いずれ枯れてしまう花も心の中には生き続ける
2021年12月30日に福岡市で唯一の遊園地だった「かしいかえん・シルバニアガーデン」が多くの人に見守られながら閉園し、65年の歴史に幕を閉じました。チューリップで始まった「かしいかえん」。その「かしいかえん」の有終の美を飾るべく植えた1万本のアイスチューリップを咲かせることは、容易なことではありませんでした。
それだけに、様々な人々が沢山の思い出と共に「かしいかえん」に訪れ、大群のチューリップと閉園を見届けてくれたことを嬉しく思いました。
花はいずれ枯れてしまいますし、「かしいかえん」はその歴史に幕を下ろしてしまうけれど、訪れてくれたみなさんの心の中には永遠に生き続けると確信しました。
福岡にTHE CHURCHILL ARMSのような花と緑が根付いた場を作りたい
その様子を見た僕は、今年は福岡でもっと多くの花の企画に挑戦したい!と思いました。
イギリス・ロンドン中西部にTHE CHURCHILL ARMS (チャーチル・アームス)という僕が大好きなパブがあります。
そこは、外も内も壁も天井も、これでもかというくらい美しい花と緑で覆われていて、国内外から色んな人が訪れては、いろんな感想やポジティブな声を残しています。
イギリスでは夏の夜や週末ともなれば、店内から溢れ出た客が歩道で立ち飲みし、誰もがグラス片手にリラックスした様子でお酒を楽しんでいます。そしてたいていのパブはイギリスらしく花で飾られ、特に夏は華やかさを増します。
イギリスを戦勝国へと導いたウィンストン・チャーチル元首相の名を冠した THE CHURCHILL ARMS (チャーチル・アームス)。
公式ウェブ・サイトによると、1750年に建てられており、ロンドンに現存するパブの中でも最も古いもののひとつです。1800年代当時にチャーチルの祖父母が通っていたことから、第二次世界大戦後に現在の名前に改名されたそうです。
ここは花の盛りである夏場はもちろんのこと、冬になるとまた違った姿を見せてくれます。クリスマスの季節になると、花があった場所には約90ものクリスマス・ツリーが飾られ、モコモコとした緑の小山のような外観になります。
そしてツリーには11,500ものライトが点灯し、ロンドンのインスタグラマー達を虜にしています。
365日いつでも自然を楽しめる外観になっているわけです。実際にInstagramで 「THE CHURCHILL ARMS」と検索すると綺麗な写真や賑やかな動画がたくさん投稿されていました。
福岡でもそういうことにチャレンジできないだろうかと模索中です。
年間7000万本が廃棄になっている!?花の廃棄(ロスフラワー)問題
皆さんの生活に花と緑を根付かせたい、親近感を持ってほしいと思うのには理由があります。
実は、福岡県は花の出荷本数が全国で第3位なのです。
( 出典元:都道府県データランキング『花き4類計』)
ですので福岡県は、花できっともっと豊かになれます。
けれども、忘れてはいけないのは、植える花もあれば捨てられる花もあるということです。
短い役目を終えた花たちが、まだ美しく咲き誇っているにも関わらず捨てられてしまうことを、「ロスフラワー」と呼び、ひとつの課題となっています。日本国内で年間に廃棄される花は、出荷本数のおよそ30%程度だと言われています。
福岡県では、2009年時点で大体2億4920万本の花を出荷しているので、単純計算で7476万本くらいの花は廃棄されてしまっているということです。
計算してみると、なんだかとても大きな数字ですよね。どうしたら悲しい結末にあってしまう花たちを救えるでしょうか?
福岡では地産地消でロスフラワーを減らすことができる
このロスフラワー問題は日本に限って起こっていることではありません。
太平洋の向こう、アメリカでも大きな問題になっています。彼らは主にアメリカ国外から輸入しているため、うまく管理ができないと、輸送の過程の中で廃棄されてしまう花も決して少なくないようです。
それに加えて、必要以上に植えてしまった花たちの廃棄や、届けるまでの間に必要な水やガソリンの消費などなど…大きな国ならではの環境問題が山積みです。
その点、福岡は県内で花を作っています。
地産地消ができます。作った人の顔が見えるし、買った人の声が届くし、何よりも、美しく育った花々がそのまま福岡の美しい景色になるということです。
その上、互いの顔が見えることでどの季節にどんな花がどれくらい必要か分かるおかげで無闇に花を植えずに済むし、輸送にかかる燃料や二酸化炭素の排出量を減らすこともできるので、SDGsを叶えることにもつながります。
冠婚葬祭のブーケも分け合って、ロスフラワーを削減しませんか?
花が最も多く使われる場面は、葬儀や結婚といった冠婚葬祭です。
しかもそれらの大抵は豊かなブーケや大きな仏花―つまり、誰か一人が持って帰るのはとても難しいサイズ。
それなら、参加者ひとりひとり、皆さんに一輪ずつだけでも分け合うというのはどうでしょう?
持ち帰って家に飾り、その花を見ながらその場にいた人々と共有した時間や気持ちを分かち合ったのだと感じられたなら、それってとても素敵なことですよね。
これから3月、4月は卒業式や入学式、また入社や転勤など出会いと別れがあり、お祝いや感謝の意を込めてお花を飾ったり贈ったりなど、お花に触れる機会が多くなります。
花はその場を飾り華やかにするだけではなくて、想いをつなげることもできる という考えを一人でも多くの人に知ってもらいたいと思っています。
そして僕たちは消費するだけではなく環境のことを考え、期限切れした花を押し花やドライフラワーなど新しい形へと加工し、ロスを少しでも減らすことを真剣に考える必要があるではないでしょうか。