【福岡】北九州市漫画ミュージアムは漫画が読めるだけじゃない!10倍楽しめる館内ガイド

福岡をこよなく愛するライター大塚たくまが、福岡で起きていることを徹底深掘りしていきます。今回のテーマは、「北九州市漫画ミュージアム」。漫画が読めるだけじゃない魅力を掘りに掘った完全ガイドです。

こんにちは。ライターの大塚たくまです。

 

福岡県北九州市・小倉駅の近くにある施設でずーっと気になっている施設があります。それは「北九州市漫画ミュージアム」。JR小倉駅新幹線口を出てすぐに建つ、あるあるCityの5階と6階にあります。

 

「なぜ北九州市にそんな施設があるのか?」
「漫画をいっぱい読めるだけの場所なのか?」

 

開館して10年以上経つのに、全然知らない……。ということで、今回は「北九州市漫画ミュージアム」の楽しみ方を深掘りします!

 

 

実は明治時代から続く「漫画の街」だった北九州市

 

北九州市漫画ミュージアムは、漫画の文化を未来に伝え、発信していくために2012年8月3日に開館しました。

 

「見る・読む・描く」の3つのテーマを軸にした館内では、貴重な作品を見たり、漫画の世界に入り込んだかのような体験ができるそうです。

 

そもそも、なぜ北九州に漫画ミュージアムがつくられることになったのか……。北九州市漫画ミュージアムの平野さんにお話をうかがいました。

 

大塚
北九州に漫画ミュージアムがあるのって、やっぱり松本零士先生の存在があるからですよね。
平野さん
松本零士先生の影響は多大ですが、それだけではありません。実は松本零士先生が生まれるより昔の明治時代から、北九州には漫画の文化が根付き始めていたんですよ。
大塚
えっ、明治時代から!? 北九州って、そんな昔から漫画がさかんだった土地だったんですか?明治時代の北九州といえば、発展の真っ只中ですよね。
平野さん
そうですね。八幡製鐵所で産業の発展に尽力し、門司港からは諸外国との貿易を行い、活気がありました。北九州に、日本中からたくさんの人や情報が集積されるようになったのです。
大塚
まあ、そうでしょうけど、それと漫画は関係ないですよね?
平野さん
そうでもないんです。最先端の情報や人が北九州に集積するようになり、大正時代には新聞社が北九州に西日本の本社を置くようになったんです。そうすると新聞に載せる地図や天気図、広告の挿絵が必要になります。
大塚
なるほど。それで、北九州には新聞社が依頼する「絵を描く仕事」が豊富にあったわけですか。
平野さん
もちろんパソコンもありませんので、全ての絵は人の手で描かれます。新聞は毎日発行されるので、北九州には絵を描く仕事がたくさんあったんです。
大塚
仕事を請け負いながら自分の腕を磨けるという、漫画家志望の方には理想的な環境だったんですね。
平野さん
その歴史は今でも続いていて、現在でも北九州市は全国的に見ても、マンガ家が多い地域なんです。プロだけでなく、同人誌の文化にも歴史があり、1966年にはマンガ同人サークル「アズ漫画研究会」が結成されています。このサークルは、新しい世代の会員も加わって現在も活動中で、日本有数の歴史を持っているんですよ。
大塚
え、60年代から北九州にそんな人たちがいたんですね。
平野さん
同人誌即売会を代表する「コミックマーケット」が東京で発足したのが1975年なので、北九州の漫画文化の歴史の長さがお分かりいただけると思います。「アズ漫画研究会」も、その第1回「コミケ」にもちろん出展していたそうです。
大塚
そういった背景があって、北九州市漫画ミュージアムがつくられたんですね。そんなに北九州が「漫画の街」だったなんて、全然知りませんでした。北九州にこうした施設が存在することには、重要な意味があるんですね。

北九州市漫画ミュージアム巡り

1. お宝だらけのエントランス

 

ではさっそく、北九州市漫画ミュージアムを巡っていきましょう!

 

エントランスでは、松本零士先生が生み出した人気キャラクター「宇宙海賊キャプテンハーロック」がお出迎えしてくれます。

 

 

並んで記念撮影をすることができちゃいます。ハーロックって、背が高いな。

 

 

エントランスを通り抜けると、2代目館長である「わたせせいぞう先生」のサインパネルも発見!

 

ちなみに、エントランス正面側にも、たくさんの漫画家さんたちが北九州市漫画ミュージアムに向けて描いた色紙も飾られています。

 

憧れの漫画家さんの色紙があるか、探してみるのも楽しそうです。

 

 

2. 北九州発・銀河行き~松本零士を生んだ街

 

「北九州発・銀河行き〜松本零士を生んだ街」エリアでは、北九州が誇る漫画家 松本零士先生のルーツや活躍の歴史を紹介しています。

 

 

松本零士先生のインタビュー映像を見たり、若き日の思い出を覗き見したりできます。

 

 

松本零士先生は、少女漫画を描いていた時期があったそうです。知らなかった……。当時の資料がたくさん展示されていて、かなり見応えがありました。

 

 

エリアの一角には、他ではなかなか見られない北九州市の歴史をテーマにした「銀河鉄道99」のアニメの鑑賞エリアがあります。

 

 

……気付けば物語に没頭。上映時間は約16分です。ソファーに座ってゆっくりと楽しめます。

 

 

3. 漫画の七不思議

漫画がどのように作られているかや、読者を漫画の世界に引き込むテクニックなどを紹介しているゾーンです。

 

 

北九州市出身の漫画家、関谷ひさし先生が実際に使っていた作業机や道具をご家族からお預かりして展示しています。

 

当時のプロ漫画家が、どのような作業環境で漫画作品を生み出していたか想像が膨らみます。カリカリというペンを走らせる音が聞こえてきそうです。迫力のある展示でした。

 

 

展示パネルはコミック型。細部まで凝っていますね。キャラクターの豊かな表情に関する展示がされており、思わず見入ってしまいました。面白い展示内容です。

 

このコーナーでは、漫画の描き方だけでなく、実際に漫画の世界に入ったかのような体験ができます。

 

 

これだけ見ると合成に見えるかもしれませんが……。

 

 

実際はこんな感じで、パネルの前でポーズをとっているだけ。簡単にSNS映えする楽しい写真が撮影できます。

 

 

恥ずかしがらずに顔までしっかり、全力で作り込むのがポイントです。

 

 

北九州市漫画ミュージアムを訪れた思い出の一つとして、ぜひ挑戦してください!

 

 

4. なりきりカメラ

 

漫画家・漫画作家の情報を見たり、漫画で登場する場所を探せたりする面白い情報端末があるのですが……。その端末に、漫画の表紙になりきるゲームができる機能があります。

 

▲真剣

 

お題の表紙を真似て、ポーズをとると撮影。ポーズはAIが採点してくれます。

 

 

しばらくすると、CGの打ち上げ花火がぼくを祝福してくれました。1位です!!何事も全力大事。

 

 

5. 漫画のタイムトンネル

 

1945年から北九州市漫画ミュージアムが開館する2012年までの漫画の歴史がわかる圧巻のタイムトンネル。

 

 

各年代の代表的な作品を実際に読むことができます。戦後から現在に向けて、移り変わっていく社会の様子を、漫画を通して垣間見ることができることにちょっと驚きました。

 

▲手塚治虫先生の新宝島を発見

 

 

この年代、自分は〇歳か。〇〇をしていた時期だったなぁ……。と、いつまでも話し込んでしまいそうな、楽しいコーナーでした。

 

 

6. 蔵書7万冊!閲覧ゾーン

 

北九州市漫画ミュージアム巡りの最後は、7万冊もの漫画に囲まれた圧巻の閲覧ゾーン。

 

7万冊とはどれほどの数字なのか……。ちなみに全国の高校の図書館で管理されている平均蔵書冊数は約2万7千冊とのこと。>参考: 全国学校図書館協議会

 

その差なんと、2倍以上。しかも、北九州市漫画ミュージアムにある本は、全部漫画です。懐かしの作品から現在人気の作品まで、蔵書を自由に読めます。

 

 

北九州にちなんだコーナーはもちろん……。

 

 

海外漫画のコーナーも。「ガイマン」っていうんですね。日本の漫画が外国語に翻訳されたものは見たことがありますが、海外の漫画作品って見たことがなかったです。

 

海外の漫画冊子は日本の漫画冊子とは違って、たいへん紙質が良く、イラスト集のようなリッチな作りでした。日本の漫画よりも「芸術作品」という趣が強くて、文化の違いを感じました。

 

 

もちろん、海外版の日本漫画を読むこともできます。言葉の意味はわかりませんが、自分の知らない文字で同じ漫画を楽しんでいる人が世界にいるかと思うと、不思議な気分ですね。

 

さすが7万冊……。膨大な蔵書です。こんなに漫画があるなんて、1日中使っても時間が足りないですね。

 

 

本物の図書館同様、検索機もあって便利です。閲覧ゾーンに複数用意されていて、読みたい作品がどこのエリアに配架されているかを確かめられます。

 

 

そのほか、自分の好きな作品を紹介し合う読書会や……。

 

 

漫画体験や漫画スクールも定期的に開催しています。小さい子どもから大人まで、幅広い年齢の方が楽しみながら漫画と向き合っているそうです。

 

将来、北九州市漫画ミュージアムから、新たな漫画家が輩出されるかもしれませんね。

 

自分の地元に漫画を勉強できる施設があることで、さらに北九州と漫画の関係性は強まっていくと感じました。

 

北九州市漫画ミュージアムが担う役割は、想像以上に大きなものでした。

 

 

やっぱり漫画っておもしろい!北九州市漫画ミュージアムへ行こう

 

まさか北九州市漫画ミュージアムが、こんなにディープで楽しめる場所だったなんて……。北九州と漫画の歴史的な関係性を考えると、文化を守り、後世へ繋ぐためにも大切な場所だと感じました。

 

これから漫画を読む時、どんな場所で作られているかや、どんなテクニックが使われているかという視点も持てそうです。

 

やっぱり漫画って面白いなぁ……。ぜひあなたも小倉駅付近へ行くことがあれば、立ち寄ってみてくださいね。

北九州市漫画ミュージアム概要(アクセス・営業時間・入場料など)

 

【北九州市漫画ミュージアム】
■住所: 福岡県北九州市小倉北区浅野二丁目14-5 あるあるCity5F・6F [MAP]
■アクセス: 小倉駅から徒歩2分
・東京方面の方、北九州空港から小倉駅までノンストップバスで37分
・福岡空港から小倉駅まで高速バスで1時間20分
・福岡天神バスセンターから小倉駅まで高速バスで1時間20分
■お問合せ: 093-512-5077
■営業時間: 11:00~19:00※入館は閉館の30分前まで
■休館日: 火曜(休日の場合はその翌日)、年末年始など
■入館料: 常設展観覧料一般480円、中高生240円、小学生120円、小学生未満無料(※企画展は別途観覧料が必要です)
■詳細はこちら

 

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ライター・編集者
大塚たくま
福岡をこよなく愛する編集者。みんなが知っているようで深くは知らないことを徹底深堀して「実はここが面白い!」を見つけることを得意とする。グルメ・旅行の他、自身でスポンサーになるほどのアビスパ福岡サポーター。

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