福岡の個性派カフェ!ノスタルジックにとことん酔いしれる!「福岡の昭和レトロ喫茶店」6選

近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びている「昭和レトロ喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。今回は福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」6店舗をご紹介いたします!

創業は1973年。西中洲に誕生して半世紀の「コーヒーハウスロジン」【福岡市中央区西中洲】

最初にご紹介するのは、那珂川と薬院新川に囲まれた「西中洲」にある「コーヒーハウス ロジン」。

最寄駅は福岡市営地下鉄七隈線「天神南駅」。6番出口を出て、国体道路を中洲方面に4分ほど歩くと左手にあります。緑の屋根とアーチ型の窓が目印です。

 

 

店頭のボックス型の立体看板から古き良き昭和の喫茶店の名残を感じられます。

独特のフォントが特長の店名ロゴは開店当初からのオリジナル。このように昔の喫茶店は、店名ロゴにオリジナルフォントを採用している店が多かったのです。

 

 

ロジンのオープンは1973年。内装は基本的に50年前の創業当時のままで、天井の梁や年季の入った床に時代の流れを感じられます。開業当初は、近くに福岡県庁などの公官庁が密集しており、その立地もあって大いに繁盛なさったそうですよ。

店主を務めるのは小家孝介さんと奥様の賀代子さんご夫妻。ずっと夫婦二人三脚で店を切り盛りされてきましたが、やがて息子の啓史さんも加わり、現在は親子二代でロジンを営んでおられます。

 

 

創業当初より手作りにこだわっており、ランチのピラフとパスタは各8種類。他にもカレーやトースト、さらにモーニングからデザートまで豊富なメニューが揃います。コーヒーは昭和時代の喫茶店でよく採用されていた「サイフォン式」で抽出されています。

 

ちなみに、店内はフルタイム全席喫煙可能なので、天神界隈の愛煙家たちにとっては、数少ないオアシス的な存在になっています。天神でふとタバコとコーヒーが恋しくなった時にもおすすめのスポットなのです。

 

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コーヒーハウス ロジン 店舗情報

住所:福岡市中央区西中洲11-6
営業時間:9:30~18:00
電話番号:092-741-8288
定休日:日曜日・連休翌日
Instagram:https://www.instagram.com/coffeehouserojin/

 

創業は昭和9年。現存する福岡最古の喫茶店!「ブラジレイロ」【福岡市博多区店屋町】

次にご紹介するのは、現存する福岡最古の喫茶店として名高い「ブラジレイロ」。

場所はオフィス街としての顔を持つ博多区店屋町。大博通りから一本入った場所にある古い洋館を思わせる淡いグレーの3階建ての建物が目印。最寄駅の地下鉄呉服町駅からは徒歩で2分ほどで到着します。

 

 

ブラジレイロが誕生したのは昭和9年。元々ブラジル・サンパウロ州のコーヒー局が、日本にブラジルコーヒーを宣伝する目的で開業されました。

当初は東中洲の河畔にあり、そのモダンな白亜の建物は、瞬く間に博多っ子たちの話題の的に。作家の火野葦平氏や原田種夫氏など、九州文学の面々も足繁く通うようになりました。「福博の文化的サロン」として親しまれてきました。


昭和19年に惜しまれつつ閉店しましたが、戦後を迎えた昭和21年、御供所町に「レイロ」として復活。その後、昭和27年に名前を「ブラジレイロ」に戻し、店屋町に移転し、現在に至ります。

 

 

地球儀のブラジル部分からコーヒーカップが飛び出している斬新なデザインのロゴマークが記されたドアを開けると、突如螺旋階段が出現します。

そのまま2階へと進めば、やわらかい日の光が差し込む広々とした空間が広がっています。壁には懐かしいポスターや絵画、ポートレイトが飾られ、優しいクラシック音楽が流れています。

 

 

手作りの洋食メニューは全7種類。オムレツやドライカレー、ハンブルグステーキなど、昔ながらの洋食メニューがラインナップされています。

中でも一番人気なのが「ミンチカツレツ」。先の尖ったラグビーボールのような個性的なビジュアルが特長で、最近はSNSでも話題になっている一品。

その他、ケーキや焼き菓子などの自家製デザートも人気。コーヒーは自家焙煎しており、豊富な種類のコーヒー豆を購入することもできます。

 

なお、12:00〜13:00の間を除き、店内は喫煙OK。近隣のオフィス街に勤務する愛煙家のビジネスマンにとって良き憩いの場となっている模様。

来年で90周年を迎えるブラジレイロは、福岡のレトロ喫茶店を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

 

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ブラジレイロ 店舗情報

住所:福岡市博多区店屋町1-20
営業時間:10:00~19:00(18:30OS)
電話番号:092-271-0021
定休日:日曜日・祝日
Instagram:https://www.instagram.com/cafebrasileiro1934/

 

創業は1979年。偏屈ながらも愛すべきマスターがいる「喫茶五圓」【福岡市博多区博多駅前】

次にご紹介するのは、九州最大の交通要所である「JR博多駅」の博多口から徒歩5分の場所にある「喫茶五圓」です。

オフィスやホテル、リニューアルした博多区役所といったまわりの近代的なビル群と相反して、ここだけ時間が止まっているかのように佇んでいます。

 

 

古びた青いテントや、錆びついたスタンド看板からは長い年月が感じられます。最大の特長なのが、お店を取り囲むように張り巡らされたプレートの数々。

プレートには「食事デキマス」「コーヒーをどうぞ」「カレーライスうまいゴルバチョフ」などなど、味のある手書きフォントで綴られたクセが強すぎるワードが並びます。

 

 

店内は、これぞまさしく「ザ・昭和の喫茶店」というべき空間。色褪せて所々補修された椅子やテーブル、古びたインテリアはどれも年季が入ったものばかり。

マスターの岡村明生さんは昭和19年生まれの御年78歳。広島のご出身で、若い頃は関西でプラント設計のお仕事をされていました。しかし、腰を痛めて、仕事を継続できなくなり、奥様のご実家のあるこの博多に転居することに。それを機に、腰に負担の少ない喫茶店の開業を決意されたそう。店名には「あなたとご縁がありますように」という思いが込められているんです。

 

 

五圓に来ると、なかば強引にカレーをお勧めされてしまいます。その理由を聞いたところ「他のメニューを作るのが面倒だから」ととのこと(笑)

カレーは牛肉メインのシンプルな自家製カレー。スパイシーでサラサラのルーをスプーンですくって、ご飯とビーフを乗せていただきます。添えられたたっぷりの福神漬けもいいバランスです。

 

マスターは自分で認める偏屈な人。ちょっぴり口が悪いですが、ウイットに富んだトークも面白く、滲み出る人柄は隠せません。特に常連さんとの掛け合いトークは聞いていて清々しい気持ちになってきます。

偏屈ながらも愛すべきマスターがいる「五圓」。ぜひ一度訪れてみていただきたいレトロ喫茶店のひとつです。

 

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喫茶五圓 店舗情報

住所:福岡市博多区博多駅前2-7-1
営業時間:8:00~だいたい日没まで(お客さん次第)
電話番号:092-473-9430
定休日:日曜日

 

赤坂で50年に渡り営業し続ける、これぞレトロな喫茶店!「松下記念館」【福岡市中央区赤坂】

次にご紹介するのは「松下記念館」。場所は九州最大の商業地「天神」の隣町・赤坂。多くの車が絶えず行き交う「赤坂交差点」からほど近い「明治通り」沿いです。

最寄駅は福岡市営地下鉄「赤坂駅」。2番出口を出て、徒歩わずか数秒で到着できるので、アクセスが良いのもポイントです。

 

 

経年劣化したレンガづくりの外観と、そのレンガの壁に絡まるたくさんの蔦が、創業50年からの長い年月を感じさせてくれます。

蔦の隙間から顔を出している年季の入った金属製の店名プレートには、創業年を意味する「NOVEMBER 1974」の文字が刻印されています。

 

 

昼間でも照明は極力控えめ。窓から差し込む光が店内を照らしています。年季の入ったカウンターや色褪せた天井、そしてレンガ壁を照らし出すアンティーク調のライトなど、まるでオーセンティックバーのような雰囲気。

 

マスターを務めるのは松下壮一さんと智子さんご夫妻。ともに昭和23年生まれの75歳。

壮一さんは学生時代の喫茶店でのアルバイト経験から、地元の柳川市で喫茶店を開業。2年ほど営んでおられましたが、智子さんとのご結婚を機に福岡市に転居し、松下記念館を開業されました。個性的な店名は「お店を出した記念に」という意味合いから「記念館」の文字を取り入れたそうです。

 

 

昔ながらのネルドリップ方式で抽出したオリジナルブレンドコーヒーと、シンプルな具材と味付けのオーソドックスなサンドイッチが懐かしさを感じさせてくれます。

大きめにカットされる最近のサンドイッチとは異なり、片手でつまめるサイズ感も昔ならでは。コーヒーとの相性もぴったりです。

 

また、店内には今も現役のピンク電話を備えた電話ボックスや、クラシカルな振り子時計、真空管アンプといった昔懐かしいアイテムが随所に見られ、さらにこのご時世ながら全席喫煙OK。

変貌し続ける街「赤坂」で、50年間変わらない営業スタイルを貫いています。古き良き時代の雰囲気を味わいたい方には、ぜひ訪れていただきたいお店です!

 

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松下記念館 店舗情報

住所:福岡市中央区赤坂1-10-16
営業時間:8:00~21:30
電話番号:092-712-8255
定休日:不定休

 

ブルーベルベットのスツールが味わい深い、地域密着型の自家焙煎コーヒー店「北野珈琲」【福岡市南区長住】

お次にご紹介するのは、南区長住にある「北野珈琲」です。

 

南区と城南区は、その大部分に鉄道が通っておらず、公共交通機関での移動手段は西鉄バスしかなく、天神や博多への移動はなかなか大変でした。

それゆえに「わざわざ都市部に出なくても、暮らしまわりものは近所で揃う」という感覚が根付いており、だいたいの買い物は近所のお店で完結することが多く、この「北野珈琲」もそんな長住エリアのご近所さんに長年愛されているお店なのです。

 

 

ドアを開けると目に飛び込んでくる長いカウンター席。ブルーのベルベット張りのレトロなスツールがカウンターに隙間なく配置されています。

この物件、かつてはスナックとして営業されていて、居抜きで入居する際、できるだけ手を加えずに改装したので、インテリアは当時のものをそのまま活用しています。天井にはスナック時代にミラーボールが取り付けられていた跡も残っています。

 

 

「北野珈琲」の創業は1992年。今年で創業31年目を迎えます。「レトロ喫茶店」というには少し若い部類になりますが、創業者であり先代店主の北川さんは、創業57年の歴史を持つ福岡の老舗喫茶店「珈琲舎のだ」の出身であることから昭和の喫茶店スタイルが色濃く残っているのです。

 

店名も「珈琲舎のだ」へのリスペクトを込めて、北川さんの「北」と「珈琲舎のだ」野田社長の「野」から名付けられました。

 

現在の店主は2代目の古本親良さん。先代店主の北川さんの元で焙煎技術やサービスを学び、入社して7年が経ったころ「北野珈琲」を事業継承し、2代目の店主となられました。

 

 

創業以来から軽食やスイーツは自家製にこだわっておられます。軽食はドリア・グラタン・サンドイッチ・ナポリタン・オムライスといった懐かし目のメニュー構成。スイーツもアップルパイ、シュークリーム、焼きチーズケーキ、レアチーズケーなど充実しています。

 

コーヒーは自家焙煎。焙煎機は毎日稼働しており、6種類のブレンドコーヒーやストレートコーヒーがラインナップされており、購入もできます。

また、全席喫煙可能なので、常連さんはご近所の愛煙家の方が多いとか。長住に根付いた地域密着型の喫茶店は、これからも地域の人にとって良き憩いの場所になり続けてゆくことでしょう。

 

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北野珈琲 店舗情報

住所:福岡市南区長住3-2-1
営業時間:10:30~20:30(O.S 20:00)
電話番号:092-561-5517
定休日:水曜日
Instagram:https://www.instagram.com/cafe_kitano/

 

創業48年。福岡のファミレスの先駆け!ボリューム満点の定食が自慢「ハロー唐原本店」【福岡市東区唐原】

最後にご紹介するのは、福岡市東区にある「九州産業大学」の最寄駅である「九産大前駅」からほど近い場所にある「ハロー唐原本店」。

「唐原」と書いて「とうのはる」と読みます。

 

 

オープンしたのは1975年。今年で創業から48周年を迎えます。

創業後、程なくして「インベーダーゲーム」が社会的な大ブームになり、全国の喫茶店にはテーブル型のゲーム筐体の上に100円玉を積んでゲームに興じる若者が多数見られました。

 

「ハロー唐原本店」もこのブームに乗ると瞬く間に大盛況。「ゲームをしながら定食が食べられる喫茶店」として、九産大生を中心に大変賑わっていたそうです。

その後、あまりのお客さんの多さに店内が手狭になったので、長屋風のテナントの両隣を借りて拡張。外から見ると3つの建物が強引に繋げられているのがわかります。

 

 

深いブラウンの椅子とテーブル、そして木目調の壁でコーディネートされた、どこか懐かしさの漂う店内。印象としては「昔からあるカフェレストラン」。

 

席数はなんと60席もあるので、団体での来店でも問題なしです。また、テーブル席だけでなく、おひとりさま向けのカウンター席も完備されているので、一人でふらっと訪れて食事する時にも利便性が高いんです。

 

 

創業当初から人気の「スーパージャンボチキンカツ」。カツは直径20cmはあろうかというビッグサイズ!ソースは「照りマヨ」「カレー味」「和風味」など7種類から選べるのもうれしいポイント。もちろんライス・スープはおかわり自由なので、かなり満腹になること間違いなし!

 

ボリューム満点の定食を中心に、スイーツ、コーヒー、ドリンクまでが一堂に揃う「ハロー」は、まさに「福岡のファミレスの先駆け」と言っても良い存在。創業からまもなく50年を迎えますが、これからも若者たちの胃袋を満たし続ける存在でいて欲しいです!

 

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ハロー唐原本店 店舗情報

住所:福岡市東区唐の原1-2-43

営業時間:11:00〜24:00(L.O 23:30)

電話番号:092-410-1261

定休日:年末年始

Instagram:https://www.instagram.com/helloo_tounoharu/

 

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介した喫茶店の多くが「昭和の高度経済成長期」に誕生しており、随所に歴史を感じとることができます。しかしながら、店主の高齢化が進み、レトロ喫茶店は減少の一途を辿っているという現実もあります。

 

昭和文化の一端を担ってきた喫茶店。昔から変わらぬ味と雰囲気を楽しみながら、ノスタルジックなひとときに酔いしれてみて下さいね!



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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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