子育てしやすそうな都市

暮らしやすさで定評ある福岡市は、『子育てしやすそうな都市』ランキングでも第1位だった!?

自治体による子育て世代への支援策が昨今、大いに注目を集めています。子育て支援策は、子育て世代の流入による人口増をはじめ、地域経済の活性化などを通じ、税収面でも増加傾向がみられます。今回、暮らしやすさで定評ある福岡市における子育て支援に関する取り組みやビジョンをみていきましょう。

【社会人が選ぶ】『子育てしやすそうな政令指定都市』の首位は福岡市

【画像01】子育て

1位福岡市11.7%、第2位さいたま市11.0%、第3位横浜市10.4%━━━
東京証券取引所プライム市場上場のアイティメディア株式会社が運営するWebニュースサイト『ねとらぼ』が、2023515日に発表した「【社会人が選ぶ】『子育てしやすそうな政令指定都市』ランキングTOP20!」での第1位は、福岡市だった。

 

 

『ねとらぼ』は、202355日から1週間、全国20の政令指定都市を対象に『子育てしやすそうな政令指定都市』に関するインターネット調査を実施した。
今回のランキング調査で第1位に輝いた福岡市は、海や山などの自然も近いコンパクトシティーとして知られる。
そして、食のおいしさをはじめ、都市としての利便性や交通アクセスに優れ、〝暮らしやすさ〟でも定評のある政令指定都市だ。

 

福岡市の『子どもの育成や教育』予算は一般会計の1/4強

引用:『福岡市政だより』(2023年4月15日発行号)

引用:『福岡市政だより』(2023年4月15日発行号)

 

福岡市は一般会計1兆498億円のうち、26.8%にあたる2,809億円を『子どもの育成や教育』に充てている━━━。
『福岡市政だより』(2023415日発行号)によると、福祉や教育、道路整備など市民の暮らしに関わりの深い基本的な経費を計上する一般会計の予算について解説している。

 

 

「子育て応援予算」と打ち出した同予算では、政令指定都市として初となる第2子以降の保育料無償化を実施。住み替え助成の拡充も行う。
また、産前・産後サポートとして、ヘルパー派遣を産前から利用できるようにするとともに、訪問型の産後ケアとあわせて利用料をワンコイン(500円)にする。

 

 

一方、サポートを必要とする子どもを対象に障がい福祉サービス利用料の軽減や、子ども食堂への支援を拡充させていく。
さらに、子ども医療費の助成対象を高校生世代まで拡大
そして、0~2歳の子育て世帯向けに無償で定期的におむつなどを届ける『おむつと安心定期便』202381日から始まった。

 

 

福岡市の2023年度一般会計予算における子育て支援の取り組みについて、福岡市こども未来局の松田政人こども政策課長は、次のようにコメントする。

 

松田 こども政策課長

福岡市の子育て関連予算としては過去、最大規模です。
福岡市は、『都市の成長』と『生活の質の向上』の好循環を都市経営の基本戦略としています。

今回の予算では、市税の増収など都市の成長で得られた〝果実〟を子育て支援に振り向けることで、こうした支援策を実現することができました。

今後もこうした〝果実〟を活用することで、誰もが安心して子育てができる環境づくりを進めたいと考えています。

 

政令指定都市初の『おむつと安心定期便が福岡市でスタート

【画像】画像提供:福岡市@子育て特集

画像提供:福岡市

 

安心して子育てができる環境づくりをすすめるため、定期的に見守りながらおむつ等を届ける━━━。
福岡市が実施する、0歳~2歳の子育て世帯向けに毎月おむつなどを無料で提供する制度は、政令指定都市としては初となる取り組みだ。

 

 

福岡市では、おむつと安心定期便について、所得制限を設けることなく、0~2歳の子ども約3万8,000人を対象に実施していく。
おむつだけでなく、離乳食など毎月2,000円相当分が提供される同制度のサービスを受けるには、子どもプラザをはじめ子育て関連施設の利用時に電子スタンプを受け取る必要がある。
そして、受け取った電子スタンプを専用サイトで育児用品と交換することで対象世帯宅に届く仕組みだ。

 

 

今回、福岡市が『おむつと安心定期便』の実施にあたって、子育て関連施設などで電子スタンプを取得する方法を用いた理由や背景について、福岡市こども未来局の首藤実千代こども健やか課長は、次のように解説する。

 

首藤 こども健やか課長

0歳~2歳児の子育てにおいて、3歳以降に比べて保育所等の利用が少なく、自宅育児が多いという傾向があります。
子育てには、悩みが付き物であり、子どもと一緒に出掛ける場所や相談できる機会があれば、悩みの解決にもつながります。

このため、2次元コードの読み込みによる電子スタンプの取得が可能な場所を子育て交流サロンや子どもプラザ、保育所、区役所の窓口、小児科など福岡市内に約1,200箇所設けており、子育てで孤立しないように配慮した制度設計になっています。

 

【画像本文03】左)福岡市こども未来局の松田政人こども政策課長、右)首藤実千代こども健やか課長

左)福岡市こども未来局の松田政人こども政策課長、右)首藤実千代こども健やか課長

 

日本初の子どもの村が誕生した福岡市の里親等委託率は都道府県市別でトップ

【画像本文04】引用:こども家庭庁支援局家庭福祉課『社会的養育の推進に向けて』

引用:こども家庭庁支援局家庭福祉課『社会的養育の推進に向けて』

 

都道府県市別での里親等委託率で第1位福岡市59.3%、第2位新潟市55.8%、第3位さいたま市46.0%━━━。
こども家庭庁支援局家庭福祉課の資料『社会的養育の推進に向けて』によると、親の病気や貧困、虐待などで家族と暮らせずに社会的養護を必要とする子どものうち、里親に委託された割合での首位は福岡市だった。

 

 

彼ら要保護児童に対して、欧米では里親委託による養育が主流だ。
一方、日本では8割弱が施設養護であり、里親委託は2割強にとどまっている。
こうした中、福岡市は、2004年の6.9%から実に50%余りも伸ばして、全国トップに躍り出た。

 

 

2004年当時、里親等委託率で全国平均を大きく下回っていた福岡市は、社会的養護を必要とする子どもが増える一方、施設面での空きは乏しかった。
このため、課題感を抱いた行政では、地域でのネットワークづくりに取り組む民間団体との〝共働〟によって、市民参加型の里親制度の普及に乗り出していく。
福岡市は2005年、子どもNPOセンター福岡との協働事業(新しい絆プロジェクト)を始めた。

 

 

また20067月、家族と暮らせない子どもたちのための養育の場であり、里親制度の普及拠点となる子どもの村を建設する目的で『子どもの村福岡を設立する会』が発足。
20104月、日本初の『子どもの村福岡』が誕生した。
福岡市・今津にある子どもの村福岡には、5棟の〝家族の家〟と呼ばれる建物がある。
このうちの3棟は里親向けであり、残り2棟は保護者の病気や育児疲れなどで子育て支援を必要とする家庭向けに短期間預かる『子どもショートステイ』用だ。

 

 

子どもの村福岡には、村長をはじめ里親、里親を生活面で支えるファミリーアシスタントに加えて、精神科医や小児科医、臨床心理士、ソーシャルワーカーらの専門家もチームを組んで里親養育に取り組んでいる。
そして、これらに必要な財源のほとんどは、市民や地元の企業などからの寄付によって賄われている。

 

【画像】『子どもの村福岡

画像提供:子どもの村福岡

 

約2万人の 保育所等定員の上積みで待機児童問題を解消

【画像】引用:福岡市『2022年度 国に対する提言事項 最重点事項』(2021年7月)

引用:福岡市『2022年度 国に対する提言事項 最重点事項』(2021年7月)

 

「子供に関する施策については、これまでも、待機児童対策や幼児教育、保育の無償化、児童虐待防止対策の強化など各般の施策の充実に取り組んできましたが、残念ながら、少子化の進行、人口減少に歯止めがかかっていません」━━。
2022420日、衆議院内閣委員会において加藤勝信衆議院議員は、『こども基本法』の提案理由を説明した。
そして、こども基本法に掲げられた施策を担う行政機関として、こども家庭庁が2023年4月1日に発足した。

 

 

待機児童とは、保育園への入園を希望して申し込みを済ませているにもかかわらず、入園できない状態の子どもたちを指す。
待機児童問題は、2010年ごろから都市部を中心に女性就労率の上昇などによって深刻化した。待機児童が発生する主な要因としては、保育園の定員不足などが挙げられている。

 

 

福岡市の場合、2011年時点での認可保育所等定員は25,104人であり、待機児童は727人だった。
その後10年間、〝保育の受け皿〟として約2万人分を確保し、2021年における認可保育所等定員と企業主導型保育施設定員を46,342人まで増やした。
この結果、2021年に待機児童はほぼ解消し、2023年4月1日時点での待機児童は0人となっている。

 

子育て支援策の強化が、都市としての評価を高めていく

画像提供:福岡市

画像提供:福岡市

 

東の流山市(千葉県)、西の明石市(兵庫県)━━。
「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで有名な流山市、「子育てするならやっぱり明石市」のスローガンを掲げた明石市は、子育て世帯への支援を軸に人口増を実現した自治体の代名詞だ。
地域応援サイト『生活ガイド.com』(運営:株式会社ウェイブダッシュ)が発表した『全国住みたい街ランキング2023』において、明石市は31位から16位に、流山市は57位から28位へと順位を大幅に上げている。

 

 

今後、日本における人口減の進展と共に〝人口〟というパイの奪い合いも激化していくものと考えられる。
政令指定都市での人口増加数・率で首位を走る福岡市においても働き盛りである子育て世帯の戦略的な呼び込み策について今後、具体的に考えていく必要があるのではないだろうか。
今年度と来年度の2カ年を掛けて策定する新たな第10次福岡市総合計画および第6次福岡市子ども総合計画における子育て支援に関する議論に注目していきたい。

 

参照サイト

【社会人が選ぶ】「子育てしやすそうな政令指定都市」ランキングTOP20! 第1位は「福岡市」【2023年最新調査結果】
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/1496913/

 

あなたが思う子育てしやすそうな政令指定都市は?【2023年版】
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/1310841/amp/
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/1310841/vote_result/#votewidget

 

福岡市Webサイト『子育て・教育』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/kosodate/index.html

 

『福岡市政だより』2023年4月15日発行号(No.1729)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/106802/1/1-3_0415_web.pdf?20230406114916

 

厚生労働省「令和3年度福祉行政報告例の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/21/index.html

 

こども家庭庁支援局家庭福祉課『社会的養育の推進に向けて』
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/e979bd1e/20230401_policies_shakaiteki-yougo_67.pdf

 

『こども基本法』(令和四年六月二二日法律第七七号)(衆)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/pdf/k0902080252080.pdf

 

福岡市『2022年度 国に対する提言事項 最重点事項』(2021年7月)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/86517/1/02_saijyuutenkoumokusetsumeisiryou.pdf?20220728091945

 

 

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https://fukuoka-leapup.jp/biz/202305.6042

 

 

福岡市へ毎年夏、世界各国から子どもたちが 集う『APCC』
https://fukuoka-leapup.jp/biz/202308.12098

 

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https://fukuoka-leapup.jp/city/202012.158

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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