公示地価2024

【 福岡の経済・ビジネス事情 】

【公示地価2024】商業地・住宅地トップで福岡市は初の二冠。福岡県は全用途と商業地で都道府県トップ!

国土交通省は毎年3月下旬、土地取引の指標となる『公示地価』を発表しています。今回、発表された公示地価では福岡市、福岡県は共に好調な伸びを示していました。福岡市、福岡県における公示地価の動向をはじめ、地価が上昇した要因、さらに今後の見通しについてもまとめてみました。※福岡市二冠は都道府県庁所在地の中でのものとなります。

〝一物四価〟とも呼ばれる不動産価格

同一の土地であっても、目的や評価方法によって、不動産価値は異なってくる。
不動産価値のベースになっているのは、〝時価〟である。つまり、実社会において、いくらで取引されているかが、一つの判断基準になるのだ。

 

 

時価に基づいて、公示地価、基準地価、相続税評価額、固定資産税評価額が決められており、時として〝一物四価〟ともいわれることもある。
4つの不動産価格を整理すると、次のようになる。

公的評価指標

 

【公示地価】
毎年11日時点での土地の標準価格を国土交通省が毎年3月下旬に公表する。公示地価は、土地の基本的な価格であり、土地取引の目安とされる。

 

【基準地価】
毎年71日時点での地価を各都道府県が9月下旬に公表する。基準地価の公表は公示地価の半年後であり、地価変動を補完する役割も担う。

 

 

◇   ◇   ◇   ◇

 

公示地価、基準地価に加えて、課税のための評価基準が、相続税路線価と固定資産税評価額だ。

【相続税路線価】
国税庁が実施して公示価格の8割。

 

【固定資産税評価額】
固定資産税を徴収する市町村(東京23区は東京都)が実施し、公示価格の7割をめどとする。

なお、相続税路線価、固定資産税路線価は、公示地価を基準にしており、地価の最上位基準は、公示地価である。

【福岡市】商業地は4年連続トップ、住宅地は50年目の初首位で二冠達成

国土交通省では、土地の取引価格の指標にするため、全国26,000地点(うち6地点は福島原発事故で調査休止)における毎年1月1日時点での1平方メートル当たりの正常な価格を公示している。
国土交通省は2024326日、同年11日時点における『公示地価』を発表した。

同発表によると、福岡市の商業地における平均上昇率は、47都道府県庁所在地で4年連続のトップだった。
さらに福岡市の住宅地における平均上昇率は、公示地価の全国的な調査を始めた1975年以降で初めて首位となり、初の二冠に輝いた。

 

 

福岡市の住宅地における上昇率第1位は、西鉄天神大牟田線の雑餉隈駅に近い『博多区麦野31724』の19.6%増であり、全国順位でも第7位となっている。
なお、福岡市の商業地における上昇率1位は、西鉄天神大牟田線に今春誕生した新駅『桜並木駅』に近い『博多区竹丘町2111』の21.6%増だった。

 

福岡市の住宅地・商業地変動率

福岡市における商業地(左)と住宅地(右)の地価推移 (出所:国土交通省『令和6年地価公示の概要 令和6年3月』

 

変動率上位順位表(全国)

出所:国土交通省『令和6年地価公示の概要 令和6年3月』

 

 

今回の地価公示調査をとりまとめた不動産鑑定士であり、一般財団法人日本不動産研究所九州支社の高田卓巳さんは、福岡市における2024年公示地価の動向について、次のような見解を示す。

高田卓巳さん

福岡市では、マンション用地の市場が極めて好調であり、結果的に市場全体をけん引していると言えます。
一方、福岡市のオフィス用地についても、坪あたり3万円の賃料を目指している物件は苦戦していますが、坪あたり2万円前後の賃料エリアの物件は、比較的好調であり、ちょうど良い価格帯という見方もでき、そのようなエリアの用地取引も依然として好調です。

また、コロナ禍が終息し商業施設向けやホテル向け用地の取引も活発になっています。福岡市の場合、良い場所は、すぐに買い手が付きやすいという状況です。

たしかに日銀によるマイナス金利政策の解除はあったものの、「もうしばらく緩和的金融環境が続く」という見通しに加えて、金利の先高観もあって、市場が極端に変化することはなさそうです。

 

 

福岡県】全用途は都道府県で第1位、商業地は4年連続の同第1位

福岡県では、住宅地や商業地、工業地など全ての用途を合わせた全体的な地価である全用途の平均上昇率は5.7%であり、47都道府県で第1位だった。
47都道府県の全用途上昇率は平均2.3%であり、福岡県は3.4ポイントも上回る結果だった。

 

 

福岡県における地価の平均上昇率を用途別に見ると、9年連続で上昇した商業地は、今回6.7%増であり、4年連続で47都道府県トップを達成した。
一方、10年連続で上昇を続ける福岡県の住宅地は、今回5.2%増となり、3年連続での同第2位だった。
また、福岡県の工業地は、8.1%増で同第4位となっている。

 

福岡県の商業地変動率

福岡県における商業地の地価推移 (出所:国土交通省『令和6年地価公示の概要 令和6年3月』)

 

福岡県の住宅地変動率

福岡県における住宅地の地価推移 (出所:国土交通省『令和6年地価公示の概要 令和6年3月』)

 

 

福岡県における2024年公示地価の動向について、高田さんは、次のような見解を述べる。

 

高田卓巳さん

福岡県は、地価の平均変動率のうち全用途で全国トップであり、県全体として広範囲で地価上昇が続いています。
今回、これまでと様子が変わってきている点としては、高くなった戸建住宅が売れなくなっている点が挙げられます。
建売物件は、在庫を増やす傾向がみられました。

一方、物流施設向け用地は好調です。
eコマースや物流の外部委託の市場拡大に加え、2024年問題もあり、建て替えや移転による効率化を図ろうとする動きがあります。
さらに折からのTSMCによる福岡県への影響もあって、工業用地は好調に地価を伸ばしています

 

 

なぜ、福岡市・福岡県の公示地価は続伸し続けているのか?

【福岡市】直近10年間における公示地価の推移
◎商業地「最高」公示地価1.99
2014592万円→20241180万円)
◎住宅地「平均」公示地価1.86
(同116,800217,200円)

 

 

【福岡県】直近10年間における公示地価の推移
◎商業地「平均」公示地価2.29
(同241,900552,800円)
◎住宅地「平均」公示地価1.59
(同6万6,200円→同10万5,400円)
◎工業地「平均」公示地価1.55
(同43,60067,400円)
◎全用途「平均」公示地価5.17
(同43,600225,600円)

 

 

福岡市、福岡県は共に直近10年間において、公示地価を大幅に伸ばしている。
「なぜ、福岡市、福岡県の公示地価は、大幅に伸びているのか?」
この謎について、高田さんは、次のように回答する。

 

高田卓巳さん

公示地価の上昇は、マンションの好調に支えられているといえるでしょう。
マンション販売が好調なため、マンション用地の熾烈な奪い合いが続いており、地価を押し上げています。

戸建住宅が不調となる一方、マンション販売が好調な理由としては、マンションの方が戸建住宅よりも相対的に駅近で、立地が良い場合が多く、値落ちしないと考えている人の多さが挙げられます。
また、マンションの場合、実需一辺倒の戸建住宅と異なり、実需だけでなく、富裕層による旺盛な投資需要にも支えられています。
事実、富裕層の購買意欲を刺激するような物件については、高くても飛ぶように売れているという状況です。

今後の福岡市・福岡県における地価の見通しについて考える

景気回復の動向、金融・金利政策の行方、都市開発の進展度合い、インバウンド経済の浸透度、関係人口の集積具合……。
今後、福岡市および福岡県において地価の動向については、さまざまな要因や要素、さらに、経済環境などが、複雑に絡んでくる。
こうした中、福岡市や福岡県における将来的な地価推移の見通しに関して、高田さんは、次のような見方を示している。

 

高田卓巳さん

高騰した土地価格と高止まりの建築費を転嫁し、さらに高額になったマンションに対する消費者行動の結果によって今後、物件の明暗が分かれるでしょう。

たしかに日銀は、マイナス金利政策の解除を決定したものの、今すぐ市場において大きな変化は無いものとみています。
その一方、不動産市場に流入する緩和マネーが今後、追加的な利上げなどによって絞られる場合もあり得ます。
このようなケースでは、消費者も事業者もより慎重な判断をしなければならなくなり、行き過ぎた過熱に対してブレーキが掛かってくる局面もあり得るのではないでしょうか。

◇   ◇   ◇   ◇

 

地価は、経済のバロメーターの一つであり、都市や地域の魅力や可能性などを計るモノサシにもなり得る。
そして、地価は、経済情勢や金融政策、人口集積、都市開発、交通利便性、産業集積、観光開発などの動向も含めた多様で多彩な要素と要因を織り成した結果ともいえる。
今後、福岡市ならびに福岡県が、ヒト、カネ、ビジネスを呼び込みながら、持続的な発展を図っていく上でも地価の動向からは目を離すことはできないと考える。

 

 

参照サイト

国土交通省『令和6年地価公示の概要 令和6年3月』
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf

 

国土交通省『説明資料50-7地方圏(1)地方四市』
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001730046.pdf

 

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編集者兼ライター
近藤 益弘
1966年、八女市生まれ。福大卒。地域経済誌『ふくおか経済』を経て、ビジネス情報誌『フォー・ネット』編集・発行のフォーネット社設立に参画。その後、ビジネス誌『東経ビジネス』、パブリック・アクセス誌『フォーラム福岡』の編集・制作に携わる。現在、『ふくおか人物図鑑』サイトを開設・運営する。

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