
代表プロフィール
菊地将和さん/広島県出身。福岡大学薬学部卒業後、大手調剤薬局に勤務したのち、在宅医療の支援に特化した薬局へ転職。薬局長やエリアマネージャーを経て、2019年に独立。薬剤師のマッチング事業や在宅医療支援のコンサルティングを手がけながら自身が理想とする薬局づくりを模索し、2026年5月に「アスエル薬局」を開設。
在宅医療との出会いが変えた薬剤師としての未来
——まずは開業までの経緯を教えてください。

私は新卒で大手の調剤薬局に入社したのですが、当時から「いつか自分で薬局を開業したい」という思いがありました。
それから薬局の将来について調べる中で、高齢化が進むこれからの社会では、患者さんの自宅を訪問して支える在宅医療に薬局が積極的に取り組むことが重要だと感じるようになったんです。
ただ、当時は在宅医療に取り組んでいる薬局はまだ少なく、大学在学中にもほとんど学ぶ機会がありませんでした。そこで、福岡でも特に在宅医療の支援に力を入れている薬局へ転職することに決めました。
——転職後、実際に働いてみていかがでしたか?
正直、仕事はかなりハードでしたね。通常の仕事をこなしながら、在宅医療支援の現場業務から介護施設への営業活動、薬局長やエリアマネージャーとしてのマネジメント業務まで担当しました。
さらに社内システムの開発や業務改善にも携わり、薬剤師という枠を超えてさまざまな経験をさせてもらいました。
ただ、約8年間勤務した中で、在宅医療支援のノウハウはもちろん組織づくりや人材育成、経営まで学べたことが今の自分の土台になっていると思います。
独立後に見えた、薬剤師業界が抱える課題
——その後、独立されたのでしょうか?

はい、2019年に独立しました。
ただ最初から自分の薬局を開くのではなく、まずはフリーランス薬剤師として活動を始めたんです。
すると以前からのつながりもあって、さまざまな薬局から「応援に来てほしい」と声をかけてもらうようになりました。
その中で見えてきたのが、薬局が抱える人手不足の問題でした。
小規模な薬局では、薬剤師が一人休むだけでも運営が難しくなることがあります。
しかし代わりの人材を確保する仕組みがなく、知人同士で助け合いながら何とか乗り切っているケースも少なくありませんでした。
——業界の課題がいろいろと見えてきたんですね。
そうなんです。加えて、薬剤師の勤務条件にも課題があると感じるようになりました。
給与が固定されているケースもあり、個々のスキルや努力が評価されにくい側面があります。特に、さまざまな店舗に応援に行けるようなスキルの高い薬剤師でも、それが報酬に反映されにくいんです。
そこで「薬局側の人手不足」と「薬剤師の新しい働き方」という2つを結びつけられないかと考えて立ち上げたのが、薬剤師のマッチングサービスです。
人材が必要な薬局と薬剤師をつなぎ、仕事に見合った報酬を受け取れる仕組みで、現在も運営を続けています。
薬剤師の在宅医療支援のノウハウを全国の薬局に展開
——薬剤師の仕組みを整えることに力を入れられているんですね。

さらにフリーランス事業を通じてさまざまな薬局と関わる中で、次に多かった相談が「在宅医療の支援を始めたいけれど、どうすればいいかわからない」というものでした。
薬剤師による在宅医療の支援は、ただ患者さんの家に薬を届ければいいわけではありません。
患者さんの受け入れ体制づくりや医療機関との連携、スタッフ教育など、さまざまな準備が必要になります。
そこでこれまで培った経験を活かして、在宅医療支援の立ち上げ支援や人材マネジメントのコンサルティングも行うようになりました。
現在は県外の薬局やドラッグストアなども含め、複数の企業をサポートしています。
「理想の薬局を作りたい」という想いを実現
——そこからどう、アスエル薬局の開業へつながったのでしょうか。

ホコリや細菌の混入を防ぎ、高度な無菌環境を維持しながら薬剤を調剤する「クリーンベンチ」を導入。点滴や医療用麻薬などの調剤に活用
コンサルティングを続ける中で、「自分ならこういう薬局を作りたい」という想いが少しずつ強くなっていきました。
そんな時に出会ったのが「OHASHI HILL」です。
当初はもっと小規模な形で開業することを考えていたのですが、ご縁があり、こちらで薬局を開くお話をいただきました。
大橋は自宅からも近く、普段から利用しているエリアでもあります。身近な地域に貢献できる場所で挑戦できることにも魅力を感じました。
——改めて、薬剤師の在宅医療支援とはどのような取り組みなのでしょうか。
病院への通院が難しい方のご自宅や施設を訪問し、お薬を届けたり、飲みやすいように管理したりするもので、患者さんが安心して薬物治療を行えるようにサポートします。
医師や看護師、介護士、ケアマネジャーなどさまざまな職種が連携しながら患者さんを支えており、薬剤師もその一員として関わっています。
実は、「薬剤師の在宅訪問を利用できることを知らなかった」という方がとても多いんです。
仕事を休んで高齢の親御さんの通院に付き添っている方もたくさんいらっしゃいますが、在宅訪問を活用することで、ご本人やご家族の負担を軽減できるケースも少なくありません。
当薬局ではそうした薬剤師の在宅訪問の利用相談にもお応えしており、必要に応じて医療機関やケアマネジャーをご紹介することも可能です。
また、末期がんの患者さんに向けたお薬など、高度な医療管理が必要なケースにも対応できる体制を整えており、在宅訪問への対応については幅広く受け入れています。
カフェのような空間とオリジナル商品で、親しみやすい薬局へ
——店内は一般的な薬局とは少し雰囲気が違いますね。

空間づくりには、「処方箋がないと入りづらい」という薬局のイメージを変えたいという思いが反映されています。
大橋駅前という立地ですし、平日は20時までオープンしているので仕事帰りに立ち寄る方も多いと思います。
だからこそ、気軽に入りやすいカフェのような雰囲気を目指しました。
実際に、天神や博多のクリニックを受診した方が処方箋をアプリやインターネットを通じて当薬局へ事前に送っておいて、帰宅途中に受け取るという利用も増えています。
また、若い薬剤師に働きたいと思ってもらえる職場づくりという意味もあります。在宅訪問を含む幅広い薬局の仕事を支えていくには、これからの世代の力が必要ですから。
——店頭では漢方茶も販売されていますが、こちらはどんな商品ですか?

漢方茶「天膳茶」は、「陽」、「爽」、「すっきりプラス」、「やすらぎプラス」、「きれいプラス」の5種
当薬局で取り扱っている漢方茶は、漢方認定を持つ薬剤師が開発したオリジナル商品です。5種類のラインナップがあり、それぞれ異なるコンセプトでブレンドされています。
漢方と聞くと苦いイメージを持たれる方も多いのですが、毎日続けられるように飲みやすさにこだわっています。
店頭では試飲もできますので、ぜひ気軽に試していただきたいですね。
「まずは相談してみよう」と思える場所でありたい
——最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

無料でおもちゃをゲットできる、お子さん向けのガチャガチャコーナー
薬局は、処方箋がないと利用できない場所ではありません。
「病院へ行くべきか迷っている」「自分の体質に合う市販薬を知りたい」「親の介護について相談したい」そんな内容を相談してもらえるだけでも大丈夫です。
私たちは薬だけをお渡しするのではなく、健康に関する身近な相談相手でありたいと思っています。
気軽に立ち寄っていただけるために、お子さんが楽しめるガチャガチャコーナーや、ドリンクバーも用意しているんですよ。
日常的に立ち寄っていただいて、地域の皆さんの毎日に少しでも安心を届けられる存在になれたら嬉しいですね。

店内の一角に設けられた、ドリンクバーと漢方茶の試飲スペース
「アスエル」という名前には、「明日」と「エール」という二つの言葉を並べて、明日に活力を届けたい、という願いが込められています。
薬を受け取るだけではなく、健康に不安を感じた時や、ちょっと相談したいときにも気軽に立ち寄れる場所へ。
働く世代から子育て世代、そしてシニア世代まで。アスエル薬局は、大橋で暮らす人々の日々にそっと寄り添う場所を目指しています。
店舗情報
住所:福岡市南区大橋1-3-3 OHASHI HILL1階
電話番号:092-403-3666
アクセス:西鉄天神大牟田線 大橋駅より徒歩2分
営業時間:9:00〜20:00(土曜は〜17:00)
定休日:木曜日、日曜日、祝日
Instagram:@asuyell_08








