赤坂で50年に渡り営業し続ける、これぞレトロな喫茶店「松下記念館」【福岡市中央区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

地下鉄「赤坂駅」を出てすぐの場所にある「松下記念館」

今回ご紹介する「松下記念館」の場所は、九州最大の商業地「天神」の隣町である福岡市中央区赤坂。多くの車が絶えず行き交う「赤坂交差点」からほど近い「明治通り」沿いにあります。
最寄駅は福岡市営地下鉄「赤坂駅」。2番出口を出て、徒歩わずか数秒で到着。アクセスが良いところもポイントです。
経年劣化したレンガづくりの外観と、そのレンガの壁に絡まるたくさんの蔦が、創業からの長い年月を感じさせてくれます。

目印となる電照看板。珈琲の文字の上にある「PHOTO STUDIO」という文字は、かつてお店の奥でフォトスタジオを経営されており、その当時の名残なんだそうです。(現在フォトスタジオは閉鎖されています)

蔦の隙間から顔を出している年季の入った金属製の店名プレートには、創業年を意味する「NOVEMBER 1974」の文字が刻印されています。手書きのような特徴的なフォントも含めて素敵過ぎます!

50年前から続くレトロでオーセンティックな空間

昼間でも照明は極力控えめにされており、窓から差し込むやわらかい光が店内を照らしています。年季の入ったカウンターや色褪せた天井、そしてレンガ壁を照らし出すアンティーク調のライトなど、まるでオーセンティックバーのような雰囲気を醸し出しています。

こちらはゆったりとしたテーブル席。琥珀色のテーブルの上にはシュガーポットと灰皿が置かれているあたりは、昭和の喫茶店そのまま。
壁面の絵画やヒョウをかたどったオブジェなど、店内のインテリアにも個性があふれています。

松下記念館のあゆみ

松下記念館を営むのは、マスターの松下壮一さんと奥様の智子さん。ともに昭和23年生まれの75歳で、お二人とも柳川市のご出身です。
壮一さんは学生時代に喫茶店でアルバイトをしていた経験から、地元の柳川市で喫茶店を開業。2年ほど営んでおられましたが、智子さんとのご結婚を機に福岡市に転居し、喫茶店を開くことに。
いろんな場所の物件を探している中、この場にあったジーパン屋さんが閉店することをたまたま知り、その物件をそのまま引き受けて「松下記念館」を開業されました。
店名は「お店を出した記念に」という意味合いから「記念館」の文字を取り入れたそうです。

西鉄福岡市内線のイメージ
出典:http://tsushima-keibendo.a.la9.jp/nishitetsu/fukuoka.html

開業当初はお店の前の明治通りに「西鉄福岡市内線」という路面電車が走っており、ちょうど目の前に「赤坂門電停」という停留所があったんだそうです。
当時の赤坂はオフィス街でありながらも、明治通りを一本入ると民家がたくさん点在していたそう。ただ、裁判所や法務局などが近かったこともあり、弁護士さんや裁判所に勤務する方などでランチタイムは大いに賑わっていました。
近所には「トゥモロー」や「赤坂美松(閉店)」など同業の喫茶店も多く、どこも繁盛していたそうです。
やがて路面電車が廃止され、福岡市営地下鉄が開通。赤坂駅が出来てからは一気に開発が進み、現在のようなビルが立ち並ぶ街に変貌していったというお話しでした。
街は随分変わりましたが、松下記念館は50年前からずっと変わっていないそうです。

店内を構成する様々な懐かしいアイテムたち

松下記念館には昔懐かしい様々なアイテムが現存しています。
店内の一角に据えられたこちらの個室、これ何なのかお分かりでしょうか?

実はこれ、電話ボックスなのです。若い方はご存じないと思いますが、携帯電話が無かった当時、外出先から連絡する手段は公衆電話しかありませんでした。
ダイヤル式のピンク電話は10円玉を入れて、数字の穴に指を入れ、かけたい電話番号を「ジーコ、ジーコ」と指で回してかけるのです。当時は市内通話料は3分で10円でしたね。
ちなみにこちらのピンク電話はいまだに現役。公衆電話を知らない世代のお客さんが、試しに自分の携帯に電話をかけてみて「すごい!繋がった!」と喜んでいらしゃるそうですよ。

創業当時から鎮座しているのが「フロアクロック」と呼ばれる重厚で大きな振り子式の置き時計。こちらも今なお現役。50年にも渡り時を刻み続けています。
その傍にある真空管アンプは、多趣味で器用なマスターが手作りしたそうです。

愛煙家であるマスターのタバコの缶はミニプランターとしてリユースされてます。
このタバコは「缶ピース」と言いまして、かつては「国内最高峰のタバコ」とも称され、昭和の頃はよく見かけていた銘柄なんです。昔のタバコってデザインが良いので、こうしてインテリアの一部として使ってもかわいいですよね。

種類豊富なコーヒーとオーソドックスなサンドイッチで寛ぎのひとときを

フォトブックを活用した手書きのメニューブック。黒い台紙に手書きの白文字でメニュー名が書かれています。
コーヒーはオリジナルブレンド、アメリカン、ストロング、モカなど全11種類あり550円より。
その他にも、生クリームを浮かべた「ウインナーコーヒー」650円や、アイリッシュミストというリキュールが入った「アイリッシュコーヒー」750円といったアレンジコーヒーも用意されています。

今回は「オリジナルブレンドコーヒー」550円と「サンドイッチ」600円をチョイスしてみました。コーヒーは昔ながらのネルドリップ方式で抽出してくださいます。
サンドイッチの具材はツナとハムとレタス、味付けはマヨネーズとマスタードとケチャップのみという至ってシンプルな構成。

オーソドックスな味わいが懐かしさを感じさせてくれます。片手でつまめるサイズ感も昔ならでは。オリジナルブレンドコーヒーとの相性もぴったりでした。

愛煙家のマスターだから、全席喫煙もOK!

マスターが愛煙家につき、店内は全席喫煙OK。コーヒーとタバコでゆったりとしたひとときを楽しめますよ。
なお、喫煙可能店舗につき20歳未満の方は入店できませんのでご注意を。

今なお変貌し続ける街「赤坂」で、50年間変わらない営業スタイルを貫く「松下記念館」。
地下鉄の駅からも近いので、古き良き昭和の喫茶店の雰囲気を味わいたい方はぜひ行かれてみてくださいね。

松下記念館

住所:福岡市中央区赤坂1-10-16
営業時間:8:00~21:30
電話番号:092-712-8255
定休日:不定休

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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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