山田全自動さん(Y氏)がなぜ古本屋を?
思わずくすりと笑ってしまう「あるあるネタ」を浮世絵風マンガで表現するイラストレーター・山田全自動として活躍している山田孝之さん。
フクリパで連載を担当するほか、企業のプロモーションイラスト、書籍の挿絵などを担当。SNSのフォロワー数はインスタグラムだけで100万人を超えている人気クリエイターです。
一方山田さんは、Y氏と名乗り、街に潜むあまり知られていない史跡や味わい深い建物、昔懐かしい飲食店などを記録するブログ『Y氏は暇人』の主としても活動しています。
「福岡のごまさばが美味しすぎる話」博多ごまさば屋へ行って来た!
そんな山田さんが、2024年4月に古本屋をオープン!
「正直このままのらりくらりと今の感じが続いていけばいいかなと思っていたのですが、最近の「生成AI」の進化のスゴさを目の当たりにして、考え方ががらりと変わりました。僕の創作アイデアも表現もあっという間に学習されて、AIでも生成できる日が来る。そうなる前に、次に熱中できることを何か探そうと思ったんです」と山田さん。
そこでふと思い出したのが、“いつか古本屋をやりたい”という昔抱いていた夢だったのだそう。2023年冬、住吉エリアにカフェの居抜き物件を発見してから4ヶ月ほどの準備期間を経て、2024年4月26日にオープンしました。
ということで、フクリパ編集部のO氏とともに、ふるほん住吉を訪れることにしました。
“Y氏”らしいレトロな町並みに出店
博多駅から徒歩10分弱ということで、歩いて向かうことに。
博多郵便局の前を通り、博多駅前3丁目の交差点を右折し、住吉通りへ。
「こんな大都会の一体どこに古本屋が?」と、若干不安になり、地図アプリを三度見ほどしました。でも間違いないようです。
そして、住吉の交差点を左折。
精華女子高等学校方面に進むように曲がると、突然タイムスリップしたかのような町並みが現れました!
そこからしばらく歩くと…
見つけました!ふるほん住吉。こちらの看板が目印です。
近くの美野島商店街など味わい深いお店も多く、この場所に出店されたんだそうですよ。何ともY氏らしい視点です。
店前だけでもすごい量の古本がずらり。
外に陳列されている商品は、なんとぜ〜んぶ100円です。
雑誌や文庫本、レコード…中には「これ昔実家に飾られてたよね?!」っていう羽子板も。
こちらは1970年代のりぼん。中を開くと多少変色はしているものの、ページ破れもなく感動的な状態!私たちよりずっと年上なんて…ロマンしかないです。
ちなみにここで、Oさんと「私『なかよし』派だった!」「私は両方読んでた!たまに『ちゃお』も」なんて、いうはなしでひと盛り上がり。
古本初心者にやさしい古本屋
さっそく中にGO!
店内は、ほとんどの通路が人とすれ違うことが難しいほどのほどよく狭い通路。これが、THE古本屋さんっていう感じでいいんですよね。
店内には約1万5000冊の古本が並んでいます。
正面には、こんなかわいいポップを見つけました。
すべて、山田さんの漫画家仲間でふるほん住吉のスタッフ、カラサキ・アユミさんがかいているんですって。
せっかくなら、山田さんがかいたポップはないの?!と思ったら、山田さんは絶望的に字が汚いんだそうです…(笑)
入口を入って壁側の棚には、これまた100円コーナー。
150cmほどの本棚2つにびっしりと本が並んでいて、選びごたえ抜群です。
100円コーナー以外の本は、本を開いたところの、右上に値段がかかれています。
高値がついているようなレア本を取り扱っている古本屋も多く存在しますが、ふるほん住吉は300〜400円の本が中心。その良心的な値段も嬉しいポイントです。
こちらは漫画雑誌を中心としたコーナー。こちら、見る人が見たら大興奮の絵ではないでしょうか。
新しく入荷した本は、レジカウンター前に設置されている棚に。見てみると、わりと最近発売された本も隠れてたりして、これまた楽しい。
そんな感じで、何となくのジャンルに分けられていますが、
さらに嬉しいことに、細かなジャンルに分けられた本棚もあります。
古本屋に入っても「どの棚を見たらいいんだろう?」と戸惑ってしまう古本初心者のわたしとしては、とても心強かったです。
実はそれだけじゃなく、ふるほん住吉にはさまざまな工夫がほどこされています。
まずその店名。「古本屋って何となくこわい」「敷居が高い」と感じている人がいることから、古本を平仮名にして、ふんわりとやさしい印象にしたのだそう。
さらに店内には、
お花を飾ったり、アート作品を飾ったりして、女性でも入りやすい場所づくりがされています。実際、お客さまの約7割が女性なのだそうですよ。
置いているのは古本だけじゃない!
古本だけじゃなく、何とも“エモい”商品が置かれているのもふるほん住吉の特徴。
以前はゲームボーイの本体やカセットが置かれていたんですが、そちらは残念ながら完売してしまったのだそう。ほしかった…
取材にうかがった時にはマッチの空箱や…
(額縁の中に陳列されている姿がかわいくて、そのまま部屋に飾りたくなりました)
映画のパンフレットに…
(偶然居合わせた70代くらいのおばさまと「これ昔見たわ〜」という話で盛り上がりました)
ビデオに…
(こちらの横には、映画のポストカードのコーナーもありました)
カセットテープ…!
300種類ほどのカセットテープがずらり。
しかもこれらすべて、店内に置かれているプレイヤーで視聴することができるんです。
「お客さんの中には、ふるほん住吉でカセットに出会って、それから日常的にカセットを聴くようになった方もいらっしゃるんです」と山田さん。
昭和なパッケージもかわいくて、インテリアとしてもおしゃれですし、デジタルで聴くよりも温かみを感じる音が心地いいですよね。
とにかくどこを切り取っても、ただ本が並んでいるだけじゃない“何か”が仕掛けられているので、宝探しをしているような感覚になります。
今でこそ頻繁に古本などを仕入れにいっているそうなのですが、以前から本に限らず古いものを収集していた山田さん。
オープン当初は自身が収集していた古本もかなり並べていたそうです。今はその大半が売り切れてしまったそうなのですが…
そのほか、店内に飾られているアイテムも山田さんの私物。ひとつひとつのアイテムのエピソードをうかがうのも楽しいですよ。
カウンター横に並ぶ市松人形のようなものは、蚤の市で半分無理やり買わされたのだとか…
中には、販売可能なものもあるそうなので、気になるものがあったらぜひ山田さんに聞いてみてくださいね。
取材にうかがった5月時点の店内マップはこちら。
ただし、店内は、お客様が何度足を運んでも飽きないように、頻繁に模様替えしているそうなので要注意!
実際にふるほん住吉に何度も訪れているという20代の方におはなしをうかがうと「古本屋巡りが趣味ですが、ここまで頻繁に商品を入れ替えたり、模様替えをする古本屋はほかにはない」とおっしゃっていました。
ちなみに余談ですが…
本をパラパラとめくっていると、こんなメモを見つけました。前の持ち主の方がはさんだメモでしょう。
前の持ち主に思いをはせながら、古本を探してみるのも面白いですよ。
山田さんがおすすめ!ふるほん住吉近くの飲食店
古本屋をオープンしてから、営業終了後に、近所の飲食店を巡るという楽しみができたという山田さん。
ふるほん住吉のX(@y_ta_net)にも、その日山田さんが食べたものが写真付きでアップされていますが、中でもおすすめの4店舗を教えてもらいました。
◎これぞ街のパン屋!「だるま堂」
昭和24年創業での老舗パン屋さん。
店内に並ぶのは、奇をてらったものではなくドーナッツやメロンパン、アンパンなどの定番商品。
すべてが100円そこそこで買えてしまうので、あれもこれもと、どんどんトレーの上にのせてしまいます。
住所:福岡県福岡市博多区住吉4-15-5
(ふるほん住吉から徒歩30秒ほど)
◎メニューが豊富な中華料理「シャン」
だるま堂に隣接して店を構える「シャン」。
店内は、街の中華屋さんという感じで、誰しもがほっとするような雰囲気になっています。
ラーメン、ちゃんぽん、皿うどん、チャーハン…とにかくメニューが豊富で何度行っても飽きがこないお店です。
住所:福岡県福岡市博多区住吉4-15-5
(ふるほん住吉から徒歩30秒ほど)
◎ざるそば500円!うどん・そばの「大江戸」
昼・夜ともに、大人気のお店です。
ざるそばは何と500円でいただくことができます。
温かいうどん・そばのメニューも充実しており、かけ、たぬき、きつね、こんぶ、あんかけ、カレー、玉子とじなど様々な種類が楽しめます。そのほか、丼もののメニューが豊富!
住所:福岡県福岡市博多区住吉4-14-7
(ふるほん住吉から徒歩30秒ほど)
◎知る人ぞ知るおしゃれカフェ「café bentue」
ふるほん住吉から徒歩10秒ほど。
細い階段を登った上にあるカフェ「café bentue」。細長い店内には、カウンタ席と2人掛けテーブルが2つ置かれています。
17時までランチをやっているのが嬉しいポイント。それ以降はディナータイムになります。
山田さんのおすすめは「豚汁・アジフライ」。
住所:福岡県福岡市博多区住吉4-11-14 2F
(ふるほん住吉から徒歩10秒ほど)
ふるほん住吉 店舗情報
住所:福岡県福岡市博多区住吉4-14-3
営業時間:11:00〜18:30
定休日:火曜
Instagram:@furuhon_sumiyoshi(https://www.instagram.com/furuhon_sumiyoshi/)
X(旧Twitter):@y_ta_net(https://x.com/y_ta_net)