喫茶&軽食ノワ

昭和46年開店。「喫茶&軽食ノワ」は平尾に現存する唯一の純喫茶【福岡市中央区】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡にある「昭和レトロを感じられる喫茶店」をご紹介していきたいと思います。

「喫茶&軽食ノワ」は西鉄平尾駅より徒歩5分の大通り沿い

 

今回ご紹介する「喫茶&軽食ノワ」の場所は福岡市中央区平尾。

筑肥新道の北側を並走するように走る県道555号線沿い「平尾2丁目交差点」のそばにあります。

道向かいにはサニー平尾店、並びには西日本シティ銀行があり、最寄駅の西鉄平尾駅からは徒歩5分ほどの距離です。

 

 

こちらがお店の外観。レンガ調のタイルと台形の窓枠、ブラウンを基調としたストライプのオーニングからもレトロ感が漂っています。

 

 

オーニングの片隅には「Food Beverrage Noix」の文字が。なんだかオシャレです。

 

 

目印にもなっている真っ赤なスタンド看板。さて、年季の入ったドアを開けて入店してみましょう。

 

 

たった6坪のスペースを有効活用したレトロな店内空間

 

入店してまず目に入るのが、L字形のカウンター席。
こちらには6人が着席できます。

背面に黒いレザーがリベット止めされたクラシカルかつ重厚な椅子が素敵すぎます。

 

 

まるでログハウスを思わせるようなクロス状に板を貼った壁面には、絵を描くことが好きだったご主人の作品が掲示されています。

 

 

ちょっと珍しい席を発見!窓側には併設した3つのソファーがあり、その間がサイドテーブルとなっているんです。

最近のオシャレカフェには良く見られるレイアウトですが、50年以上前からこのような席を採用しているとは、時代を先取りしてますねー!

 

 

店内を照らしているのは、金属製の骨組みで囲われたモダンなデザインのライト。現在ではこのような形状のライトはなかなか手に入らなさそうです。

 

 

「喫茶&軽食ノワ」の歴史

 

「喫茶&軽食ノワ」を営んでいるのは柿崎悦子さん(84歳)。元ホテルのバー部門に勤務していた旦那様の守さんとともに、1971年(昭和46年)に「喫茶&軽食ノワ」を開業されました。

 

店名はフランス語で「くるみ」を意味する「Noix(ノワ)」という言葉を旦那様の守さんが気に入って名付けたんだそうです。

 

開業当時の平尾界隈は西鉄平尾駅付近に様々なお店が立ち並び、喫茶店もたくさんあったそうですが、現在では当時から残る純喫茶はこの「ノワ」だけとなりました。

 

やがて開業51周年を迎えた2022年には旦那様の守さんが他界。

残された悦子さんは年齢のこともあり、一時お店を畳もうかと考えていたそうですが、長年通う常連さんたちの事を想い、1人で存続することを決意。以来、お一人でお店を切り盛りされています。

 

50年以上営業しているといろんな思い出話があるそうで、昔TNC(テレビ西日本)の社屋が高宮にあり、社員さんが常連として良く来店されていたそうです。

また、一部の常連さんの支払い方法は「ツケ払い(掛け払い)」になっており、ボーナスが入る年2回にまとめてツケを支払いに来ていたそうで、その間の入金がないので苦労したと笑っておられました。今の若い方は「ツケ払い」をご存知ない方もいるのではないでしょうか?

 

また、現在も来店される常連さんの中には、創業当初から通う90代のおじいちゃんもいらっしゃるとか!

 

ちなみに、お店の南側を走る筑肥新道はかつて博多駅から姪浜駅まで続く「旧筑肥線」の線路で、創業した1971年当時も電車が走っていたそうです。(やがて博多駅から姪浜駅までの旧筑肥線は福岡市地下鉄が開業した後、1983年に廃線となり、線路跡は整備されて筑肥新道になりました)

 

長きに渡り親しまれてきたランチとサイフォンコーヒー

 

それではメニューをご紹介していきましょう。

現在はお食事が中心のメニュー構成となっており、11:00〜14:00までのランチタイムには「日替わりランチ」がオーダーでき、他にも「ポークカツレツ」「カレーライス」「ピラフ」といった洋食から「サンドイッチ」「トースト」などの軽食まで揃っています。

 

 

こちらはドリンクメニュー。ブレンドコーヒーはなんと400円。その他のジュース類は500円均一。

かつて夜はスナックとして営業していた頃の名残で、スコッチウイスキーやカクテルといったアルコール類も用意されています。

 

 

今回オーダーしたのは「日替わりランチ(800円)」。この日はハンバーグでした。

ナプキンの上に並んだフォークとナイフが昔ながらの洋食屋さんを彷彿とさせてくれます。

 

 

しっかり手ごねしたハンバーグは肉汁も豊富でとってもジューシー!

店主曰く「若い人にはちょっとボリュームが少ないかも」とのことでしたが、あんまり量をがっつり食べない方や女性にはちょうどいいサイズ感だと思います。

 

 

ランチにはプラス200円でコーヒーも追加できます。サイフォンで抽出された一杯立てのコーヒーはすっきりとした味わいで、食後のアフターコーヒーにぴったり。

カップ&ソーサーもクラシカルで、レトロな空間と調和していました。

 

 

「喫茶&軽食ノワ」は店内喫煙OKです!

 

喫茶&軽食ノワは全席喫煙OK!

平尾界隈にはカフェが比較的点在していますが、喫煙可能店は実に少ないエリア。したがって多くの愛煙家の方が利用されています。

写真は昭和の喫茶店のマストアイテムのひとつ「オリジナルマッチ」。あと200個ほど在庫があるそうなので、伺った際にはぜひゲットしてくださいね!

 

 

長年通っていた常連さんも年々少なくなりましたが、今ではレトロ喫茶が人気なことや近隣に喫煙可能店が少ないこともあり、柿崎さんのお子さんやお孫さんにあたる世代の方の来店も増えてきているそうです。

そんな新しいお客さんから刺激を受けることが、お店を続ける原動力になっているのかもしれませんね。

 

 

喫茶&軽食ノワ

住所:福岡市中央区平尾2-19-19

電話番号:092-521-9552

営業時間:9:00~18:00

定休日:日曜日・祝日

喫煙:喫煙OK

 

 



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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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