今回は「共助」「共創」をテーマに書かれている本をご紹介いたします。今年最後に来年の抱負として考えて欲しい一冊です。
「やっかいな問題」とは産業革命以降、近代化がもたらす自分たち個人レベルではどうにもならない環境、資源、人口問題、紛争など複雑で解決困難なことを指しています。
「歳末たすけあい」が行われている時期ですが、助ける人が助けを必要としている人を支える。そんな関係性をもう少し大きい視野で捉え、助けと必要としている人も助ける人の支えとなる。これが「共助」という考え方で新しい価値を生み出す内容が書かれています。
九章に分かれていますが最初の五章では、やっかいな問題とは何か、問題を問い直すための「共創」という考え方、「成解」を導き出すための力の身につけ方、そのための市民参加によるネットワーク作りや社会イノベーション教育についてをわかりやすく解説。六章からは実際に「やっかいな問題」に取り組んでいる共創の現場を紹介しています。
誰も取り残さない、そんな社会を作っていくことがコロナ禍でさらに大事に感じている部分です。
あまり細かく内容は説明出来ていないのですが、ぜひお読みくださり、もし私にもご感想やご意見をいただければ幸いです。
この本を選書した時に浮かんだのが鳥取にある「汽水空港」という小さな本屋です。
店主モリテツヤさんが開催した「Whole Crisis Catalog」という試みを思い出しました。これは訪れる皆さんの日々の困り事を集めてその声を冊子にまとめたものです。
内容は多岐に渡り、個人レベルのものから行政でなければ解決出来ないような悩みまで様々です。小さな悩みは誰かが手を差し伸べ、解決していけますが、大きな問題は実際に選挙前の立候補者に投げかけ、その反応を通して誰にその問題を託す事が出来るのかひとつの目安となる試みでした。
やっかいな問題はそこかしこにあります。だからこそ他人同士である、みんなで共助しあい共創し、解決すべき道へ進んでいく。そういう事の出来る街を地域を社会を作り上げていきたい。そのためにこの本はとても参考になるものだと思います。
三人では難しい。でも百人集まればその力は無限大の可能性を秘めているかもしれません。
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やっかいな問題はみんなで解く
堂目 卓生、山崎 吾郎 (編)
出版社:世界思想社
定価:2,000円+税
書店発売日:2022年11月25日
https://honto.jp/netstore/pd-book_32038057.html?partnerid=02vc01