福岡発!ビジネスに特化した「都市型ワ―ケーション」の可能性

コロナ禍の新しい働き方、新しい旅のスタイルとして注目を集める「ワーケーション」。福岡市では、7月16日から福岡型ワーケーションの専用ポータルサイトW@F(ワフ)をオープン。「旅行商品1泊あたり5,000円助成」や「ビジネスマッチング」といった特色や福岡ならではのワーケーションの魅力をレポート、これからの可能性に迫ります。

※2021年7月19日取材の記事です。詳細につきましてはHPをご覧ください。

ワーケーションとは?

そもそもワーケーションとは何でしょう。

日本では国をあげて推進していて、2021年3月には観光庁が特設サイトをオープンしています。そのサイトによると「ワーケーション」とは「Workワーク (仕事)」と「Vacationバケーション (休暇)」を組み合わせた造語で、「旅行先等で仕事をしつつ余暇を楽しむ新しい働き方」を指します。
 

コロナ禍でテレワーク推進や働き方の見直しが促進されるようになり、俄然よく耳にするようになりました。しかし、海外では2000年代から、国内でも2015年に和歌山県、同県白浜町がワーケーション事業を開始。九州では、佐賀県・嬉野温泉が「温泉ワーケーション」で、企業誘致も行っています。
 
フクリパの読者の中には「えっ、昔からそのスタイルでやっていますけど」という方もいらっしゃるかもしれません。自分のPCを持って、オフィスでなくてもどこでも仕事はできる時代です。

今回は、福岡市の「ワーケーション」を例にとり、都市型ワ―ケーションの可能性を探ってみましょう。

新しいビジネスやアイデアの創出につながるワ―ケーション

福岡市と福岡観光コンベンションビューローは、7月16日に、福岡型ワーケーションの専用ポータルサイトW@F (ワフ)をスタートしました。「Work Hard ,Play More Hard. ~よく働き、よく遊ぼう~」をコンセプトとして、福岡市内におけるワーケーションの魅力を紹介しています。


https://workation-fukuoka.jp

福岡市の担当部署である経済文化観光局観光コンベンション部観光産業課の横山裕一係長に背景とポイントをお聞きしました。


横山さん

新型コロナウィルス感染症の影響が長期化し、旅行需要の低迷が続く中で、福岡市の宿泊者、来訪者の特徴を改めて分析していくうちに、今回のワーケーションを着想するに至りました。

福岡市の目指すワーケーションについて簡潔にまとめてみると次の3つになります。

(1) メインターゲットは企業の経営者や社員

新型コロナウィルスの感染流行前は、他都市と比べて、ビジネスの利用客がとても多かったのです。県ベースの数値ではありますが、大阪と並んで約3割の宿泊客が出張等によるビジネス利用。ビジネスの中心地でありコンベンションの開催も盛んな福岡市内においてはさらにその比率が高いものと推察されます。

また、別の調査では日帰りや一泊の利用者が、68.9%。もう一泊滞在を伸ばしてほしいところです。

コロナの影響を受けて、福岡市内の宿泊施設の年平均客室稼働率は、79.6% (令和元年)から34.8% (令和2年)と大幅に減少。旅行全体の需要がもとに戻る保証はどこにもなく、新たなニーズへのチャレンジが必要と考えました。そこで今回はビジネスをフックとした長期滞在を促進していきたいと考えています。

最近では、「ブレジャー (ビジネス+レジャー)」という考え方も根付いてます。Business(ビジネス)とLeisure(レジャー)を組み合わせた造語で、「出張等の機会を活用し、出張先等で滞在を延長するなどして余暇を楽しむこと」を指します。

ただ、現状においては、会社や企業自体が、出張に休暇をつけることを認めていないところもあります。

今回の福岡型ワーケーションでは、企業の経営者がそのメリットを理解し、ご自身や社員が利用することで、従業員のエンゲージメントが増加し、新しいビジネスやアイデアの創出につながることを体感いただけると思っています。もちろん個人で利用される方も大歓迎です。

(2) 新たなビジネス創出に繋がる都市型ならではの付加価値を提供

福岡市は都市機能と自然が近接したコンパクトシティですので、イノベーションにつながるビジネス環境と充実したバケーションを過ごせる自然環境の両方があります。コワーキングオフィスやテレワーク環境のある宿泊施設も多く、かつ中心部から多くの観光スポットまで30分程、豊かな自然を活かしたアウトドア体験も充実しています。

専用ポータルサイトW@F (ワフ)では、福岡市内で提供可能なワーク・バケーションについての豊富なコンテンツの紹介、ワーケーションに関連する様々なご相談への対応や実施に向けたサポート、ワーケーションの価値を高めるビジネスマッチング、ビジネスイベントの提供など、充実したワーケーションライフを過ごすための様々な情報を掲載しています。

ーー特に注目すべきビジネスポイントは次の3つ

① 地元企業とのビジネスマッチング

旅行商品 (ツアー)の利用者には、希望に応じ、ワーケーションコーディネーターがワーケーションを実施する企業と福岡の企業等とのビジネスマッチングの場を提供します。新たなビジネスの創出に繋がる大きな可能性を秘めた取組みであると考えております。

② ワーケーションコーディネーターによる相談対応

多様なワークスペース、会議室、いざワーケーションをしようとすると、どれがいいか悩まれると思います。そんなときに相談できるのがワーケーションコーディネーター。バケーションの観光の部分も含めて、目的や嗜好にあったコンテンツが見つけられると思います。

スタートアップ施設の福岡グローネクスト

③ チームビルディングにも最適

「大自然の中でのチームビルディング」というイメージが強いと思いますが、福岡は都心から30分以内でたくさんの自然を満喫できるスポットがあります。「福岡は自然の中にある」といっても過言ではありませんので、自分たちのグループ、企業にあうスポットを選択できると思います。ワーケーションコーディネーターに要望を出してくださいね。


福岡市のグランピング施設「唐泊ヴィレッジ」。自然の中でチームビルディングも可能

(3) 3泊以上の滞在に対し、1泊あたり5,000円を助成

ワーケーション旅行商品の販売も7月16日から順次開始されています。
※「緊急事態宣言」及び「まん延防止等重点措置」対象地域を除く
※福岡県コロナ感染の状況により、変更される場合があります。詳細はHPを確認ください

旅行商品は、ワーク要素とバケーション要素を組込んだ3泊4日以上のツアーで、1宿泊日あたり1人5,000円の助成や市内等の公共交通機関に1日乗り放題の交通周遊パスを1人あたり1枚提供するなどの特典もあります。
※旅行代理店販売のツアー利用の場合 ※助成は、団体利用は最大5人まで、1人上限10泊までで国や県等、他の支援事業との重複利用は不可

旅行会社11社が各自特設サイトをオープンして紹介しています。各社が工夫を凝らして福岡の『快適なワーク環境』と『心地よいライフスタイル』を体現してくれています。
 
福岡市の働きやすさや過ごしやすさを体感してもらうことで、長期滞在や再来訪等に繋げていきたいですね。

「福岡市」の特徴と魅力を活かした「都市型ワーケーション」。出張や旅の内容を精査する傾向がある中で、福岡市訪問の大きなモチベーションになるでしょう。

関東からも注目のビジネス特化 都市型ワ―ケーション

では、関東の方はどのようにみているのでしょう。

福岡における都市型ワーケーションの魅力について、ワーケーションコーディネーターを担当する株式会社ツーフィールドのスタッフさんに、東京からの視点で聞いてみました。

(株) ツーフィールドのスタッフさん

『移動で時間が潰されてしまう』ようなワーケーションは残念ですが、その点福岡市は、天神からおよそ20~30分圏にあらゆるものが集積しています。しかも海沿いの福岡市西区・今宿 (いまじゅく)や同市東区・志賀島 (しかのしま)のようなスポットも含め、レンタカーを借りずにほぼ全て公共交通機関でアクセスできる


福岡市内からほど近い「志賀島」

これによってワークもバケーションも、豊富な選択肢が利用者にあることが魅力ですよね。また、『美味しくてコストパフォーマンスがいい』グルメに加え、オープンマインドな“ひと”がとっても魅力的だと感じます。

これからは、ワーケーションでも「人に会いにいく」ことが旅の大きな動機になると思います。福岡の人のDNAなのか、豊かな暮らしをしているからか、余裕があって素敵な人が多く、おおらかで楽しい人が多いですよね。

自然と都市のバランスが絶妙の「コンパクトシティ感」は、やはり体験していただかないとわかりません。そして、福岡市民の人柄も感じていただいて嬉しい限りです。

福岡 都市型ワーケーションのおすすめモデルコースと今後の可能性

筆者の私が専門の観光分野でみていくと、実は「都市型ワーケーション」を標榜している地域はそう多くありません

今回の「福岡型ワーケーション」は「都市型」の代表例になるのではないかと考えています。

特に「ビジネスマッチング」は、地元の企業との化学反応、イノベーションが期待できる機会。3泊以上のツアーを利用される際には、ぜひマッチング希望を伝えていただきたい。そして、私たち福岡市民が感じている「快適な福岡ワーク&ライフ」を体感してもらいたいですね。

ーー1泊あたり5,000円の助成がある旅行商品はたくさんあるのですが、特に筆者の私、おすすめは次の2つ。

【1】福岡の中心部&郊外体験型グランピングどちらも楽しめる!都市型×自然型ワーケーション!(by 西鉄旅行)

仕事もバケーションも凝縮して楽しみたい、欲張りな人におすすめ。キャナルシティ博多にある「キャナルシティ福岡ワシントンホテル」に宿泊し、徒歩圏内のワークスペースでビジネス。

そして上記のグランピング施設「唐泊ヴィレッジ」で、プライベートビーチでの自然体験やさまざまなアクティビティを体験できるこのツアー。

滞在中には、今や福岡の観光を満喫できる「福岡オープントップバス」や西鉄電車で地元銘産食材の美味しい食事を楽しむ「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」を楽しめます。 
https://www.nishitetsutravel.jp/workation/fukuoka-city/b_course.shtml

【2】ビジネスマッチングを目的とするワーケーション(by トラベルウエスト)

福岡企業とのビジネスマッチング機会を提供してくれるし、企業相談や人材相談も可能!

モデルプランとしてFUKUOKA GROWTH NEXT内スタートアップカフェで起業相談&ビジネスマッチングや海辺のシェアオフィスSALT(ソルト)での交流など相談に応じてカスタマイズしてくれます。

中洲クルーズなどのバケーションも充実できますね。
https://travelwest.jp/t3/jps-fukuokaworkation01/

そして、私のおすすめは、福岡でワーケーションや出張の前後で、東・東南アジアへ出張を入れること。

今は見通せていませんが、福岡から各地域へは、東京から向かうより1時間ほど早くアクセスでき、直行便も多くあるので効率的。福岡の地元企業でも、アジアとつながっている企業も多いので、ビジネスマッチングなどここをハブにして展開していくこともできると思います。

あの星野リゾートが、商業施設「キャナルシティ博多」にある高級ホテル「グランドハイアット福岡」の経営権を2021年6月に入手しましたが、東アジア向けの拠点として福岡を考えていると言われています。「アジアとの近接性」も体感してみてください。

【取材を終えて】

取材の途中で、他エリアのワーケーション協議会のメンバーとの面談にご一緒させていただきました。お互いのエリアのビジネスパーソンで連携したり、連携事業を行うなどのお話もどんどん飛び出して。とてもおもしろい動きになりそうです。キャッチアップできたら、またレポートします。

「ワーケーション」や「旅」は人がつながっていくことで、関係人口が増え、ファンになり、移住・定住にもつながっていきます。まずは3泊4日からはじめてみませんか。

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編集者
帆足 千恵
福岡のタウン情報誌の編集者として1990年代から海外30カ国、60エリアを取材し、世界の旅行情報を発信。2001年より外国人旅行者向けの編集制作や企画、調査、マーケティング、プロモーションを行い、九州インバウンドのパイオニア的な存在。2020年4月 海外旅行情報サイトを公開予定。

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