クリスマスの新定番『シュトレン』
『ガラパゴス〇〇』という冠は、日本のためにあるのかな?そう思う時があります。
ガラケー(ガラパゴス携帯)にも代表されますが、特に感じるのは、諸外国から日本に来た食べ物。
そう、食べ物のジャンルにおいて、
日本人の発想力の豊かさというか、
手先の器用さ、細かさというか、
仕事の丁寧さ、そして
食に対する飽くなき探究心というか、、、
そういうものが、全てを「日本オリジナル」の食べ物にしてしまう。のではないか?と。
クリスマスが近くなると、シュトレンは多くのパン屋さんで見かけるようになりましたねー。そしてこの「シュトレン」という存在を、パン好きさんのみならず、普通に「クリスマスはケーキ!」だった方々も認知されるようになってきた。それも、ここ5年くらいの間に急速に広まった感があります。
それはなぜか?なんとなく、あくまでも筆者的印象なのですが、これはコロナがもたらした「暮らし方の変化」に通ずるのではないか、と感じています。
それまでは、みんなで集まってクリスマスパーティー!大きなケーキと、たくさんのチキンと、、、
というスタイルも多かったように思いますが、コロナ禍になり、個々で過ごしましょう的風潮が広まると、大勢で集まること自体が悪であるかのような「いろいろ自粛」時期がありました。
そんな時代でも、クリスマスはやってきて。
家族2、3人だけでも、静かに、
クリスマスは祝いたいよね、という気持ちになる。
そんな時に、シュトレンはぴったりだったのではないかな?と思うのです。
日持ちがして、その日に食べ切るなんてことはしなくて良いから、少人数の会での取り分けに向いていますし。なんなら、ゆっくり食べ進めた方が、味の変化が楽しめますから(本来はそういう食べ方のものですし)残しておいた方が良い位。ケーキが無いからと言って、気持ちが寂しくなることもない、贅沢な味わいと華やかな包装だし。
そんな様々な条件が重なって、シュトレンは今まで未食だったというご家庭にも、広まったのではないかなー?と(勝手に)推察しています。
そして今年、「コロナ明け」と言われるようになり、人々の心も「久しぶりにみんなでパーティー!」に躍っているかもしれません、まさに戻ってきたクリスマス。ですので、体感としてはシュトレンよりも、ケーキの勢いが復活しているようにも感じる今年。筆者のテンションも、久しぶりにケーキ♪に傾いておりました、、、
毎年恒例にしたい、クリスマスの味
が!
こちらのお店のシュトレンを食べて、下降気味だったシュトレン熱が再燃した、と言っても過言ではないでしょう。そのくらい素晴らしいシュトレンでした。
ラ・ブーランジェリー・ド・ハリマヤさん。北九州市若松区にあるお店。
若松区は、北九州市の比較的南側に位置するので、福岡市から福津市の『ベッカライアロ』さん経由でハリマヤさんに行くのが筆者の鉄板コース(パン屋さん巡りの)。のんびり下道でも、行きやすいかと思います。
>>砂糖に頼らない甘さ。福津市「ベッカライ アロ」のシナモンロール
実は前回もこの時期に、ヴェラヴェッカについて書かせて頂きました。(ですので、ヴェラヴェッカとはなんぞや?という方も、その時のコラムをご覧下さいm(_ _)m)
>>クリスマスに食べたい、”ダメな大人”なパン。ラ・ブーランジェリー・ド・ハリマヤの「ベラベッカ」
このコラムは、なるべく同じお店が登場しないようにしているのですが、ハリマヤさんの「クリスマスもの」は、その禁を破って、毎年の恒例にしたいとさえ思う。
勿論、他のパン屋さんのシュトレンも美味しいです!冒頭で申しました通り、日本の匠達の発想力、芸の巧みさ、丁寧さ。そういったものが詰め込まれた宝箱のようなシュトレン。
年を追うごとに「日本のシュトレン全体」のレベル自体、上がっているように感じます。
そんな中においても、毎年最低10〜15種類はシュトレンを頂く筆者が、最終的に「ああ、、やっぱり凄かったなぁ、美味しかったなぁ」という舌の記憶と共に、深く心に刻み込まれるのは、ハリマヤさんなのです。
毎年頂いておりますが、
いやー、、、今年もすごかった。
新麦の時期にもシュトレンは出されていて、その時の感想としては、やはり新麦が主役といいますか、ワインで言うところの、ボジョレーヌーボですものね、若くて綺麗な味で。
でもそこに、「若くても浅くはならない」ハリマヤさんマジックが加わり、広い広い麦畑を遠くまで眺めるかのような壮大さがあるシュトレンを作りだされた。
左:ヴェラヴェッカ。右:新麦の時期のシュトレン
そしてクリスマス。
そうきたかー、、、と言わざるを得ない、
新麦の時の印象から更に、グググッと大人っぽくなったの、来たーーーー!!
これはもう、新麦シュトレンが伏線だった?と失礼ながらも思ってしまう。いや、伏線なんかのレベルじゃ無いんですよ、新麦シュトレンも凄く美味しかった。
ただ、ここに来て、ボージョレ・ヌーボー飲んでからの、熟成されたワインの底力を見せつけられた感。
それを飲んでいたからこそ、この良さもわかる、、的に。
シュトレンという枠を超えたシュトレン。
ヴェラヴェッカよりも食べやすいヴェラヴェッカ。
とでも申しましょうか。
熟成されて、芳醇な香りを放つ断面は、ボルドー色、深い深い色です。
甘みはしつこく無い、語弊を恐れずに言うならば、コク深いだけ。ドライフルーツの甘みがメインなのでは?くらいのお砂糖感のない甘み。幾重にも重なった要素、スパイスが鼻腔に漂う時間、余韻の長さたるや、、、
うーん、、、美味いね。そう唸ってしまいました。
どんなにガラパゴス的発展を遂げたとしても、シュトレンはやはり、発酵菓子なのだ、と。根本は、小麦と発酵が織りなす宇宙。可能性は無限大にさえ思えました。
今年もこうやって、大好きなお店のシュトレンを頂きながら、年の瀬を感じてゆく、、、
ほんとうに私の毎日は、パンに彩られている、支えられているなぁと、感謝せずにはいられない。そんな代物を頂きました。
店舗情報
La boulangerie de Harimaya(ラ・ブーランジェリー・ド・ハリマヤ)
住所:〒808-0144 福岡県北九州市若松区高須東3丁目13−1 [map]
営業時間:10:00〜売り切れ次第終了
定休日:水・木曜日(不定休あり)
駐車場:あり
Instagram:@boulangerieharimaya
https://www.instagram.com/boulangerieharimaya/