コーヒーハウスタイム

1981年創業。母娘二代で営む「コーヒーハウス タイム」は新宮町に残る唯一の純喫茶【糟屋郡新宮町】

いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

コーヒーハウス タイムの場所は「福工大前駅」より徒歩わずか3分

 

今回ご紹介する「コーヒーハウス タイム」があるのは福岡県新宮町。

とは言え、一本道を隔てると福岡市東区という境界線ギリギリの場所に位置しています。

最寄り駅の「JR福工大前駅」からは徒歩でわずか3分とアクセスも良好。車でのアクセスなら店舗裏に2台分の駐車スペースも完備されているのでそちらをご利用ください。

 

 

古き良き喫茶店を思わせるレンガ調の外観。年季が入った真っ赤なオーニングテントも味があります。

 

 

ドア前のマット。個性的な店名のフォントと、サルバドール・ダリの代表作「記憶の固執」を連想させるようなグニャリと曲がった時計が印象的です。

ちなみに二つの時計が10時と20時を指しているのは、当時の営業時間だったことによるもの。

 

創業当時の40年前からほとんど変わらない店内空間

 

白壁と木製のインテリアでコーディネートされた店内は、創業当時の40年前からほとんど変わっていないんだそう。毎日丁寧に掃除されているので、美しく綺麗な状態が保たれています。

 

 

昔の喫茶店によく見られたベロア張りの椅子も美しくキープされています。

 

 

窓の布製スクリーンも創業当時のまま。経年劣化は感じますが、現役なのはさすがです。

 

 

アンティークなライトが垂れ下がる重厚なカウンター席。よく見るとカウンター裏の壁はアーチ型にくり抜かれたようになっていて、そこにカップやグラスを並べる棚が設置されていました。

このような独特の建築構造もレトロ喫茶店の魅力なのです。

 

 

カウンター席は珍しいS字の形状になっており、2枚の板をつなぎ合わせて作られているんだとか。ちょうど店主さんが手で指しているあたりにつなぎ目があります。

 

コーヒーハウス タイムの歴史

こちらがオープン当初の写真。以前テレビ取材を受けた時に作ってもらったこのフリップも大切に保管されていました。

 

コーヒーハウス タイムが産声をあげたのは1981年(昭和56年)。今年で42周年を迎えました。

 

創業したのは初代店主の高野夏枝さん。元々はご夫婦で喫茶店を営むべく当時あった「喫茶学校」に通い、コーヒーの淹れ方や喫茶店営業のイロハを学ばれました。

 

喫茶学校に通いながら開業地を探していたところ、喫茶学校の先生から福岡工業大学にほど近い現在の物件を紹介され、いたく気に入りそのままオープンされました。

 

ちなみに「タイム」という店名も、喫茶学校の先生が名付けてくれたそうです。

 

左が初代店主の高野夏枝さん、右が娘であり二代目店主の平川里香さん。現在も二人で仲良くお店を切り盛りされています。

 

幼き頃よりキッチンで腕を奮う母の姿を見て成長してきたのが娘の平川里香さん。母に似て料理好きになり、時折「タイム」のお店に立つことも。やがて本格的に料理の道に進むため、調理専門学校を経ていくつかの飲食チェーン店に勤務されていました。

 

しかし、お客さんと会話しながら楽しく料理を作ったり、コーヒーを淹れている母の姿に憧れて親子で「タイム」を営業していく道を選ばれました。

 

その後、28歳で結婚を機に一旦は県外に移住されましたが、母の大病をきっかけに31歳で帰福。以来親子二人三脚でお店を切り盛りされています。

 

歴代の福工大生御用達!ボリューム満点のメニュー構成

年季の入ったメニューブックを開けると、最初の1ページ目にオープン時のあいさつ文が貼られています。

 

福工大のお膝元でもあるこの一帯はかつて学生街としてとても賑わっていたそうで、常連の多くは福工大の学生たち。メニューの多くが「がっつり系の定食」がメインなのも当時の名残なのです。

 

 

人気は平日限定の日替わりランチ。メインの1品にご飯・味噌汁・サラダ・漬物が付いて税込800円。プラス200円でホットコーヒーもオプションできます。

 

他にもパスタやホットサンド、カレーにハンバーグなどバラエティに富んだ洋食メニューが楽しめます。

 

 

また、食事のみならず水出しコーヒーで作ったコーヒーゼリーや5種類のケーキといった喫茶メニューも充実。

 

 

コーヒーは創業当初からサイフォンで抽出。初代の夏枝さんが喫茶学校で教わった抽出方法を現在も頑なに守っておられます。

 

 

サイフォン式のコーヒーはその抽出過程を見るのも楽しみのひとつ。コーヒーをオーダーしたら、カウンター席に座って抽出の様子を眺めてみるのもおすすめです。

 

 

こちらがサイフォンで抽出された「タイムオリジナルブレンドコーヒー(税込450円)」。サイフォン特有の柔らかく、すっきりとした味わいが楽しめます。

 

 

コーヒーのお供にオーダーしたのは、人気メニューの「焼きナポリタン(税込900円)」。

見た目はシンプルながらも、その特長はチーズがトッピングされているという点。

 

 

とろけたチーズと、とことん煮込んで酸味を飛ばしたトマトソースのコンビネーションが絶妙なのです!ところどころ焦げ付いてパリパリになったチーズの部分がまた美味しいんです!

 

コーヒーハウス タイムは終日喫煙OK!

 

このレトロ喫茶シリーズで重要なポイントなのが「喫煙できるかどうか」。

喫煙者には世知辛い世の中ですが、コーヒーとタバコは切っても切れないもの。

ここ「タイム」は昔からの常連さんが多いということもあり、「終日喫煙OK」になっています。

店名が「タイム」なだけに、ガラスの灰皿が「掛け時計」な所もシャレてます!

 

 

新宮町にオープンして早40年以上。かつて新宮町には多くの喫茶店があったそうですが、現在も営業を続けているのは「タイム」だけになってしまいました。

創業当初は福工大生だった人たちも、今ではみんな60代。それでもわざわざ遠方から昔を懐かしんで来店されることもあるんだそうですよ。

 

 

最後に。二代目店主の里香さんには娘さんがいらっしゃるとのこと。ひょっとすると近い将来、親子三代でタイムを切り盛りしているシーンを見ることができるかもしれませんね。

 

 

コーヒーハウス タイム

住所:福岡県糟屋郡新宮町美咲2-6-3

営業時間:10:00〜19:00

電話番号:092-963-0896

定休日:不定休

Instagram:https://www.instagram.com/coffeehouse_time_singu/

 

 

 

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ライター
久原茂保
2001年より福岡発のカフェ情報サイト「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」を開設。以来、20年以上に渡り福岡県を中心に数多くのカフェを訪れ、日々取材活動に励んでいる。近年はカフェアドバイザー業やカフェのリブランディング、カフェプロモーションなどカフェ業界の知見とネットワークを活かしたオンリーワンな事業を展開中。グラフィックデザインやWEBデザイン、広告コンサルも。

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