スケボーパークで再開発!人気再燃中のボートレース福岡、その売上と入場者数は?

【 福岡の経済・ビジネス事情 】

スケボーパークで再開発!人気再燃中のボートレース福岡、その売上と入場者数は?

日本最大級の『スケートボートパーク』の整備計画でも注目を集めるボートレース福岡。昨今、公営ギャンブルであるボートレースへの人気が再燃して〝上げ潮〟状態となる中、ボートレース福岡はどのような状況にあるのでしょうか。今回、〝都市型〟ボートレース場であるボートレース福岡に注目してみました。

【公営競技】競馬4.4兆円、ボート2.4兆円、競輪1.2兆円…

【画像】フクオカ

引用『公営ギャンブル売上まとめ(2024)』

 

競馬全体の売上高は2023年比102%の44,055億円、ボートレースの売上高は2023年度比100%の2兆4,220億円、競輪は同109%の11,892億円、オートレースは同101%の1,091億円(出所『公営ギャンブル売上まとめ(2024)) ……。
地方自治体が主催する競馬・ボートレース・競輪・オートレースを総称して『公営競技』、いわゆる公営ギャンブルと呼ばれている。

 

 

戦前から開催されていた競馬は終戦後の1946年に復活すると、地方自治体における戦後復興を図る財源の一つとして注目された。
そして、1948年に競輪、1950年にオートレース、1951年にボートレースが認められた。
競輪とボートレースは、日本発祥だ。
前者は北九州発祥であり、後者は長崎県大村市で初レースが開催された。
オートレースは日本独自の公営ギャンブルとして千葉県船橋市で初開催されている。

ボートレースの売上高は1991年の22,138億円を記録後、パブル崩壊と共に右肩下がりとなり、2010年には全盛期の1/3となる8,434億円まで落ち込んだ。
その後、2010年を底に2013年以降、11年連続で売上高を伸ばし続け、2021年には30年振りに過去最高記録を塗り替えた。
その後も3年連続で過去最高を更新している。

【画像】フクリパ

引用:日本財団『ボートレース売上の推移』

 

ボートレースが11年連続で売り上げを伸ばしている背景

イメージアップを図り積極的にPRを展開


PR戦略として、テレビコマーシャルでは、競艇という単語を使わず、『ボートレース』という用語を強調し旬の俳優やタレントらを起用している。
また、実在のイケメン選手や美人選手の存在もアピールし、売上高にも貢献する。
今まで抱かれていた<中年のおじさんのギャンブル>というイメージ払試に努めている。

 

 

ボートレース場の相次ぐリニューアル


各ボートレース場は、大幅なニューアルを進めており、施設面でもきれいな印象を受ける
ボートレース場のイメージも変わり、若いカップルのデートスポットや休日の家族連れのお出かけ先になっているそうだ。
競技場の枠を超えた施設になり、結果的に参画者の増加や売上増にも貢献している。

 

 

インターネット投票で舟券を購入できるようになった


インターネットの普及に伴って現在、『テレボート』というサイトで舟券が購入できるようになっている。
インターネットを介して、いつでも・どこでも、そして全国のボートレース場の舟券を購入できる。
気軽に舟券が買えるようになったことで参画者を大幅に増やすきっかけになっている。

 

 

他の参画者がボートレースに流入してきた


ボートレースは6艇で順位を争うため、予想が立てやすい競技である。
一方、パチンコ・パチスロに対する規制が年々厳しくなっていく中、ボートレースや競馬など他の公営ギャンブルへ参画者が流入している面も見逃せない。

 

 

都市型ボートレース場・福岡の入場者数は全国第5位の38万人

全国のボートレース場別の入場者数

出所:福岡市経済観光文化局ボートレース事業部資料

 

【全国のボートレース場別入場者数】
1位:戸田(埼玉県戸田市)60.4万人、第2位:住之江(大阪市)41.6万人、第3位:浜名湖(静岡県湖西市)41.5万人、第4位:尼崎(兵庫県尼崎市)39.5万人、第5位:福岡(福岡市)38.0万人……。
福岡市経済観光文化局ボートレース事業部の資料によると2023年度の入場者数(都市圏開催含む)でボートレース福岡は、全国24場中で第5位だった。
一方、ボートレース場の販売形態のうち、本場売上に関しては、第1位:戸田110.9億円、第2位:住之江93.2億円に次ぐ第3位が福岡の77.3億円だった。

 

1953年(昭和28)926日に初開催されたボートレース福岡は、福岡市の都心である天神地区から徒歩10分と近く〝都市型〟ボートレース場の代表格だ。
主催者は2施行者あり、福岡市がレースを主催する日と福岡都市圏広域行政事業組合がレースを主催する日とがある。
同組合は福岡市、筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、古賀市、宇美町、篠栗町、志免町、須恵町、新宮町、久山町、粕屋町、宗像市、福津市、糸島市の107町で構成されている。
(ボートレース事業は、福岡市を除く97町で主催)

 

 

一方、ボートレース福岡の売上高(都市圏開催除く)を見てみると、1993年度(平成5)に過去最高となる1,136億円を記録した。
その後は、減少傾向を繰り返して2010年度に253億円まで落ち込んだ。
2010年度を底に回復傾向に転じ、2023年度は706億円まで戻って来ている。

 

 

全国に24場あるボートレース場は、レース開催の時間帯によって、早朝からのモーニング場、日中開催のデイ場、夕方からのナイター場に分かれる。
舟券の販売時間が10時半~16時半のボートレース福岡は、デイ場となる。
デイ場の場合、モーニング場やナイター場に比べて〝競合〟するボートレース場が多いこともあり、業績回復の〝行き足〟が遅いようだ。

 

ボートレース福岡売上・入場者数推移(都市圏除く)

引用:福岡市経済観光文化局ボートレース事業部『令和6年度事業概要』

 

 

ボートレースでの売上高はどのように割り振られるのか

【画像】フクリパ

出典:日本財団『活動資金:ボートレースの売上金の流れ2024年4月1日現在』(画像提供:日本財団)

 

競馬の還元率70%~80%、ボートレースの同75%、競輪の同75%、オートレースの同70……。
ボートレースの場合、全体の売り上げのうち、75パーセントは払戻金として舟券を買った人に支払われる。
残り25パーセントが、ボートレース側の取り分だ。

ボートレース側の取り分 25 パーセントのうちから日本財団への交付金が約3.1 パーセント、日本モーターボート競走会への交付金が約1.3 パーセント、地方公共団体金融機構への納付金が約0.3 パーセント差し引かれる。

残り約20パーセントのうち、ボートレースの開催経費として、選手への賞金をはじめ管理費や人件費、施設費などに使われ、残金はボートレースを主催する地方自治体に入る仕組みだ。
地方自治体の会計予算に組み込まれて、小・中学校や体育館、美術館、公営住宅、病院などの公共施設の建設に使われている。(2024年41日時点)

 

福岡市経済観光文化局ボートレース事業部『令和6年度事業概要』によると、2023年度の一般会計への繰出金は40億円であり、2024年度も同様に40億円を見込んでいる。
福岡市の一般会計に繰り込まれた繰出金は、福岡市の文教施設や道路橋りょうの整備事業、河川水路の改良事業などに活用されている。
なお、2024年度も繰出金40億円を達成した場合、1953年に開場したボートレース福岡の一般会計への繰出金累計額は3,000億円を突破する見込みだ。

 

 

ボートレース福岡のパーク化事業として国内最大級の屋内スケートボード場

【画像】フクリパ

画像提供:福岡市

 

「福岡市の都心部に、国内最大級の屋内型スケートボード場が完成いたします」━━。
福岡市の高島宗一郎市長は202517日、定例会見の場において『ボートレース福岡パーク化事業』でのスケートボード場の建設を明らかにした。
ボートレース福岡のパーク化事業では、魅力創出事業としてイベント広場と共に国際規格に対応した屋内型スケートボード場を建設していく。
一方、にぎわい事業として飲食店やスポーツ関連店舗などを設置する予定だ。

 

ボートレース福岡のパーク化事業における優先交渉権者として、代表法人を大和リース株式会社福岡支社、構成法人に株式会社ムラサキスポーツ、パシフィックコンサルタンツ株式会社九州支社とするグループに決まった。
魅力創出事業の事業方式として、福岡市が事業者にイベント広場や屋内スケートボード場などの設計、施工、維持管理および運営を委ねる DBO 方式を採用する。
一方、にぎわい事業については、福岡市が事業用定期借地権を設定し、事業者が独立採算で整備・管理運営する定期借地権設定方式を採用していく。
完成は2026年10月予定
事業対象面積は約 9,100平方メートルで設計・建設費と供用開始後20年間の運営管理費は23億4,190万円となっている。

 

 

福岡市経済観光局ボートレース事業部の花田昌大経営企画課長は、ボートレース福岡のパーク化事業について、次のように説明する。

花田昌大経営企画課長

ボートレース福岡のパーク化事業では、『ボートレース場による地域貢献』をはじめ、『若年層やファミリー層の来場のきっかけづくり』や『多くの市民が集うことによるにぎわいの創出』、そして『大規模大会が開催可能な高水準のスケートボード施設の整備』を基本方針に掲げています。

スケートボードについては、東京オリンピックでの活躍などを契機に若者の間で人気がさらに高まっています。
福岡市内には、大規模な大会が開催できるようなスケートボード施設が無い状況を踏まえ、大規模大会が開催可能な高水準のスケートボード施設を整備していきます

 

【画像】フクリパ

福岡市経済観光局ボートレース事業部の花田昌大・経営企画課長

 

 

【画像】フクリパ

画像提供:福岡市

 

 

ボートレース福岡は今後、新たな〝波〟に乗れるのか!?

全国に24場あるボートレース界全体は、3年連続で過去最高を更新するなど、〝波〟に乗っている状態だ。
その一方、スマートフォンの普及も相まってインターネット投票が主流となっている。
長年、ボートレース界が努めてきたイメージアップを〝追い風〟にしながら、各ボートレース場では、施設リニューアルやパーク化事業などに取り組み、ボートレース場同士の切磋琢磨も進んでいる。

ボートレース福岡におけるパーク化事業のメイン施設である、国内最大級のスケートボード場の建設は今後、スケート〝ボード〟とモーター〝ボート〟というボードつながりの中でどのような相乗効果を発揮していくのだろうか。
今後、ボートレース福岡のパーク化事業を静かに見守っていきたいと考える。

 

【 ボートレース福岡の概要 】

◎施行者/ 福岡市、福岡都市圏広域行政事業組合
◎設置年月日/ 1953813
◎総敷地面積/ 9497
◎水面面接/ 82,429
◎収容人員/ 2210(客席数3,088)
◎駐車場収容台数/ 2,156
◎販売窓口数/ 339(内キャッシュレス229
◎開催予定日数/ 192(福岡市主催レース168日、福岡都市圏広域行政事業組合レース24)
◎場間場外発売予定日数/ 本場225日、外向販売所(ペラボート福岡358)
◎ホームページ https://www.boatrace-fukuoka.com/

 

参照サイト

福岡市『ボートレース福岡パーク化事業 実施方針』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/121549/1/jisshihoshin.pdf?20240510143135

 

福岡市経済観光文化局ボートレース事業部『ボートレース福岡経営計画 令和3年度~令和7年度』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/keieikikaku/shisei/boatracefukuoka_keieikeikaku.html

https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/keieikikaku/shisei/documents/keieikeikakuR3-R7_boatracefukuoka.pdf

 

 

福岡市経済観光文化局ボートレース事業部『ボートレース福岡パーク化事業の基本計画()(令和6年2月)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/keieikikaku/shisei/documents/R6.2gikaihokoku.pdf

 

競艇サミット『競艇(ボートレース)の売り上げ推移と回復している理由について』
https://wsobv.com/boatrace/892#

 

 

Gamble GO『20240406日 公営ギャンブル売上まとめ(2024)』 
 https://gamblego.jp/market/4107/

 

日本財団『活動資金』
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/funding

 

日本財団『ボートレース売上の推移』
https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/60years_20220930_03.pdf

 

ボートレース福岡に魅力あふれるパークが誕生
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/mayor/interviews/documents/kaiken2_20250107_bortracefukuokaparkka.pdf

 

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https://fukuoka-leapup.jp/biz/202406.32537

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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