福岡市の外食物価、食料雑貨物価は類似した9国際都市の中で最安
出典:福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025』(画像提供:福岡アジア都市研究所)
福岡市のシンクタンクである公益財団法人福岡アジア都市研究所(理事長・坂井猛九州大学大学院教授)は2025年5月21日、隔年発行の報告書『「第3極」の都市2025』を発表した。
『「第3極」の都市』とは、東京やニューヨークのような巨大都市ではなく、都市圏人口が400万人前後、住む人にとって暮らしやすいバランスのとれた都市と規定している。
福岡アジア都市研究所では、「都市の成長」や「生活の質」などの指標を基に、福岡と類似性を持つ国際都市(シアトル、バンクーバー、メルボルン、ミュンヘン、バルセロナ、ストックホルム、ヘルシンキ、釜山)を第3極の都市とし、隔年で国際比較を行っている。
今回の報告書によると、福岡の生活コストは、第3極の9国際都市において「外食」「食料雑貨類」の物価水準が最も安く、「家賃」の物価水準も2番目に安かった。
同報告書では、各都市の物価水準を米国・ニューヨークの価格を100とした数値で示している。
福岡の場合、外食価格水準30.9、食料雑貨類水準51.4、家賃水準11.9だった。
福岡アジア都市研究所の畠山尚久情報戦略室長は、物価水準にみる都市の生活コストについて、次のように分析する。
畠山尚久室長
距離的に近い釜山も似た水準になっています。
家賃や食費は、毎月の義務的支出の大きな割合を占めます。
義務的支出が低ければ、それだけ選択的支出の割合が大きくなり、生活にゆとりや豊かさを生み出すことにつながります。
出典:福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025』(画像提供:福岡アジア都市研究所)
福岡市の国際評価は「生活の質」が伸び、「都市の成長」で他都市に接近
出典:福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025』(画像提供:福岡アジア都市研究所)
シアトル、バンクーバー、メルボルン、ミュンヘン、バルセロナ、ストックホルム、ヘルシンキ、釜山、福岡――。
福岡アジア都市研究所では、これら9都市を「第3極」の都市として国際評価を実施している。
国際評価に際しては、生活・コミュニティ(6評価項目・10指標)、安全性・持続性(7評価項目・11指標)、リソース・生産力(9評価項目・13指標)、イノベーション・交流(7評価項目・17指標)の4テーマを設けている。
そして、各テーマに応じた29評価項目を設定し、9都市から取得可能性の高い51指標を採用した。
総合評価としては、9都市の中で最もスコアの高いバルセロナを基準に、バルセロナとの差を基に各都市を配置している。
さらに福岡アジア都市研究所は、2015年から2025年の10年間における福岡市のポジション変化も検証した。
「生活の質」においては他の都市と同水準を維持しつつ、「都市の成長」では他都市に近づいている。
畠山室長は、総合評価の結果について、次のような見解を示している。
畠山尚久室長
これらが他の都市の伸びを上回る勢いだったことで、スコア自体は高い数値ではないものの、その差が縮まった結果といえます。
出典:福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025』(画像提供:福岡アジア都市研究所)
参照サイト
福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025 – Global City Status』
https://urc.or.jp/report/databook/3rd-axis-2025/
福岡アジア都市研究所『「第3極」の都市2025』“Cities on the ‘Third Axis’2025”
https://urc.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/Third_Axis_2025_web.pdf