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1バス停単位で福岡を切り取る「バス停から愛」

バス路線に歴史あり、しかし歴史がありすぎてややこしい「高美台一丁目」【福岡市東区】

一見なんてことないバス停とそのまわりも、視点を変えれば観光資源。そんな思いで福岡市のバス停を取り上げ、ご紹介する本企画。連載63回目は、福岡市東区にある「高美台一丁目(たかみだいいっちょうめ)」バス停をご紹介します。

 

まずは高美台一丁目に掲示されている、一枚の図を掲載します。

 

当方バスマニアは経緯と現状を把握した上でこの図を見るのですが、それでもなお何が書かれて/描かれているのかを理解するのは難しいです。皆さんはいかがですか。

 

この解説をする前に、ここ高美台一丁目路線の歴史を振り返ります。

 

 

 

高美台一丁目バス停の歴史

第1期

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まず第一期、和白方面から高美台一丁目まで23番の路線が開設されました。天神に向かいたい場合、上和白方面のバスに乗ります。

 

 

第2期

 

次に第二期、ここで230番ができます。

和白営業所や西鉄三苫駅からのバスが、高美台一丁目を経由して天神方面に向かうのですが、3号線バイパスから都市高速を通る経路を選択しました。

 

 

ここで高美台一丁目バス停は、上和白方面が23番の天神ゆき、平山方面が230番の天神ゆきと、どちらのバス停からも天神ゆきに乗れる状態になりました。ここで最初のややこしさが生じています。実際のところ、天神界隈に行きたいのであれば都市高速経由のほうが圧倒的に速いので、どちらで待つか迷うことは少ないかと思います。

 

以前ご紹介した、「平山」バス停ができたのはこの時です。

 

>>記事はこちら:福岡市内フリー乗車券で合法的に市外に出る。「平山」バス停【福岡県糟屋郡】

 

 

第3期

 

第三期、230番だけが経由していた大蔵(おおぞう)辺りの都市開発が進み、23番に大蔵発着便が生まれます

 

ここで23番は高美台一丁目発着との2系統になりますが、どちらも始発地を出たら上和白方面に向かって天神を目指すので、ここはあまり複雑化していません。大蔵→高美台四丁目→高美台三丁目の区間では、23番の天神ゆきも230番の天神ゆきも同じ向きのバス停で待てばよいのがお分かりいただけますでしょうか? 向かい側のバス停にも天神ゆきが来る高美台一丁目~二丁目間よりもシンプルです。

 

 

第4期

続いて第4期です。まずは、第3期の図をもう一度見返します。

 

 

もしもあなたの最寄り駅が、高美台一丁目バス停だった場合。天神のバス停で待っていて、「大蔵ゆき」の23番がきたとします。高美台一丁目には停まりません。

 

高美台一丁目と大蔵はさほど遠くないので、「たったバス停3つ分の距離なのだから、大蔵ゆきも高美台一丁目に寄ってくれればいいのに」の思うのではないかと。そういう願いが叶ったのか、両方の行先が統合され、現在はここを通る全ての23番が、「高美台一丁目経由大蔵ゆき」になりました。

 

※現在230番は番号のない急行系統に変わっています。

 

これが最初に乗せた写真の状態、現状です。

 

バスが停まらないことを意味するバツ印がいくつかあるのを見ると、「通過する全てのバス停に停車すればよいのに」とも思えますが、高美台二丁目~大神神社前~高美台一丁目の間は往復しますので、「片道で一度だけ停まればいいんじゃね?」という判断がなされたのは納得できます。

 

そこで道路のどちら側で停まるか検討された際、あくまでこれは、「都心~高美台一丁目」と「都心~大蔵」を合わせた運用である、という考え方で決められたようです。

 

 

大蔵を出発したら、まず大蔵~天神が停車していた高美台四丁目→高美台三丁目に停まります。ここまでは普通。

 

次のバス停は、道路の並びとしては高美台二丁目なのですが、ここから通過が始まります。あくまでも大蔵→天神と高美台一丁目→天神2路線の合併なので、次はもともとの始発地である高美台一丁目へ直行するのです。

 

 

 

特に変哲のない住宅地に向かい合ったバス停のようですが、

 

 

高美台一丁目、とても複雑な運用です。

 

もう少し続きます。

 

 

(フクリパ編集部より)もう何がなんだか、訳がわからなくなっている方も多いと思います。大丈夫です、編集部も、理解するのに必死です。最後のほうには緑がきれいなお山をバックに走るバスの写真がありますので、そちらを楽しみに、もうすこしお付き合いください。

 

 

 

2方向行きのバスが入り乱れる高美台一丁目

高美台一丁目系統と大蔵系統が統合され、通過バス停が設定され、さらには急行系統が逆方向に走ることで、何が起こるのか

 

 

こちら、急行の天神方面、すなわち平山の側に向かうバス停です。便宜上、高美台Aと呼びます。

 

 

和白のほうから来る23は高美台一丁目終点だったので乗車できず、都市高速経由の天神方面しか乗れませんでした。そこに大蔵ゆきが大量に増えています

 

高見台Aには大蔵方面の23番(緑)と、天神方面の230番(黒)が停車する

 

 

 

逆方向、和白経由の天神方面が乗れるバス停には、行先に「天神」の記載がありません。こちらを高美台Bとします。都心に向かうのであれば、反対側から急行に乗って都市高速を経由した方が早くて便利なのです。

 

高美台一丁目Bには、天神方面の23番(緑)と大蔵方面の230番(黒)が停車する

 

 

しかし時刻表としては終点を重視するので、天神は大きく表示されます。向かい合う両方のバス停から、天神行きが出発する状態です。

 

 

さらには、急行の新宮中央駅東方面も、経路は高美台三丁目/四丁目経由の大蔵ゆきと同じです。つまり、高美台一丁目から大蔵に向かう乗客も、どちらのバス停で待つか選択を迫られることになります。

 

 

なぜこういうことになるのかは、先述のとおり、香椎和白付近~高美台/大蔵の利用者を優先した結果です。高美台~大蔵の短区間は、利用実績も少ないのでしょう。複雑怪奇だと喜んでいるのは私を含めて数人のバス路線マニアだけで、地元の方は何も困っていないのかもしれません。

 

「天神に直行したいときはこっちのバス停A、香椎や和白に行くときはこっちB。大蔵に行くときにどちらのバス停か悩むって?大蔵方面に行くことないからねえ」というのが実態かと。

 

 

こうやって今日も、誰の役にも立たないことを、ひとり考えて楽しんでいます。

 

 

高美台一丁目経由大蔵ゆきは、高美台一丁目Aに停車したのち、

 

 

転回場に進入して方向転換し、

 

 

反対側の高美台一丁目バス停Bは通過して、大蔵に向かいます。

 

高美台一丁目が終点だった頃、バスに乗って転回場に入ることはできませんでしたが、大蔵方面に用事があるフリをして乗れば、今まで乗れなかった区間?も経験できます。ただの道端と空き地内だけやん、と思うか思わないか、一般人とマニアの境界線がそこにあります。

 

 

同じバス停Aに停車しながら、

 

 

天神ゆき急行はそのまま転回場に入らず直進してしまいます。

 

 

天神ゆきと大蔵ゆきの時間が近接している場面もあり、バスは遅れることもあるので、乗り間違いが起こらなければいいのだがなあ、と思います。

 

 

お気をつけて。

 

いちど現地に訪問して、このややこしさを体験してください

 

 

 

基本情報

バス停名:高美台一丁目(たかみだいいっちょうめ)

・住所:〒811-0215 福岡県福岡市東区高美台1丁目36[map]

・天神からの行き方:

「天神中央郵便局前(18:東向き) (18Aのりば)」から普通23番 名島 香椎 和白経由 大蔵・高美台ゆき に乗車。約52分、570円。

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バス路線探検家
沖浜貴彦
1972年生まれ・福岡在住。路線図に描かれた終点を想い、途中の狭い区間を苦心して走るバスに愛を注ぐ変態。ブログ「ほぼ西鉄バスの旅」を2008年に開設、日々愛を持ってバスを追いかけ続ける。毎月第二金曜・第四土曜日はバス趣味の現況を共有するサロン「バス路線探検家の会」を運営。

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