安心安全な食材を使ったジェラート屋「ロイターマーケット」
糸島半島の西の方、芥屋エリアをドライブしていると目に飛び込んでくるシルバーのトレーラー。
「エアストリーム」というアメリカのキャンピングトレーラーなのですが…
正体は、糸島や九州の食材を中心に使った“イートローカル”なジェラートを販売しているジェラート屋さんなんです。
イートローカルとは?
イートローカル(EAT LOCAL)とは、直訳すると“その土地を食べる”。その土地で作られた食べ物をその土地で消費することをイートローカルといいます。つまり、地産地消のこと。
“いいものを食べよう”というイートグッドの考え方が広がりを見せる中、イートローカルはその基本の考え方ともいえそうです。
北古賀さんなりのイートローカルの解釈についてもうかがってみました。
北古賀さん
おいしいけれども、癖がなく、どこにでもある味ではイートローカルとはいえません。地元で採れたものを、新鮮なうちに、栄養があるうちに、食べる。それが当たり前になれば良いなと考えています。
季節のフルーツや野菜のジェラートが並ぶ
旬のフルーツや野菜を使ったフレーバーが、常に10種類程度並びます。
左:ミルク&いちご、右:塩&ピスタチオ
カップかコーンを選ぶことが可能。カップは、ロゴがプリントされたおしゃれなデザイン。カップからこぼれ落ちそうなほど豪快な盛り付けです。うれしいことにシングル(1種類)でもハーフ&ハーフ(2種類)でも値段は同じ470円。(一部プレミアムあり、+50円)
「1種類だったら“これは間違いない”という味しか選ばないじゃないですか。それでは少しさみしいな、と。2種類目はぜひ少し冒険した味にも挑戦してほしい、そんな思いから値段を一緒にしているんです」と北古賀さん。
そのことば通り、最初は恐る恐る食べる「塩」味ですが、現在では一二を争うほどの好評ぶりなのだとか。
そんなロイターマーケットのジェラートは、製法にもこだわりが。簡単にご紹介したいと思います。
【STEP①】材料の配合
口に入れた時の滑らかさやさっぱり感を存分に味わえるよう、素材と対話するようにしながら配合を調整。気温の変化で配合を調整し、ベストな状態を作り出しています。
【STEP②】フリージング
アイスクリームミックスを68度以上の温度で30分間加熱して殺菌します。また、この工程は原料に含まれる酵素の活動を抑える役目もあります。
これは、酵素の活性化から起こる油脂の臭いを防ぐためです。殺菌を終えると高速で撹拌しながら急速に冷却し凍結させます。そうすることでアイスクリーム特有の滑らかな食感になります。
【STEP③】急速冷凍
マイナス40度以下で冷却します。ジェラートの組織を劣化させないために、ここで水分の大部分を凍結させ水分の結晶の成長をとめ鮮度を保った滑らかさが出るようにしばし封じ込めます。
ここまできたら、「作りたてのジェラートです!」と販売してもいいのですが、じっと我慢。その後、1日以上冷凍庫で寝かせることで、味が落ち着き美味しさが増すのです。
工程を見ても手間を惜しまず丁寧に作られているのがわかります。
北古賀さん
そうして日々試行錯誤しながら、“糸島の味”を生み出しているんですね。
【ロイターマーケット(Loiter Market)】
住所:福岡県糸島市志摩芥屋94-3
営業時間: 平日/12:00〜17:00 土・日・祝日/11:00〜17:00
定休日:雷雨、強風時
HP:http://loiter-market.com/
Instagram:@loitermarket_kreis
ハイタイドの立ち上げメンバーから、ジェラート屋になるまで
福岡生まれの文具・雑貨メーカー・ハイタイドの立ち上げ時からのメンバーとして働いていた北古賀さん。今やハイタイドの代表作となったPENCOのクリップボードも北古賀さんが企画されたものだとか。
その後独立して糸島に拠点をうつし、文具企画をしていましたが、北古賀さんのお母様が末期癌に。物が食べられない状態でしたが、唯一口に含んでいいとされたのが氷だったのだという。
北古賀さん
さらに、その時ぼんやりと考えていた文房具の仕事からの引際。
北古賀さん
北古賀さん
だからこそぼくたちも最初の1年は苦労しましたが、亡くなった母のことを思い、いつかリハビリ施設や病院にも置いてもらえるような、体に優しいジェラートを作っていこうと決意したんです。
ロイターマーケット流の食材選び
北古賀さんが食材選びの際に大切にされていることをうかがってみました。
食材の産地について
最初はとにかく“糸島”という場所にこだわって食材を探していたという北古賀さん。しかし、実際探してみると、糸島で作られていない食材や、作っていたとしてもジェラートには向いていない品種だったりすることも。
だったら、糸島・福岡を大切にしながらも、“本当においしい”と感じた食材は取り入れていく方針にしたのだそう。
作り手の顔がしっかり見えること
糸島や近隣の生産者さんから仕入れる場合は、直接会話することを大切にされているのだそう。生産されている作物に対する思いや、生産方法をうかがい、納得がいくものだけを仕入れています。
また、国内では手配出来ない素材に関しては、どうしても輸入代理店メーカーのものを使用せざるを得ませんが、生産背景がしっかり把握でき安心して提供できるものしか使わないのだとか。
ジェラートとの相性がいいか
一口に“いちご”といっても、国内だけでも300種類以上の品種があります。そのほかの食材でも同じ。素材そのものがおいしくても、ジェラートに加工した時に本来の味わいが出せるかどうかが肝。
そんな時は、目星を付けた数種類の品種を試作して、本当に相性のいいものを仕入れるようにしているのだそうですよ。
現在ジェラートに使われている主な食材についてもうかがってみました。
【甘夏】糸島市のわかまつ農園(https://itoshima-olive.com/)
【塩】またいちの塩(https://mataichi.info/)
【トマト】糸島野菜おき農園(https://okifarm-itoshima.com/)
【抹茶】星野製茶園(https://www.hoshitea.com/)
【いちご】イシダファーム(https://ishidafarm.jp/)
【ミルク】阿蘇ミルク
ホテル仕様やジェラテリア仕様の機材を使うだけでも良いジェラートになりますが、糸島の味とはいえません。
皮に含んだ栄養素や畑で採れた青い香りや種の周りのぬめりまでも入れ込みたい。
そのために、果実の芯の部分も使ったり食材の繊維を残したり、その季節、その果実にあったベストな製法を心がけているのです。
スタッフTシャツに刻まれた「EAT LOCAL」の文字。そこからも、ロイターマーケットの静かな決意が感じられます。
ロイターマーケットの新たなジェラートの食べ方の提案
ロイターマーケットのオンラインでは、北古賀さんが企画した木のアイススプーン(1本1,200円)やワークエプロン(12,600円)などの雑貨が並んでいます。
ジェラートを、特別なデザートとしてではなく、暮らしの中に溶け込む食べ物のひとつとして捉えていることの現れ。だからこそ、日常の中でもっとジェラートを食べてほしいのだといいます。
意外と合う!?オススメの食べ方をご紹介します
オンラインでは、1回食べ切りサイズ(内容量 100ml/340円〜)とボトルに入った(内容量 500ml/2000円〜)サイズの2種類のジェラートが販売されています。
味がおいしいのはもちろん、見た目もおしゃれ。来客時のおもてなしや、家族みんなで食べたい時は大容量タイプがオススメですよ。
ロイターマーケットが提案している、ジェラートの意外な食べ方をご紹介します。
サラダに添えて
ポテトサラダならぬ、ジェラートサラダ。さっぱりとした味わいで、食中のお口直しにもぴったりです。お好みでオリーブオイルをかけるとより美味しくいただけますよ。
使用ジェラート:キウイ ソルベ
ヨーグルトの代用として
ジェラートはヨーグルトの代わりにもなるすぐれもの。朝にシャキッと目覚ましシャーベットは、いかがでしょうか。
使用ジェラート:ヨーグルト
クラッカーにのせて
クラッカーの塩味とジェラートの甘味と水分が絶妙にマッチ。急な来客時でも、さっと手軽におもてなし。
使用ジェラート:トマト、ヨーグルト、キウイ ソルベ、マンゴー ソルベ
オープンから10年を迎えた節目の2022年。6月にロイターマーケットは法人化し、社名を「亀六商店」としました。
北古賀さん
これからの展開も目が離せません。