線を運営している方々の迷惑にならないこと」は常に心掛けておきたいです。おそらく年をとっても、「バス趣味をやめる」ことは考えられないので。
ライター 沖浜さんより
おかげさまで昨年2月の連載開始より、月3本ずつ年間36本のバス停愛を、滞ることなく綴ることができました。たくさんの方に読んでいただいているようで、皆さまのご愛顧にあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。
次回の記事から2年目に入ります。当方の立ち位置は何も変わらないと思いますが、今後もバスマニアならではの視点をお伝えするべく努力する所存です。今後ともよろしくお願いいたします。
フクリパ編集部
次回の連載では「難読」系のネタをお届けします。お楽しみに!
基本情報
バス停名:吉塚駅(よしづかえき)
・住所:〒812-0046 福岡県福岡市博多区吉塚本町13[map]
・天神からの行き方一例:
「天神大和証券前(14) (大和証券前14 県庁方面)」から普通77番 県庁・箱崎駅 多の津・名子経由 トリアス久山ゆき に乗車。「吉塚駅前」バス停で下車したのち、徒歩2分で到着。約16分、240円