今回の舞台は遠賀郡岡垣町
9月の末で、遠賀郡岡垣町を走る路線が廃止となります。
ひとつは先日掲載した、城山峠を越えて、赤間営業所と海老津駅を繋いでいた「20」です。
この「20」という番号は、かつて門司港の東本町と、福岡市の西新町を直通していた長大路線の最後の生き残りでして、今回の改正により完全にその系譜が断たれます。
そんな歴史のある「20」が、まだ福岡と北九州を繋いでいた頃、頻繁にバスが発着していたのだろうな、という雰囲気をたたえているのが、海老津の発着所です。バス停名称としては「海老津」なのですが、駅と区別するため、以下「海老津発着所」と呼ばせてください。
バスを詰め込めば数十台は停められそうな広い敷地に、ぽつんと小さな待合所が残っています。
現在では、バスが大量に停まっている姿を見ることもなく、1台に出会えれば幸運といえるでしょう。
すでに「20」の発着はなく、少し先の住宅地である「松ケ台」への路線が残るのみで、こちらも今回の廃止対象です。
かつての賑わいの面影を感じる待合所の中へ
待合所の中には、乗車券などの販売窓口がありました。閉鎖されてからすでに20年近くは経っていると思います。
ベンチもそこそこの数が置いてありますが、昨今は全てが埋まるほどの待ち客を見ることもありませんでした。
四方向に開口部があり、以前は北九州方面と福岡方面と、他の枝線で乗り場が分かれていたのかもしれません。
廃止される「7」松ケ台線は循環になっていて、右回りと左回りがあります。
こちらが海老津発着所から松ケ台を経由して、海老津駅まで戻る左回りの時刻表です。
右回りは松ケ台を経由したあと、海老津駅に戻る直前に、ここ海老津発着所に立ち寄ります。
海老津駅から乗車することを考えると、どちら回りに乗っても全てのバス停に行けますから、本数はかなり充実していたと言えます。
海老津発着所すぐ横の道は、かつての国道3号線です。
海老津発着所に停車した西鉄バスの車両が、
国道に合流して、昔はそのまま門司港まで直通していたのだと思うと、この後ろ姿を見られるも今月限りなのが、とても惜しいことに思えてきます。
この記事が公開される頃には、残された時間も数日になっていますが、西鉄バスのいる海老津発着所を、できるだけ多くの方に憶えていていただきたいです。
たまにタイミングが合うと、2台が同時に発着することもあるのですが、想定外のことに慌ててしまって、かなり傾いた写真しか撮れませんでした。お時間のある方、バス運を無駄遣いしてしまった当方の代わりに、ちゃんとした記録を試みていただけると幸いです。
9月30日の海老津駅→赤間営業所の最終便には、伺いたいと思っています。仕事が、つつがなく終わりますように。
基本情報
バス停名:海老津(えびつ)
・住所:〒811-4218 福岡県遠賀郡岡垣町中央台3丁目2 [map]
・博多からの行き方例:
【STEP1】博多駅からJR鹿児島本線 門司港行き(区間快速)に乗車し、海老津駅で下車。約41分、870円。
【STEP2】「JR海老津駅」バス停から、7番 旭東経由 松ケ台・役場方面ゆきに乗車。約2分、170円。
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これまで取り上げたバス停の中にも、実は廃止予定のものがいくつかあります。秋の足音が聞こえてきて少しお出かけしやすくなった今日この頃。バスが停車する最後の姿を見納めに、あなたも足を運んでみませんか?