今回お縄になったのは、粋な古民家物件。
福岡県の東部、築上町にある350万円/7K/土地241㎡ のこちら。
まずは外観から。ご覧の通り、古い旅館とか料亭を思わせる雅(みやび)なつくりで、この見た目だけでテンションだだ上がりしてしまう。
目の前に大きなシュロの木があって全貌がつかみにくいんだけど、木々のあいだから見える2階の欄干とか味わいのある建具とか、ノスタルジーな要素が色濃くにじんでいてとても良き。
通りに面した塀は、なんとレンガ積み。
時代的に見れば、木の板塀で区切りそうなものだけど、なぜかここだけ洋風のしつらえ。右端にある一般的なブロック塀と比較しても分かるけど、今でもちょっとスタイリッシュに見えるし、当時としては超モダンな作りだったはず。こんなところにも当主の心意気を感じる。
続いて間取りを見てみよう。
古民家好きとしては、この間取りを見るだけでよだれが出そうになるんだけど、ひとつずつウフフPOINTを解説したい。
まずは玄関入ってすぐの「和室3帖」。
ここはおそらく待合室のような部屋で、客人にここで待ってもらい、そのあとお茶の準備をしつつ座敷にお通しする仕組みだったと思われる。
その証拠に階段が2つあって、ひとつは玄関からすぐのところにある客人用の階段。
もうひとつの階段は右奥の隠れた場所にあって、接待する家人が使う給仕専用の通路となっているのだ。
そして床の間は合計3つもあって、ここにもウフフとなってしまう。
この時代、和室すら不要論が出てるのに、7部屋も和室があってそのうち床の間が3つも付いている。打率は.428であっさりイチロー超えする始末だ。
床の間なんて生活に必要な機能ではなく、気持ちの余白みたいな存在だから、こちらの主人の粋な人となりが自ずから想像できる。
そして、もうひとつ注目したいのは妙に奥行きのある細長いつくり。
この謎を探るため上空から見てみたい。
黄色線が本物件なんだけど、周りにある家(青線)も細長くて何やら事情がありそうな雰囲気。その答えがこれ。
(▲築上町・中津街道保存活用計画書より転載)
そう、ここは江戸時代に中津街道の宿場町(椎田宿)として栄えた場所で、うなぎの寝床的な細長い家が多いエリアなのだ。
これは江戸時代にあった「間口税」と関係していて、昔は家の幅で税金が決まっていたから、みんな間口を狭くしてその分、奥に長い家を作るようになったんだとか。
ということでけっこう脱線してしまったけど、いちおう家の内部のことも紹介しておく。
▲玄関から上がってすぐの待合室。名士が訪れたであろう歴史を思うと感慨深い。
▲床の間付きの立派な和室。細かい細工の欄間もよき。
▲縁側に付け書院まで付いたメインのお座敷。うーん、ほれぼれ。
▲板間も味わい深い。
▲かつての台所。かまどを置いて復活させたい。
こんな風に、内部もかなり風情があって所有欲をそそる作り。
とはいえ前面道路はかなり細くて再建築ができないし、改修の際にも車が入れないので注意が必要かと。
あと、水まわりもかなり古いので手を入れたいところ。
ちなみに築上町には空き家改修の補助金があって、最大75万円の補助が受けられるので積極的に利用したい。
(補助金の詳細はこちら)
ということで、かつての宿場町にある粋な古民家が引き継げるチャンスです。しずしずと復活を待っている模様なので、当主の粋な思いを継いでくれる方ぜひ!
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福岡県築上町350万円/7K/土地241㎡
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