福岡では一般的な調味料として親しまれている、九州山間部で生まれの「ゆずごしょう」とは
福岡に暮らす人にとっては、身近な調味料であるゆずごしょう。普段何気なく口にしていますが、そもそもゆずごしょうについて、みなさんはどれくらいの知識をお持ちでしょうか。
ゆずごしょうとは、ゆずと唐辛子、塩で作られた調味料。発祥は諸説あり、修行僧が作っていたという説や、大分・日田高塚地蔵尊の参道で農家のお母さんが作ったものを売り始めたことがきっかけになった説などがあります。
ゆずごしょうは、もともと摘果された青ゆずが「もったいない」いう思いで作られ始めたもので、青ゆずごしょうが一般的です。昨今は黄ゆずの果皮で作られた、赤ゆずごしょうや黄ゆずごしょうも登場しています。
どちらにせよ、九州山間部で生まれた調味料が土産品として購入され、その味が広まり、徐々に知られていったのがゆずごしょうなのです。
「ゆずごしょう」は、塩味・苦味・辛味・油分・香りの5つの要素が補える優秀調味料
私たちに身近な調味料となったゆずごしょう。その魅力を、生産者の思いとともに伝えているのが、生活工房とうがらしの神谷禎恵(かみや よしえ)さんです。“マダムゆず”として親しまれる神谷さんが生み出すゆずごしょうは、名だたる一流シェフをも魅了しています。神谷さんが考えるおいしいゆずごしょうとは、どんなものなのでしょう。
神谷さん
そこでゆずごしょうの登場です。ゆずごしょうは、塩味、苦味、辛味、油分、香りの5つの要素が補える調味料。特に、苦味をサポートできる調味料は、貴重です。これらの要素のバランスが良いものこそ、おいしいゆずごしょう。さらに、視覚…つまり彩りの良さで食事がさらにおいしくなります。味覚だけでなく、視覚も刺激する鮮やかな色のゆずごしょうをぜひ試していただきたいですね。
できたて3時間で食べてほしい。鮮やかな緑色をした「青ゆずごしょう」
味のバランスに、香り、色彩がそろったゆずごしょう。それが、できて3時間以内に食べてみてもらいたい「青ゆずごしょう」です。9月半ばのわずかな期間に収穫された、若々しい青ゆずを使ったもので、鮮やかな緑と爽やかな香りが特徴。
ゆずごしょうの味わいや香りは、時間とともに少しずつ損なわれていってしまいます。だからこそ、作りたての状態が保たれる目安、「3時間以内」の食べごろをぜひ味わってほしいと、神谷さんは今年、クラウドファンディングサイト「Makuake」でゆずごしょう手作りキットを販売しました。
神谷さん
この青ゆずを使ったできたての青ゆずごしょうは、目にも鮮やかな緑色。香りは鮮烈で、唐辛子の辛味はもちろん、うま味、苦味も味わうことができます。
続いて、神谷さんにおすすめのゆずごしょうの食べ方についてもうかがってみました。焼き鳥やステーキ、餃子の薬味だけじゃない、目からウロコの食べ方をご紹介します。
神谷さん直伝!ゆずごしょうのおすすめの食べ方
・ゆずごしょう×卵かけごはん
こちらが一押しの食べ方です。ポイントは、白身をメレンゲ上にすること。そこへ黄身を落として、青ゆずごしょうだけでいただきます。醤油などは不要。青ゆずごしょうの風味と、ふわふわのメレンゲのハーモニーがたまらない一品です。「うーん、旨いっ!」って必ず、言っちゃいますよ。
・ゆずごしょう×新米おにぎり
肉料理に添えるイメージが強いゆずごしょうですが、実はお米との相性も抜群。新米のおにぎりにスプーン1杯ほどのゆずごしょうを添えてみてください。ゆずごしょう本来の味わいが楽しめるはずです。シンプルなのにパワフルな味わいですよ。
・ゆずごしょう×スイーツ
意外や意外。もはや定番で鉄板!ゆずごしょうは乳製品との相性がいいので、チョコレートやクリームチーズにのせてもおいしいですよ。バニラアイスなんかもいいですね。ゆずのフルーティーな香りと風味が引き立ち、辛味がアクセントになって、ついついお酒も進んでしまいます。
「出来上がったゆずごしょうを3時間で食べ切るなんて…と思う方もいらっしゃるでしょうが、こんな具合で、想像以上にいろいろな食材と相性がいいので、あっという間になくなってしまうんですよ(笑)」と、神谷さん。
一流シェフにも支持される理由は、里山の食文化体験にあり
旬を大切にする神谷さんのゆずごしょうは、東京にあるモダンフレンチの名店「SUGALABO」やアジアを代表するパティスリー「Scene KAZUTOSHI NARITA」などのシェフやパティシエなどにも愛されています。多くの一流シェフにも愛されています。神谷さんのゆずごしょうが、彼らを惹きつけるのはなぜでしょうか。
神谷さん
今回、ゆずごしょうの販売の場にクラウドファンディングを採用したのも、皆さんにゆずごしょうを通して、里山の風景をイメージしてもらい、食文化を体験してもらいたかったから。例えば、スーパーや産直市でできあがったものを買ってきたとしても、それはただ「調味料を購入した」だけになってしまう。でも、クラウドファンディングのページで、それぞれの食材がどこで、どんなふうに作られているかを知ってから、手元に届き、自らの手で作ったものをいただくとどうでしょうか。
旬のものを旬の時期に、まるで山に行ったかのような気分で、山の空気や味を感じていただけると思うのです。ゆずごしょうがある食卓で、里山の風景を話題にしてもらえればうれしいですね。
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SUGALABO
住所:東京都港区麻布台1丁目11-10 日総第22ビル 1F
http://sugalabo.com/
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Scene KAZUTOSHI NARITA
住所:東京都港区麻布十番2丁目3-12 1F ベルフォーレ麻布
営業時間:10:00〜21:00
電話番号:03-6435-4180
https://kazutoshinarita.com/
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ゆずごしょうのストーリーとともに知ってほしい、食の大切さ
「食卓に里山の風景を届けたい」と話す神谷さん。これからも、ゆずごしょうを通して、食の大切さを多くの人に伝えていきたいといいます。
神谷さん
ゆずごしょうは、そのためのツール。私は、ゆずごしょうの背景を伝えたいんです。単においしいだけじゃだめ。もっというなら、おいしければ、もちろんそれが一番だけど、「伝わる」ならおいしくなくてもいいかなって思うくらい(笑)。私のゆずごしょうを知って、食べた人が、さらに誰かに何かを伝えたくなる。私の思いを受け渡してくれるものが、ゆずごしょうなんです。
神谷さんが今だからこそ知ってほしい、食への思いを伝えるゆずごしょう。今季の青ゆずごしょうはシーズン終了となりましたが、これから冬に向けて、農林水産省料理人顕彰制度で料理マスターズブランド認定された「黄ゆずごしょう」、市場にはほとんど出回らない完熟ゆずを使った「完熟ゆずごしょう」が登場します。黄ゆずごしょうは、11月下旬から、Makuakeで応援購入を募集。旬が詰まったゆずごしょうで、里山の景色に思いを馳せる晩秋の食卓を楽しんでみてはいかがでしょう。