「ウイスキーは、オンザロック」で口説け
冒頭から「ジャズやないんか〜いっ」という出だし、さらに「店名はロックやんけ」と思われたかもしれませんが、オンザロックスとは蒸留酒をロックで飲むスタイルのこと。端的にいうとウイスキーのお店、ということですね。ちなみにウイスキーなんて飲み方がよく分かんない、という飲酒道入門者のために注釈をつけておくと、背伸びしないとお店も自分も見失ってしまいそうなバーに、これからちょっと口説いちゃおうかな、という女の子を連れて行ったときには、
「ウイスキーをロックで」
と注文するよりは、
「ウイスキーをオンザロックで」
と注文した方が、女の子の「オンザロック?わぁ、なにその頼み方、素敵」という反応とささやかなマウントを取る快感を得られることがあります。
ちなみに、この頼み方だと
「バーボンですか?スコッチですか?」
と2回戦が勃発すること間違いなし(3回戦、4回戦も想定されます)なのですが、そこは「マスターのおすすめで」と返しておきましょう。値段は気にしてはいけません。何せ、あなたはこれから意中の人を口説き始めるのですから。高嶺の花に高値のスピリッツを添えて、朗らかに酔うもまた一興、と心得ましょう。
オーナーが供する、はじめてのウイスキー
氷なし角ハイボール
そんなウブでナイーヴで淳朴な皆さんに朗報です。ON THE ROCKSが、初めて来られたお客様にサーブしたい初めての一杯。それがグラスをキンキンに冷やして氷なしで作る角ハイボール。店内に約300本並ぶというウイスキーの品揃えからして、まさに通のウイスキー好きにはたまらないお店なのですが、このハイボールを看板メニューにすることで、
「ウイスキーは、ちょっと、、まだ、、、」
という人にも親しみやすいメニューデザインとなっています。それもそのはず、オーナーの矢田 正幸 氏はサントリーのグルメ事業開発部で、飲食店の開業・運営支援を長らく勤めてこられたキャリアを持つ方なのです。ぼくも、何を隠そうバーを経営しているのですが、ここまでの品揃えだと多種多様なウイスキーを、ストレートとチェーサーで加水しながら飲んでください、みたいな勧め方をしてしまいそうなところですが、お店に入って
「このお店に初めて来た人が、最初に飲むべき一杯をください」
と注文して、このハイボールが出てきたときには度肝を抜かれました。
フードメニューがない代わりに客席に置いてあるスナックはつまみ放題