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１｜データで紐解く「子育ての安心感」：福岡市の待機児童・医療・給食事情
福岡市が子育て世代にとって魅力的な街として注目される背景の一つには、行政が主導する確かな施策と、充実した社会インフラの存在があります。
これらがもたらす安心感が、共働き世帯の精神的・時間的なゆとりを生み出す土台となっています。
待機児童問題の解決に向けた確かな歩み
共働き世帯にとって、安心して子どもを預けられる保育環境の確保は最も差し迫った課題の一つです。
福岡県全体では、保育士の確保や受け皿整備といった対策が功を奏し、令和7年4月1日時点の待機児童数は29人となり、前年度から28人の大幅な減少を達成しています。
しかし、統計上の数字だけでなく、より実態に即した状況も把握する必要があります。
公式な待機児童数にはカウントされない「隠れ待機児童」の存在です。
福岡県全体では、2024年時点で3,098人の隠れ待機児童がいるとされています。
その多くは、「きょうだいが別の保育園になるため入所を諦めた」や「特定の保育園のみを希望している」といった、保育園の多様性や質のニーズによるものです。
福岡市においては、2011年時点での認可保育所等定員は25,104人であり、待機児童は727人でだったところから、その後10年間で、〝保育の受け皿〟として約2万人分を確保し、2021年における認可保育所等定員と企業主導型保育施設定員を46,342人まで増やすなどの取り組みを行っています。
合わせて保育士の人材確保への取組として、家賃の一部助成や奨学金返済の一部助成なども行われています。
このような行政による保育環境への積極的な取り組みは、子育て環境の安定性につながりやすく、長期的な視点で住まいを選ぶ上での重要な判断材料となります。
医療機関と子育て支援施設の充実
子どもの急な体調不良は、共働き世帯にとって大きな問題です。
福岡市は、この点においても高い安心感を提供しています。
2022年5月に発行された『FUKUOKA GROWTH 2022』において、福岡市の人口1,000人あたりの医療従事者数18.6人が人口100万人超都市の中で首位でした。
出典：公益財団法人福岡アジア都市研究所『Fukuoka Growth2022』
同一空間に3軒以上の診療所が集積した施設である医療モールの数についても、福岡県は全国8位で100件以上となっています。
このことから、福岡市が全国平均を大きく上回る医療集積地であることがわかります。
参考：福岡県の医療モール件数は100件。各種指標で全国平均を上回る医療環境
また、行政による地域の子育て支援体制も手厚く整備されています。
親子が気軽に集える交流の場を提供するために、福岡市内の各区には「子どもプラザ」が設置されています。
さらに、子育てに関する様々な相談に乗ってもらえる「子育て支援コンシェルジュ」も配置されているなど、子育て世帯の生活の安定をもたらすための多角的な支援が行われているんです。
２｜「未来への投資」としての教育環境：経済的メリットと学びの選択肢
子どもの教育は、多くの親にとって将来のライフプランを考える上で最も大きな関心事の一つです。
福岡市は、学びの選択肢の豊かさだけでなく、家計に優しい具体的な施策によって、経済的なメリットも提供しています。
高い教育水準と多様な学びの場
福岡市（市立）の平均学力は、全国学力・学習状況調査の結果を見ると、小学校の国語で全国平均を上回るなど、安定した教育水準を保っています。
また、福岡県は九州エリア内で大学進学率の伸びが著しく、2015年度の大学進学率は1992年度と比較して20.5ポイントも上昇しています。
福岡県内全体では34の大学があり、学生数は約11万人となっています。
『THE 日本大学ランキング2025』においては、福岡県内の12大学がランクインしました。
九州大学をはじめとするこれらの高等教育機関の充実も、将来的な進学先として大きな魅力です。
出所：https://japanuniversityrankings.jp/rankings/
家計に優しい教育支援：可処分所得の増加がもたらすもの
福岡市は、2025年度の2学期から、市立小中学校および特別支援学校の学校給食費を無償化する方針を固めました。
この施策によって、子育て世帯の家計は大幅に改善されます。
具体的には、小学校の6年間で約27万7,200円、中学校の3年間で約16万5,000円の費用が軽減されると試算されています。
福岡市の高島市長は、この無償化について「月々5,000円の手取りがアップするのと同じ効果」と述べており、浮いたお金は「子どもたちが習い事に通えたり、体験活動をさせてあげられる」と、その経済的効果を説明しています。
この政策は、親が抱える教育費の負担を軽減するだけでなく、教育投資というポジティブな行動を促すトリガーとなります。
３｜「タイパ」と「コスパ」で考える福岡の賢いライフプラン
子育て世代にとって、時間と費用は最も貴重な資源です。
福岡市は、その都市構造と生活コストの面で、これらの資源を最大限に効率化できる「タイパ（タイムパフォーマンス）」と「コスパ（コストパフォーマンス）」に優れた街と言えます。
時間的ゆとりを生む「タイパ」
福岡市は、市の主要な機能が中心部に集積した「コンパクトシティ」として知られています。
この都市構造は、人々の移動にかかる時間と費用を大幅に削減します。
総務省の調査によると、福岡都市圏在住者の平均通勤時間は約36分であり、これは東京圏の50分と比較して14分も短いというデータがあります。
往復で計算すると、毎日約30分もの時間を節約できることになります。
この数値は世界的にみても、通勤・通学時間の短さとして上位に入るほどです。
この年間で換算すると約120時間にもなる（週5日勤務とした場合）節約された時間は、家族との団らん、子どもの習い事の送迎、夫婦それぞれの自己啓発、あるいは副業などに充てられる貴重な資産となります。
経済的ゆとりを生む「コスパ」
生活コストの低さもまた、福岡市が持つ大きな魅力です。
総務省が公表した2024年の「消費者物価地域差指数」（全国平均を100とする）では、福岡市の総合指数は98.5となっており、東京都の104.9と比較して、生活が経済的であることがわかります。
生活コストの中でも日々の家計に直結する家賃相場においては、その差は顕著です。
大手不動産情報サイトのデータによると、福岡市中央区の2LDK/3DKの平均家賃相場は12.3万円であるのに対し、東京都心部の千代田区では29.7万円と、月々17.4万円以上の住居費を節約できる計算になります。
これらのコスト削減効果を合わせると、東京都心部と比較して、月々20万円程度、年間で240万円もの費用を節約できる可能性があると推計されています。
「子育てに優しい街」が資産形成にもたらす長期的な影響
これまでの分析で、福岡市が共働き世帯の生活に直接的な時間的・経済的ゆとりをもたらす３つの理由を紹介しました。
しかし、この街の真価は、その個別のメリットが、より大きなマクロ経済の潮流と結びつき、長期的な資産形成の可能性を秘めている点にあります。
街の活力を示す「人口増加」と「経済成長」
全国的な人口減少トレンドが進行する中、福岡市は一貫して人口増加を続けている数少ない都市です。
福岡市の将来推計によると人口のピークでは2040年で約170万2,000人に達します。
福岡市総務局による前回(2012年)の推計でピークだった2035年から、さらに5年ほど人口増加が続く見込みとなっています。
出典：福岡市総務企画局『令和5年12月議会総務財政委員会報告資料』
特に2000年以降は毎年1万人以上の人口増加が続き、20代前半の若い世代の転入超過が顕著であるというデータがあります。
この若い世代の流入は、新たな労働力の確保や活発な消費活動を創出し、地域経済を活性化させる好循環を生み出しています。
多くの人が集まり、経済が成長する街は、必然的に不動産の需要を高めます。
これは、単なる一過性の現象ではなく、確固たる経済基盤の上に成り立つ成長であると言えるでしょう。
街の成長が育む「未来への投資」
こうした街の成長は、不動産価値の向上という形で現れています。
福岡市の中古マンション平均㎡単価は、2013年から2022年の10年間で67.4%も上昇しました。これは、東京23区のファミリー向け賃貸物件が1年間で3.2万円上昇したというデータと比較しても、非常に顕著な伸び率です。
この価格上昇は、単なる投機的なバブルではなく、人口増加や経済成長、そして天神ビッグバンや博多コネクティッドといった大規模な再開発事業という複数の要因が複合的に作用した結果です。
福岡市のメインストリート〝明治通り〟が天神ビッグバンで変貌する
福岡市の人口は2040年頃にピークを迎えると推計されていますが、世帯数はその後も増加する見込みです。
これは、単身世帯や夫婦のみ世帯の増加を背景としており、賃貸市場の安定した需要が今後も継続することを示唆しています。
この安定した需要は、賃料収入の安定性にも寄与し、不動産が長期的な資産として価値を持つ可能性を高めます。
福岡で「安心」と「未来」を育むライフプランを
福岡市は行政による積極的な子育て支援と、コンパクトシティであることによる時間的・経済的なゆとり、そして人口増加によって、共働き世帯が安心して暮らせる環境を提供しています。
さらに、日々の生活で得られる「タイパ」と「コスパ」は、夫婦の可処分所得を最大化し、子どもの教育や自己啓発、そして将来に向けた貯蓄・投資へと資金を回すことを可能にします。
福岡での暮らしは、単なる「子育てのしやすさ」という点だけでなく、「安心できる暮らし」と「将来の資産形成」の両立を可能にすることになるでしょう。
福岡での子育てライフと資産形成について、さらに具体的な事例やデータを知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
