■福岡市独自の屋台新規参入制度とは?
原則一代限りで将来的にはなくなっていく予定だった屋台を福岡の文化として残すために福岡市が新たに公募して新規参入を求めるプロジェクトです。
過去に汚水の垂れ流しや歩道の占拠などルール化されていなかった屋台が問題化され“原則一代限り”となっていました。
屋台を残すために、市民、ジャーナリストや有識者、屋台組合で議論し、屋台営業に関するルールを守ることを前提として、平成25年に福岡市屋台基本条例が制定され、新規参入の道が開かれたのです。
そして3回目の屋台営業候補者公募が行われ、様々な審査を経て、2021年新たに5つの屋台が誕生しました。
>>屋台営業候補者公募の実施について
コロナ禍のオープンということもあり、特別な想いもあったようです。福岡市屋台担当者の森園さんにお話を伺いました。
福岡市 森園さん
新規屋台の方々とは申請手続きなどのサポートでやりとりをしていましたが、早くオープンしたいのにできない、もどかしいけれど、感染拡大防止のためには仕方がないといった複雑な心境であることがひしひしと伝わって来ていました。
なので、オープンして1人目のお客さんが入ったのを見たときは自分事のように嬉しかったです。
新しい5軒は、個性的で話しやすい営業者ばかりなので、この機会に是非訪れていただき、コロナ対策をしながらも屋台の醍醐味であるコミュニケーションを楽しんでいただきたいです。今なら”営業開始当初からの常連”になれますよ。
■福岡市の“屋台楽しみ方あるある”
2021年に生まれた新屋台紹介の前に、屋台初心者の為の屋台の楽しみ方をご紹介します。福岡の方はもちろん、福岡に観光や出張で来られた方、この機会に是非いきつけの屋台をつくって、屋台ライフを楽しんでくださいね!
(1) 屋台で隣あった人と仲良くなれる
福岡の観光といえば屋台。県外からくる観光客の皆さんや出張で福岡にきたサラリーマンなど福岡以外の人たちが訪れます。ですが決して地元の人たちがいないわけではありません。地元の人たちと県外の人たちが気軽に話し、一緒にお酒が飲める不思議な空間が屋台です。
まずは自分から「県外からきたんですよ」と大将に話しかけてみてください。聞き慣れないイントネーションであったり、福岡の人っぽくない人がいれば「どこからきたと?」と話しかけられると思います。
店舗と違い、屋台の大将を皆で囲む配置も一体感を生むようです。ただ、空気を読んで相手が乗り気でない時は、話し相手を大将に戻しましょう。大抵は大将が空気を読んで話し続けてもよいかよいパスを出してくれるはずです。
(2) 大将と仲良くなる
初めて屋台に行く際、通りすがりの屋台に入ってラーメンを食べる・・・といった人も多いはすです。ですが、屋台をより楽しむには滞在中に“いきつけの屋台”をつくることをおすすめします。
一番簡単な方法は、すでにいきつけの屋台がある友人や知人に連れていってもらうこと。そして次の日も顔を出してみること。ラーメン1杯もしくはおでんとビール1杯でもかまいません。自然と大将があなたの名前を覚えてくれます。
(3) 長居せずに、はしごしよう
お酒が入って楽しくなると頼んだ料理や飲み物がなくなっているのにおしゃべりに夢中になってしまうこともあります。ですが屋台は席数が決まっていますので自分が頼んだ料理や飲み物がなくなったら速やかにお会計を済ませて屋台を出ましょう。まだ話足りなければもう1軒!
屋台の醍醐味、ハシゴするのもおすすめです。屋台の中でも自分好みのラーメンを出すところをみつけておけば、〆に最適。また福岡に通いたくなるはずです。
(4) 注文前に料金表を確認しよう
はじめて入る屋台では、一度に大量に頼まず料理一品とビール1杯頼んで料金を聞いてみるのもおすすめです。事前に調べられる時は、SNS投稿されていたりブログで紹介されている屋台に行くのが安心かもしれません。
(5) トイレは大将に聞こう
福岡の屋台は、近くのコンビニや店舗のトイレを借りやすいように大将が話をしてくれている場合があります。屋台専用のトイレを作ってくれているガソリンスタンドなどがあったりしますので、公衆トイレがない場合は大将にトイレはどこに行けばよいか訪ねてみてください。
(6) 屋台が出現する時間を目撃できるかも!?
屋台は歩道に設置できる時間が決まっています。屋台文化に慣れていない県外の人たちは、前日の夜に自分たちが飲んだ場所が、昼間は跡形もなく片付けられていることにびっくりするようです。
屋台の準備ができるのは夕方17時からなので、17時ぐらいに屋台がある場所に行ってみてください。何もなかった場所に屋台が設置される様子を見ることができるかもしれません。
屋台の楽しみ方はまだまだありますが、ここからは今年新しくオープンした屋台5軒を紹介します。今回の新屋台の特徴は、福岡はもちろん九州各地(長崎・鹿児島)の郷土料理や中華料理、カリブ海料理などが揃っていること。是非、全制覇してお気に入りの屋台をみつけてくださいね!
■新規参入!ニューオープン屋台5選
<新規屋台MAP>
① ばらかもん
長崎県五島市出身の店主による趣向を凝らしたメニューや唯一無二の空間が売りの屋台。“ばらかもん”とは、元気なもの、元気な人という意味があり、屋台を訪れた人たちが元気に健康でいられたらいいなという思いがある。五島を知ってもらって、五島に住みたいと思ってもらえたら嬉しいそうです。
大将の帆本秀生さん
「おでん盛り」 5個(大根、卵、ちくわ、牛すし、こんにゃく) 650円。昆布とアゴダシをベースにしたダシに漬け込んだ美味しいおでん。
「手作り餃子」(5個) 450円、パリパリに仕上げた博多一口餃子。
「串盛り」5本 800円/10本 1800円。とり皮、豚バラ、砂肝、ぼんじり、ハツ、せせり…約10種あり。博多の焼き鳥が楽しめる。
「アゴだし豚骨ラーメン」750円。ここでしか食べられない珍しいアゴ出汁の豚骨ラーメン。9時間かけて煮込んだスープはあっさりで飲みやすく、全部飲み干せるんだとか。特注の少細ちぢれ麺がうまくスープに絡んでいます。
●その他のおすすめメニュー
・「牛すじ煮込み」550円
・「焼きチーズおにぎり」2ケ400円など
【ばらかもん】
■エリア: 天神西 (福岡銀行本店前) [MAP]
■営業時間など詳細はこちら
② 博多でかごっま屋台 酔っきー (よっきー)
博多で楽しめるかごっま(鹿児島)屋台。鹿児島の屋台村出身。屋台が観光で根付いているのは福岡だけなので、ここで屋台を勉強してもう一度鹿児島に屋台村を出すことが目標。この屋台で鹿児島を知った人たちが、鹿児島に遊び行ってくれると嬉しいとのこと。
大将の山之内頼文さん
「あご肉焼き」大: 980円/小: 780円。鹿児島県産 豚のこめかみ肉の焼肉。鹿児島県産の肉は全国的にも有名ですが、その中でもこめかみ部分の肉は特に美味しく「アゴ肉」と呼ばれています。
素材を生かす為に塩とコショウのみで味付けし、食感を生かす為に外はカリカリ、中をフワッと仕上げる焼き方にもコツがあるそう。ビールや焼酎に合う人気メニュー。
「じゅすけ」780円。鹿児島県産 豚ホルモン。「じゅすけ」とは昭和の時代に蒲生で流行したホルモン焼きのこと。
じゅすけさんというおじいさんが売り歩いていたなど諸説あるそうですが、酔っきーの前身である鹿児島のえびす亭で復活させた伝統料理。栄養とスタミナたっぷりのメニューです。
「桜島鶏からあげ」650円。大きめのムネ肉を、クミン (スパイス)を使って洋食の味付けをした唐揚げ。クミンのアクセントがお酒によく合います。
「さつま揚げ」450円 目の前で揚げてくれる熱々のさつま揚げは、ふわふわで焼酎によく合う!
「屋台焼酎」水割り・お湯割り・ソーダ割り300円、茶割350円。水割りとお湯割りは、鹿児島からわざわざ汲んで持ってきた“鹿児島の温泉水”を使っているので、飲み口がやわらかでほんのり甘く感じる焼酎です。
●その他おすすめメニュー
・「あご肉のからあげ」600円
・「揚出し豆腐」500円など
【博多でかごっま屋台 酔っきー (よっきー)】
■エリア: 天神西 (福岡銀行本店前) [MAP]
■営業時間など詳細はこちら
③ El Bajon(える ばほん)
Bajon(ばほん)とは、南米のスラングで「おなかすいた、ハラペコ!」という意味。旅好きで南米に住んでいたこともある大将の大坪さんが、30カ国訪れた中で食べ物が美味しかった上位2つ、スペインとジャマイカの料理を出したい!とオープンした本物の多国籍料理が日本で食べられる屋台。
大将の大坪裕哉さん
「ジャークチキン/骨付きもも肉or骨なしもも肉」1,100円。ハーブ、スパイスの刺激的な辛さのコンビネーションから生まれるジャークチキンはライムをふんだんに使ったジャマイカの郷土料理。
ジャークチキン用のオリジナル焼台“ジャークパン”で焼き加減にもこだわって、日本のジャークチキンとは違う本場の味を再現しています。
「エビのアヒージョ」880円、「ふわふわ卵のアヒージョ」660円。簡単に、手軽にスペインの味が楽しめるメニュー。お酒のおつまみにも最適。エビの後に卵を落として「卵のアヒージョ」にすることもできる。
「季節やさいのグリル バーニャカウダソース」1,000円。旬の焼き野菜を使った日替わりメニュー。美味しい食材がみつかったり、ひらめいた料理があれば日替わりでその都度出しているので、日替わりメニューも要チェックです!
●その他おすすめメニュー
・「ジャークフィッシュ (サバ)」990円
・「マッシュルームのアヒージョ」770円など
【El Bajon (える ばほん)】
■エリア: 天神東 (日本銀行 福岡支店前) [MAP]
■営業時間など詳細はこちら
④ 焼売とせいろ蒸し屋台 蒸上(じょうじょう)
昔から地元の蒸し料理を身近に感じていた大分出身の大将が、屋台で蒸し物をやりたい!とはじめた創作蒸し料理と豊富なドリンクが自慢の屋台。一口サイズの焼売と、お洒落なノンアルコールもあるので女性の一人飲みにもオススメ。
大将の是久晃弘さん
目の前で蒸し上がる美味しい料理に、ワクワクドキドキ♪ このライブ感は屋台ならでは。
名物「柚子焼売」500円。ゆずとブラックペッパーを使った焼売。あっさりと食べられる焼売を食べてもらいたくて作った、女性をターゲットにしたオリジナルレシピのメニュー。焼売の上に明太子のせて蒸した「明太紫蘇焼売」550円もおすすめ。
「温野菜と豚肉のせいろ蒸し」700円。蒸すことで、お肉の旨味が倍増!おつまみとしても食事としても楽しめる。
「鮭とホタテのバター醤油蒸し飯」800円。海鮮とご飯にとろ~りバターが絡み合う絶品!福岡屋台の新しい〆は、蒸し飯で。
●その他おすすめメニュー
・「明太茶碗蒸し」300円
・「梅じゃこひじきの蒸し飯」600円など
【焼売とせいろ蒸し屋台 蒸上(じょうじょう)】
■エリア: 天神東 (日本銀行 福岡支店前) [MAP]
■営業時間など詳細こちら
⑤ あつまれ!ケンイチの森
1人で来ても色々頼めるお手頃サイズでリーズナブルなチビ皿中華の屋台。美味しい中華をちょこちょこ色んな種類が楽しめます。
大将の森健一さん
●おすすめメニュー
・「石焼チビ麻婆豆腐」
・「九州野菜のオイスター炒め」など
【あつまれ!ケンイチの森】
■エリア: 天神西 (福岡銀行本店前) [MAP]
■営業時間など詳細はこちら
■屋台文化が福岡の街と人をつなぐ
今回で3回目となる公募屋台は、一代限りでなくなる運命だった博多の屋台を、福岡市がきちんとルール化することによって観光資源として屋台文化を残し、街も人も屋台でつながることができる、福岡独自の制度です。
今年オープンした博多の新しい屋台を紹介しましたが、どこも個性豊かでオリジナルのメニューはどれも絶品!また、リーズナブルではしごするにはお財布にも嬉しい価格設定。
昔ながらの屋台に加え新しい屋台が増えて、福岡市内の人たちはもちろん出張や観光で福岡を訪れる人達にとっても、ますます博多の街が面白くなりそうです!
▼福岡屋台全体MAPダウンロード▼
市内の屋台軒数 103軒 (2021年10月1日現在 / 福岡市経済観光文化局調べ) ※下記地図は「本日営業している屋台」を示すものではございません。屋台はそれぞれの定休日の他、天候や店主の体調等により、営業しない場合もございます。ご了承ください。