「福岡からビートルズを生みたい」 キャバーンビートが後押しするF-Popとは

福岡をこよなく愛するライター大塚たくまが、福岡で起きていることを徹底深掘りしていきます。今回注目したのは、福岡のライブハウス「キャバーンビート」。コロナ禍でも音楽に寄り添い続けた、キャバーンビートが後押しするF-Popとは?

こんにちは。ビートルズ大好きライターの大塚たくまです。
 
福岡市中央区清川にあるライブハウス「キャバーンビート」は、ビートルズ大ファンの町田さんが2012年に開店させました。>>キャバーンビート
 
コロナ禍の大きな打撃もありましたが、なんとか存続。今年は10周年記念イベントが控えています。
 
以前はビートルズのコピーバンドが中心だったような気がするのですが、現在は福岡の若手ミュージシャンの演奏がかなり多くなっている様子。いったいどのような変化があったんでしょうか。
 
今回はキャバーンビートのご紹介と、キャバーンビートが後押しする福岡の若手ミュージシャンについて深堀りします。

■福岡市中央区・清川にあるビルの地下に構えるキャバーンビート

キャバーンビートは福岡市中央区清川の交差点からアパホテルのある道へ曲がった先にあります。ビートルズが設立したレーベル「アップル」をイメージした、グリーンのりんごの看板が目印です。
 
店名の「キャバーン」とは、洞窟という意味。ビートルズが下積み時代に演奏していたリバプールのナイトクラブ「キャバーンクラブ」が由来になっています。
 

▲リバプールのキャバーン・クラブは現存

リバプールのキャバーン・クラブ同様、清川のキャバーンビートも地下にあります。地下へ降りていくにつれ、胸が高鳴ります。

本物のキャバーン・クラブと同様、店内はレンガが基調となっています。

さらに、店内にはビートルズ関連の装飾がたっぷり。ビートルズファンのぼくはもうこれだけでワクワクしてしまいます……!

こんな素敵な空間の主である、オーナーの町田秀樹さんにお話をうかがいます。

■一時期、コロナの元凶扱いされたライブハウス



大塚

キャバーンビート、10周年おめでとうございます。コロナ禍で大変な状況だったんじゃないでしょうか。

町田さん

まるで「コロナを発生させたのがライブハウス」とでもいうような報道が続きました。今でも大変な状況は続いていますよ。


大塚

世の中にはいろんなライブハウスがあるのに、すべて一括りで報道されていましたね。


町田さん

「ライブハウスがあるせいで」と、よく言われましたよ。ミュージシャンも、ギターを持って歩いているだけで「お前らみたいなのがいるから」と暴言を言われた人もいます。



大塚

えーっ……。そんなことを言う人がいるんですね。酷すぎる。ライブハウスもミュージシャンも、重要な存在なのにな。


町田さん

ライブハウスが厳しくなったことで、演奏する人たちも厳しい状況に立たされ、音楽活動を辞めた方も大勢います。



大塚

そうですよね……。そのような状況下で、キャバーンビートは営業を続けていたわけですね。キャバーンビートはミュージシャンにとって貴重な存在だと思います。


町田さん

アーティストの演奏に直接触れられる場所は重要だと思います。音楽好きな方が、安心して聴きにこられるようになるまで、絶対に踏ん張らないといけないと思っています。

■ビートルズ「だけ」を楽しむ場にしない



大塚

町田さんは、もともと音楽業界の方ではなかったですよね。どうしてキャバーンビートをつくったんですか。


町田さん

ビートルズが好きで、ビートルズ仲間もたくさんいたから、こういう店を開いてもいいかなと。脱サラして、退職金でこのお店を作りました。



大塚

ビートルズ好きが高じてつくったといった感じですね。開店当時、ぼくもビートルズの大ファンなのでわくわくしました。福岡に最高の場所ができるって。


お店のロゴは某バンドのロゴに似てる

町田さん

でも、実際、思うのとやるのとは全然違いました。お店をやる上で、「ビートルズ」にスポットを当てるのと、「音楽」にスポットを当てるのは意味が違ったんですよね。



大塚

「ビートルズ」と「音楽」が違う……? どういうことですか?


町田さん

ビートルズファンにも、いろんな「ファン」の形があるんですよ。中には音楽的に優れていることではなく、ビートルズのマネをして、いかに近づくかを重要視する人もいます。



大塚

たしかに。いろんなファンの形がありますからね。


町田さん

演奏がめちゃくちゃうまい、若くて優秀なバンドが演奏したときに「演奏の素晴らしさ」の話題ではなく、「本人と楽器が違う」と指摘されているのを見まして……。「自分がやりたいことと、ちょっと違うかもしれない」と感じるようになりました。



大塚

あー……、なるほど、ニュアンスがわかりました。ビートルズである前に、音楽に寄り添うお店でありたいということですね。


町田さん

今は、一ライブハウスとして、ビートルズ「だけ」ではなく、もっと音楽に寄り添っていきたいと思っています。



大塚

ぼくもビートルズファンですが、ここがビートルズファンだけが集まるような場所になってほしくないと思います。本当は原曲通りじゃなく、結構オリジナリティを出してビートルズをカバーしているバンドも多いし、楽しいですけどね。


町田さん

そうそう、個性があっていいですよね。ビートルズ本人だって、いろんな演奏をしている中でたまたまベストなテイクをレコードにしているだけです。



大塚

そのテイク通り、いつも同じ演奏をしているわけじゃないですし。それこそ、ビートルズ本人たちはただマネすることを嫌がりそうですけどね。ただ真似した演奏してたら、ジョンからきっつい皮肉言われそう。


町田さん

たしかに。笑



大塚

ちなみに、今でもキャバーンビートでビートルズを演奏する機会はあるんですよね。


町田さん

「ビートルズ懇親会」を開いたり、10周年を迎える今年2022年9月10日、11日はビートルズ祭を開催します。ちょっとずつ復活はしていますね。



大塚

おお、それはぜひ行ってみたい!!楽しみです。

■キャバーンビートが後押しする「F-Pop」とは


キャバーンビートのYouTubeチャンネルより

大塚

今はビートルズ以上に、福岡の若いアーティストを応援したいという意味合いが強くなってきていますよね。


町田さん

キャバーンビートの由来は「ビートルズを楽しんでもらう」という意味だけではありません。リヴァプールのキャバーンクラブのように「ビートルズのようなアーティストを輩出したい」という想いがあります。



大塚

そのコンセプト、いいですね……!


町田さん

今は「F-Pop」に力を入れています。



大塚

「F-Pop」ってなんですか?


町田さん

「F-Pop」とは福岡のポップスという意味です。インディーズで頑張っている、福岡の若いミュージシャンを応援しています。



大塚

へえ〜! 「F-Pop」か。キャッチーでいいですね。どうやって生まれた言葉なんですか?


町田さん

じつはある曲を聴いて、浮かんだ言葉でして。この曲を聴いてみてください。


町田さん

Windmillの「Understand」という曲です。この曲を生で聴いているときに「F-Pop」という言葉が浮かんできたんです。
>>Windmill twitter  >>Windmill 公式サイト



大塚

美しいメロディで、自然に体に染み込んでいくようないい曲ですね。たしかに、「F-Pop」という言葉もしっくりきます。こんなにいい曲を歌う、全然知らないミュージシャンがたくさんいらっしゃるんですね……。

■成功者だけが「アーティスト」じゃない


キャバーンビートFacebookページより

大塚

福岡のインディーズシーンの注目度って、あまり高くないような気がするんですが……。


町田さん

そうですね……。なんとか知ってもらいたいと、YouTubeでの生配信を続けているので、ぜひ見てほしいですね。

「世界に広げよう F-POPの輪 歌っていいとも!」を配信中

アーティストは、プロデビューした有名人だけではありません。才能があるけど、デビューには至っていない、若いアーティストがたくさんいます。



大塚

なるほど……。あまり考えたことがなかった。応援したいですね。今は新しいアーティストと出会うと、追いやすいからいいですよね。SNSもあるし。昔はライブでアーティストを知っても、カセットやCDを買って帰るしかなかったから。


町田さん

そうです。応援しやすいはずなんですけどね。福岡の方にもっと知ってほしいですし、注目してほしいです。



大塚 

「えっ、こんなにいいのに、フォロワーたったこれだけ」みたいな方がたくさんいらっしゃるわけですよね。熱烈なファンになっちゃうようなアーティストと出会えるかも。


町田さん

キャバーンビートで演奏して、藤原さくらさんのように、メジャーに巣立った子もいます。若い人が音楽を思いっきり志せる環境をつくってあげなきゃいけないと思うんです。



大塚

えっ、藤原さくらさんって、キャバーンビートで演奏していたんですね!


 

お店には藤原さくらさんのサインも

町田さん

若い人たちを応援するのが、大人の役割だと思うんです。どんな業界でもそうだと思いますが、私は音楽をがんばる若い子達を支えるのが使命だと思っています。頑張っている子に成功して欲しいんです。



大塚

たしかに……。ぼくも売れてる人しか見てないもんな……。今、キャバーンビートで演奏しているアーティストは、コロナ禍でも諦めずにもがいている人たちってことですもんね。


町田さん

はい、どうか今こそ応援してください。一ライブハウスですが、私も「子どもたちが夢を持って頑張れる社会にしないといけない」と思って頑張っています。今後も、その使命を果たせるライブハウスであり続けたいですね。



大塚

これからのF-Popシーンが楽しみになりました。ぼくも応援したいと思います!まずはYouTubeの生配信を拝見します!本日はありがとうございました。

■キャバーンビートに福岡の若い才能を見つけに行こう

キャバーンビートの町田さん、アツいっ!!
 
ぼくはビートルズに「生き方」レベルで影響を受けて、自分の人生を豊かにしている人が大好きなんですが、町田さんもまさにそのタイプ! ぼくもこれから、キャバーンビートの取り組みを応援したいと思います。
 
まずはキャバーンビートのYouTubeチャンネルにチャンネル登録をして、生配信を見てみましょう。生配信中はSuper Chatで応援もできます。
 
福岡はもともとライブハウス「照和」から、チューリップ、甲斐バンド、井上陽水、武田鉄矢、長淵剛などなどさまざまなアーティストを世に送り出した土地でもあります。「めんたいロック」のムーブメントなど、福岡は日本の音楽の最先端だったんです。
 
音楽はライブがやっぱり最高。音楽の力、ライブの力を信じたい。福岡が日本をリードするクールな街であってほしい。そう思いながら、ぼくもキャバーンビートでスターの原石を探したいと思います。
 
……よかったら、一緒にどうですか?

【キャバーンビート】
■住所:福岡市中央区清川1-12-2 東京屋ビルB1F
■営業時間:19:00〜01:00(イベント開催時は、イベント終了まで)
■定休日:月曜日(イベント開催時は除く)
■TEL:092-524-1962
https://www.cavern-beat.com/

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ライター・編集者
大塚たくま
福岡をこよなく愛する編集者。みんなが知っているようで深くは知らないことを徹底深堀して「実はここが面白い!」を見つけることを得意とする。グルメ・旅行の他、自身でスポンサーになるほどのアビスパ福岡サポーター。

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