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【 福岡の経済・ビジネス事情 】

大阪・関西万博を機に西日本・九州への観光誘客を図る〝西のゴールデンルート〟 ~首長連合による新たな観光の動き~

2022年7月~9月に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、2023年7月の世界水泳選手権2023福岡大会に続く国際イベントが、2025年4月に開幕する大阪・関西万博です。来場者数2,820万人、うち訪日外国人350万人を見込む大阪・関西万博は、インバウンド上での一大ビジネスチャンスとなります。

大阪・関西万博に2,820万人来場見込、うち訪日外国人350万人

【画像】西のゴールデンルート

提供:2025年日本国際博覧会協会

 

5年に1度、世界で1カ所だけで開催される国際博覧会(登録博)である『2025年日本国際博覧会』(略称:大阪・関西万博)は、2025年4月13日から184日間の会期で開催される。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに世界から150を超える国・地域および国際機関が大阪・関西万博に参加し、空飛ぶクルマ、自動翻訳、電気バスの自動運転など未来社会の姿を体感できる。

 

 

四方を海に囲まれた約155ヘクタールの万博会場では現在、13の民間パビリオンをはじめ、日本館、大阪パビリオン、関西パビリオン、ウーマンズパビリオン、フューチャーライフエクスペリエンス、レストラン・営業施設などが建設中だ。
大阪・関西万博の想定来場者数は2,820万人、うち訪日外国人350万人とする。一方、会場建設費は最大2,350億円となり、約2兆円の経済波及効果が見込まれる。

 

 

1970年に「人類の進歩と調和」をテーマに開催した、前回の大阪万博は終戦25周年を記念し、戦後の高度経済成長を成し遂げた日本が、世界第2位の経済大国となった象徴的なイベントだった。
万博会場では、米国アポロ宇宙船が持ち帰った『月の石』をはじめ携帯電話の原点となる『ワイヤレステレホン』などが話題を集めた。
日本政府は、大阪万博に6,500億円余りの万国博関連事業費を投じた。
そして、日本を含む77カ国・4国際機関が参加し、総来場者数は6,422万人を数え、経済効果は約5兆円にものぼった。なお、大阪万博の総来場者数6,422万人は、2010年開催の上海万博に抜かれるまで万博史上最多だった。

 

 

高島福岡市長が西のゴールデンルートを提唱12首長で発足

【画像】画像提供:福岡市

画像提供:福岡市

 

2022年10月の国による水際措置の大幅な緩和以降、インバウンドは大きな回復を見せている。
そうしたなか、20254月に開幕して350万人もの訪日外国人の来場を見込む大阪・関西万博も、海外から外国人観光客を呼び込むイベントとして大きく期待されるものの1つである。
この好機を視野に入れ、欧米豪をメインターゲットに、西日本・九州への新たな観光誘客を図る『西のゴールデンルート』の創設・形成を目指す自治体の長によるアライアンスが設立された。

 

 

2023年924日、万博の開催を契機に地方から日本全体を盛り上げることを目指す『福岡カンファレンス』をマリンメッセ福岡B館で開催した。
当日、「西日本・九州が一体となった観光誘客」と題したトークセッションの場において、12首長による『西日本・九州ゴールデンルートアライアンス』の表明式を行った。

 

 

今回、発足した首長アライアンスは、「大阪よりも西に位置する地域において、陸・海・空で繋がる観光周遊ルート(西のゴールデンルート)の創設・形成に賛同する自治体首長の連合体」だ。
設立目的として、「多くのインバウンドが訪れる万博のチャンスも活かし、西日本・九州が一体となりゴールデンルートとしてそれぞれの地域の魅力の発信・プロモーションに取り組み、インバウンドを呼び込むとともに、万博後のレガシーとなる」ことを掲げる。

 

 

当日のトークセッションでは、提唱者である高島宗一郎福岡市長をはじめ、伊原木隆太岡山県知事、武内和久北九州市長、小松政武雄市長、長野恭紘別府市長、清山知憲宮崎市長、下鶴隆央鹿児島市長が登壇し、観光への取り組みについて語り合った。
当日出演した7人の首長に加え、賛同する首長として、湯﨑英彦広島県知事、久元喜造神戸市長、前田晋太郎下関市長、大西一史熊本市長、鈴木史朗長崎市長が名を連ねる。

 

【画像】西のゴールデンルート

引用:『西のゴールデンルート』Webサイトより

 

今回、西のゴールデンルート誕生の背景や今後の取り組みについて、福岡市経済観光文化局観光コンベンション部観光マーケティング課の吉田崇課長は、次のようにコメントする。

 

 吉田崇課長

コロナ禍を終えて世界的にインバウンド需要が回復していく中、福岡市では従来の訪日外国人客層に加え、欧米系をはじめとする新たな層の誘客を『西のゴールデンルート』で取り組んでいきます。
これまで福岡市では、福岡空港を起点とした誘客を九州の他自治体と一緒に取り組んできた実績があります。西のゴールデンルートでは、大阪・関西万博も誘客コンテンツの一つとして、『西日本・九州ゴールデンルートアライアンス』の自治体と共に推進していきます。
西のゴールデンルートとしての情報発信やPR手法については今後、アライアンスメンバーの自治体と協議していきながら、観光事業の主役である民間事業者の方々をはじめ、関係者の皆様とも一緒に取り組んでいきたいと考えています。 

【画像】西のゴールデンルート

福岡市経済観光文化局観光コンベンション部の吉田崇・観光マーケティング課長

現在、訪日外国人に人気の『(東の)ゴールデンルート』とは何か

【画像】西のゴールデンルート

引用:観光庁『平成27年度ICTを活用した訪日外国人観光動態調査 調査結果概要』

『ゴールデンルート』とは、訪日外国人が訪れる日本の王道観光ルートのことだ。具体的には、訪日外国人が、東京~箱根~富士山~名古屋~京都~大阪などを巡る広域の観光周遊ルートを指す。
新型コロナウイルス感染拡大前の2018年、観光庁が調べた訪日外国人の消費動向によると、訪日外国人の滞在日数は、平均6.0泊という短期滞在の傾向にあった。
このため、初めて日本を訪れた訪日外国人にとって、日本の定番観光地を効率よく巡れる観光周遊ルートは、大きな魅力となった。

 

 

一方、観光庁が2017120日に公表した『平成27年度ICTを活用した訪日外国人観光動態調査』によると、「訪日外国人の冬の隣接都道府県間の流動について見ると、東京から京都・大阪までのゴールデンルートへの集中が見られる」とする。
事実、SNS上での投稿情報の分析に基づいて作成した『旅行動向分析(見る) ランキング(全国)』においても東京、大阪、京都などのゴールデンルート上に位置するランドマークに関連する話題が、ランキングの上位を占めていた。

 

 

これに対して、西日本の観光地のうち、ランキングにランクインしていたのは、台湾の第5位「広島」と同第10位「太宰府」、韓国の第6位「広島」だけだった。
これらの点も踏まえ、観光庁は同報告書において「訪日外国人旅行者増加の効果をゴールデンルートのみならず広く地方に波及させる必要がある」と記す。

 

【画像】西のゴールデンルート

引用:観光庁『平成27年度ICTを活用した訪日外国人観光動態調査 調査結果概要』

 

首長連合・自治体連携による新たな観光振興の方向性を考える

訪日外国人は、当然ながら日本の行政区域である都道府県名に対する認識は乏しい。
その結果、「Tokyo」と言う場合、首都圏全域をイメージしがちだ、同様に「Kyoto」「Osaka」の場合、それぞれ京阪神エリアを指すという傾向がみられる。
このため、訪日外国人を対象にしたプロモーションにおいては、都道府県単位ではなく、複数の観光地を含む広域で連携した方が効率的であり、効果的とされる。

 

 

観光庁は2016年、共通テーマやストーリー性をもたせて、広域での周遊を促す広域観光周遊ルートを設定した。
そして翌20174月、訪日外国人が、各観光地を周遊できるように11のモデルコースを新たに策定している。
観光による地域振興に詳しい九州産業大学地域共創学部観光学科の田代雅彦教授は、次のような見解を示す。

 田代雅彦教授

大阪~広島・宮島は現行のゴールデンルートの延長にあり、すでに数多くの訪日外国人客が訪れています。
その反面、九州方面までは足が伸びておらず、『西のゴールデンルート』による誘客は有意義な取り組みだと考えます。

日本人には飽きられたコンテンツでも、初めて訪れる欧米人には新鮮に感じられるかもしれません。
九州に数多くある火山は、訪日外国人客にとっては物珍しい観光資源であり、フルーツ狩りも有望な観光レジャーになり得るでしょう。

個人的には今回、長らく東京ばかりを見ていた大阪が、久しぶりに九州をはじめ西日本一円に目を向け始めたことを嬉しく思います。
古来、交通の大動脈である瀬戸内海の航路を楽しい移動手段としてさらに活用するなど新たな観光開発も含め、みんなで一緒に盛り上げていくことが必要ではないでしょうか。

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九州産業大学地域共創学部観光学科の田代雅彦教授

コロナ禍を経て、ヒト、カネ、モノ、ビジネスが再び地球上を駆け巡り始めた中、観光分野においても新たなステージを迎えようとしている。
このような状況下、『西のゴールデンルート』を通じて、どのような〝未来航路〟を切り開いていくのか。いましばらくは、目が離せそうにない。

 

 

参照サイト

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会Webサイト
https://www.expo2025.or.jp/

 

2025年日本国際博覧会:大阪・関西万博について
https://www.pref.osaka.lg.jp/bampaku_suishin/2025expo/index.html

 

2025年日本国際博覧会の概要と観光誘客の取組
https://www.jata-net.or.jp/wp/wp-content/uploads/kokunai/997d4aee9c165a15b1c28d98ff1de8ed.pdf

 

西のゴールデンルート設立!(西日本・九州ゴールデンルートアライアンス)924日 福岡カンファレンスで表明式を開催!
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/113706/1/ts_ip_goldenroute0920.pdf?20230925082656

 

西のゴールデンルート
https://west-goldenroute.jp/

 

平成27年度ICTを活用した訪日外国人観光動態調査 調査結果概要
 https://www.mlit.go.jp/common/001158958.pdf

 

 

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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