自販機から始まった、食の入り口

(写真提供:こだまりクラフトフード)
11台の冷凍自販機を手がけるのは、福岡を拠点に約35店舗の飲食店を展開する「O・B・U Company」です。
その製造小売事業として立ち上げたブランド「こだまりクラフトフード」では和洋中の本格料理を冷凍メニューとして製造。冷凍自販機で商品を提供するほか、飲食店向けの卸売も行っています。
根底にあるのは、同社が掲げる「世界中の人のお腹と心を満たしていく」という理念です。その想いを実現するために、この事業は生まれました。

レンジで温めるだけで本格中華を味わえる「海老チリ」(写真提供:こだまりクラフトフード)

忙しい日の一品にうれしい「肉汁ハンバーグステーキ」(写真提供:こだまりクラフトフード)
冷凍自販機が設置されたのは、コロナ禍明けの2023年9月。
コロナ禍を経て無人販売の設置が広がる中、同社でも工場直売のように作った料理をそのまま届ける形を模索していたそうです。その結果として生まれたのが、大橋エリアにある11台を含めた、全20台の冷凍自販機でした。
「冷凍=妥協」ではない理由

和洋中の料理人が一つひとつ手作業で仕上げる製造現場(写真提供:こだまりクラフトフード)
こだまりクラフトフードの最大の特徴は、「料理そのものを届ける」という発想にあります。
「私たちが行っているのは食材卸ではなく、“料理卸”です。飲食店の料理をそのまま届けるイメージです」と話してくれたのは、製造課長の渡辺京太郎さん。
工場には和洋中の料理人が在籍し、レシピ開発から製造まで一貫して担当しているそう。焼き鳥は一本ずつ手作業で仕上げるなど、その工程はまさに厨房そのものです。
さらに、美味しさを支えているのが急速冷凍技術。食材の細胞を壊さずに凍結することで旨みを逃さず、出来たての味を再現できるといいます。
料理人の技術と、最先端の冷凍技術。その掛け合わせが、「冷凍だからこそ届けられる味」を実現しています。
工場の隣で実際に食べられる体験も

(写真提供:こだまりクラフトフード)
この取り組みの面白さは、自販機だけにとどまりません。工場に隣接する「酒場こだまり」では、自販機で販売されている冷凍メニューを実際に店内で味わうことができます。冷凍=家庭用という枠を超え、店と家庭をつなぐ存在として機能している点もこの事業ならではです。
地域の暮らしに寄り添う24時間の食のインフラ

レンジで温めてそのまま食卓に並べられる、手軽で便利な「おかずセット」(写真提供:こだまりクラフトフード)
この冷凍自販機が設置されている大橋エリアは、ファミリー層から単身者、高齢者まで、幅広い世代が暮らす街です。だからこそ提供するメニューも、日々の暮らしにフィットすることを意識して設計されています。
「冷凍庫にストックしておけば、今日はごはんをつくる時間がないという時にすぐ使える。そういう使い方をされている方も多いようです」と渡辺さん。例えば、夕食の一品として使える「おかずセット」は子どもがいる家庭でも使いやすいメニューとして重宝されています。
「24時間の気軽なレストラン」のような安心感が、この街に新しい食の選択肢を生み出しています。
一番の売れ筋商品は本格的な「焼き鳥セット」。そしてグループが運営する「博多ほたる」謹製の、濃厚スープが特徴の「黄金水炊き」も人気の品だそう。ビールのお供に、ちょっと贅沢な今夜の1人鍋に。お気に入りメニューを見つけに、大橋エリアまで足を延ばしてみませんか。

一つひとつ丁寧に焼き上げた、福岡の老舗焼き鳥店「博多松介」の「塩つくね串」(写真提供:こだまりクラフトフード)

フクリパスタッフが購入!「塩つくね串(左)」と「鶏白レバーパテ バケット付き(右)」。つくねはふっくらとジューシーで、レンジで温めただけとは思えない本格的な味わい。レバーパテは臭みがなく濃厚で、バケットとワインがついつい進んでしまいました
飲食業界の課題を支える仕組みへ

福岡PayPayドーム6番ゲートに出店(写真提供:こだまりクラフトフード)
この取り組みの価値は、家庭での利便性だけにとどまりません。飲食業界が抱えるさまざまな課題を解決する仕組みとしても注目されています。
「特に人手不足の現場で喜ばれるケースが増えています」と加々良さん。例えばゴルフ場のレストランでは、早朝からの仕込みや立地の問題で調理スタッフの確保が難しく、採用が大きな課題となっているそう。そうした現場でも、冷凍食品であれば温めるだけで提供できるため、少人数でも運営が可能になります。
「シェフを雇わなくても安定した味の料理が出せますし、設備投資も最低限でいい。現場の負担を減らすことにもつながります」。また、注文に合わせて必要な分だけ調理ができるため、食材ロスの削減にも貢献しています。来客数の変動が大きい施設や旅館などでも活用が広がり、2024年には福岡PayPayドームにも出店を果たしました。

最新の急速冷凍技術を導入した、大橋にある冷凍メニューの製造工場(写真提供:こだまりクラフトフード)
こうした背景には、事業の立ち上げ当初からの明確な狙いがありました。「実はこだまりクラフトフード事業は、飲食業界の課題を解決するために始めたものなのです。少子化が進むなか、人手不足はこれからもっと深刻になると分かっていますし、現場と働き手のミスマッチも増えていきます」。
こだまりクラフトフード事業は、飲食の現場はもちろん、高齢化による労働環境の変化も見据えた取り組みでもあるそう。「料理をつくる」から「料理を届ける」へ。その発想の転換は、食の可能性を広げる取り組みへとつながっています。
「食の文化を未来へつなぐ」という挑戦

(左から)話を伺った製造課長の渡辺さん、営業課の外木場さん、本部長の加々良さん
こだまりクラフトフードのコンセプトメッセージは、「最先端の冷凍メニューで食の未来を創る」です。
料理人の技術が詰まった一皿を、時間や場所を超えて届ける。それは単なる効率化ではなく、食文化を広げ、後世へつなげるための手段でもあります。「いつでも、どこでも、美味しいものを」。その想いは、日本の食の未来へとつながっています。
こだまりクラフトフード 冷凍自販機
住所:福岡市南区大橋2-10-8(酒場こだまり 横スペース)
アクセス:西鉄天神大牟田線 大橋駅から徒歩6分
Instagram:@codamari.craft








