連載を始めた当初から、難読バス停を話題にしたいと考えることはたびたびあれど、これまで形にできていませんでした。
考えすぎなのかも知れませんが、「難読」という単語を消化できていないところがありまして。
例えばこれ、何と読みますか?
1:大分坑
正解は「だいぶこう」なのですが、難読問題として提示する場合は、「おおいたじゃないんだ」と思ってもらう想定なんです。
けれども大分を「おおいた」って読むほうが、本当は難読な気がするのですよ。ただ日本に47しかない都道府県のひとつに採用されている名前なので、そちらが標準化しているだけで。
大分坑の近くには、JR九州篠栗線の「筑前大分(ちくぜんだいぶ)」駅がありますので、鉄道が好きな人にとっては、「だいぶ」と読むのも普通でしょうし。
話が大分(だいぶ)長くなってきましたが、、、、、この場合は、おおいたって読みませんよね。日本人の脳内漢字変換って、どうなっているのでしょう。
2:大谷口
ここは普通に「おおたにぐち」と読みます。
そもそも、大を「おお」と読むのであれば、大分の場合「おおわけ」とか「おおわかれ」のように、分のほうも自動詞や他動詞の名詞形とするのが「読み方」としては一般的傾向だと思います。しかしそんな地名は一般的に耳にしません。大分の「いた」って何なんですか。
3:大名
こちら「大名(おおな)」バス停です。
しかし大名は「だいみょう」と読みたいです。これまで生きてきて多数の文字に触れた「経験則」が、時として正解を導く邪魔をします。大きいを「おおきい」、名前を「なまえ」と読むことに抵抗はないのに、大名を「おおな」だと認めることは拒む私がいます。
むしろ小学1年生に、「大名」これなーんだと提示した方が、すなおに「おおなー!」って読んでくれそうな気がしています。大人になるというのはそういうことです(たぶん違う)。
あと、西鉄のバス停は星の数ほどあるとは言え、その数は有限ですので、数寄者の間で「難読」として話題にできるものには限りがあります。そうすると、一般的な知識の中では読み方が特殊であっても、マニアの間では「今さらそれを話題にする?」という扱いにもなりかねません。
さらには、バスナビやグーグルなど、ネット検索がこれだけ普及した今、ここで勿体ぶって読み方を隠したとて、すぐに正解は見つけられてしまうではないですか。
4:上八
上八は西鉄バスの公式によると「こうじょう」だそうです。
「かみ」が音便化?して「こう」になるのは他にも多数の例がありますし、八日を「ようか」と読むように、八の「や」が「よう」に訛るのも想定されるとすれば、あとは"koujou"または"koudyou"の"j"なり"d"なりの音がどこからやってきたかを考えればよいので、言われてみれば読めそうな気もします。読めませんけど。
5:井開
ということで、なかなか難読を話題とすることは、「いがい」に難しいのだ、というダジャレで2年目の連載を始めます。これも私の価値観では、「いかい」だと想定内なのですが、「いがい」と濁音化するのは意外です。
次回も難読について語らせてください。
基本情報
大分坑(だいぶこう)
※現在は廃止
大谷口(おおたにぐち)
・住所:〒821-0014 福岡県嘉麻市猪国 [map]
大名(おおな)
・住所:〒813-0001 福岡県福岡市東区唐原3丁目16[map]
上八(こうじょう)
・住所:〒811-3513 福岡県宗像市上八 [map]
井開(いがい)
・住所:〒814-0033 福岡県福岡市早良区有田7丁目19[map]
・天神からの行き方一例:
「天神三丁目(15:西向き) (大濠公園・西新方面)」から普通2-3番 西新 室住団地 橋本経由 野方ゆき に乗車。約39分、370円
🚌 合わせて読みたい
▼「原」と書いて「はる」と読む。こちらのバス停記事も合わせてどうぞ!
反対側のバス停が見つからない選手権第1位。「笹原(ささばる)」バス停
▼県民でも読めない?福岡の「地名」あるある
「雑餉隈」が読めない。県民でも読めない難読地名がある!福岡の「地名」あるある3選