福岡行くならこれ読んで!福岡来たならこれ食べて!

福岡を舞台にした小説グルメ!『君の膵臓をたべたい』『悪人』『完全黙秘』にこっそり潜む、リアルグルメ探訪記。

日常を離れて物語の世界に没入できるのが小説の魅力。しかもその小説の中で、自分たちの暮らしている街が舞台として登場したら、その没入感は何倍にもリアルになって楽しめるというものです。今回は、そんな“福岡の街”が舞台になった小説『君の膵臓をたべたい』『悪人』『完全黙秘』をピックアップ。さらにその中で描かれる“食べ物”に注目してみました。実は物語のキーとなるグルメが、福岡市内に実在するというエピソードも? 読んで食べれば、さらに小説の世界を深く楽しむことができるはず!

決死の博多旅行で食べた豚骨ラーメンは…あのお店?

まず紹介するのは、住野よるのデビュー作『君の膵臓をたべたい』。

膵臓の病気で余命いくばくもない女子高生・山内桜良と、ひょんなことからその秘密を知ってしまった主人公「僕」との交流を描いた青春恋愛小説です。
“キミスイ”の愛称で中高生からの支持も高く、実写・アニメ両方で映画化されたベストセラーでもあります。

病気という秘密を分け合いながら交流を深める二人ですが、ある日桜良の突飛な行動により、新幹線に乗って旅行をすることになります。
目的地に着いた桜良が、新幹線を降りて開口一番に語ったのが「うわぁ! ラーメンの匂いがする!」というセリフ。

そう、着いたのは博多駅だったのです。二人がそのまま駆け込んだのが、「地下街にあるラーメン屋さん」。
小説の中に具体的な店名の記載はないものの、「お店の外壁には有名なグルメ漫画でこのお店が取り上げられたらしきページのコピーが貼られていた」とあることからも『名代ラーメン亭』ではないかと言われています。
同店はかつて『クッキングパパ』にも登場しているため、その描写からも間違いなさそうです。麺の固さを「ハリガネ」とオーダーすることを知らなかったという「僕」のエピソードも、福岡の人間には微笑ましく映りますね。

 ちなみに『名代ラーメン亭』さんでは、店頭でこの作品の一節となっていることもしっかりアピール。
原作ファンの方にとっては“聖地巡礼”の場として楽しむことができるはず。
“これぞ博多ラーメン”な、シンプルで力強い豚骨スープをぜひお楽しみください(余談ですが、アニメ映画版でこのラーメン屋として描かれたのは、『博多 一幸舎』さんでした)。

***

【名代ラーメン亭 博多駅地下街店】
住所:福岡市博多区博多駅中央街1-1 博多駅地下街
TEL:092-441-6626

君の膵臓をたべたい

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“悪人”を生む引き金となったのは、あの鉄鍋餃子だった?

続いて紹介するのは、吉田修一によるサスペンス小説『悪人』。
妻夫木聡主演で映画にもなったので、ご存じの方も多いと思います。
土木作業員の清水祐一が、出会い系サイトで知り合った女性・佳乃を殺害してしまうものの、その後に出会った女性・光代と共に当てのない逃避行を続ける物語。

中洲、天神、東公園、久留米、三瀬峠など、実在の土地を描写しながら舞台は進行します。
逃避行の場面や、三瀬峠の不穏な描写などは、やはり馴染みのある福岡の人ならよりリアルに実感できるはず。単なるサスペンスではなく、人間の内面を深くえぐるドラマ性のある小説です。

 若干ネタバレを含むので、ここから先は気を付けて読み続けていただきたいのですが、事件の引き金となる大きなきっかけとなるのが、佳乃が事件前に「中洲で鉄鍋餃子」を食べたという事実。その後、佳乃は偶然ある人物と会うのですが、ニンニクの効いた餃子を食べていたことが悲劇につながります。

 物語の重要なポイントとなるこの餃子店のモデルが、中洲にある有名餃子専門店『鉄なべ』です。
この店が事件の引き金になったということは『鉄なべ』さんご自身も自覚があるようで(?)、お店に行くと本物の悪人はうちのギョーザなのかも…」という原作にちなんだポスターが貼られていました

ちなみにこの餃子、映画版にも登場しており、実際に撮影にも『鉄なべ』の社長さんが東京のロケ現場まで出向いて焼き上げた餃子が使われたとか。
原作の世界観を忠実に再現して大絶賛を浴びた映画版もチェックしてみると、より深く作品を楽しめると思います。

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【鉄なべ であい橋店】
住所:福岡市博多区中洲4-5-9
TEL:092-262-0488

警視庁公安部・青山望行きつけの「中洲の味噌汁屋」とは?

 福岡出身、元警察官という肩書を持つ濱嘉之による「警視庁公安部・青山望」
累計で100万部を超す人気シリーズとなった本作には、主人公・青山の行きつけの店として「中洲の人形小路の奥にある、『味噌汁屋』」が登場します。

勘の良い方はこの時点でお気付きかもしれません。
この店のモデルとなっているのが、中洲で40年近い歴史を持つ味噌汁専門店『味噌汁 田(でん)』です。
作中でも「1階はカウンターのみ8席」と綴られるように、『田』そのものを描写しています。

青山は、この店に一人で来ることもあれば、同僚を連れてきたり、「日本最大級の反社会的勢力でナンバースリーを務めていた」男とカウンターで肩を並べたりすることも。
小説のエピローグの場面で登場することが多いことからも、緊張の続く厳しい捜査を終えてホッと一息つきたいときに、旬の食材を使った肴と熱々の味噌汁を求めてこの店を訪れるようです。

作者の濱さんがこの店の常連ということで、店を切り盛りする田口隆洋さんによると、「年末にも来てくださったばかりですよ」と、今も定期的に訪れているとか。小説の中で青山が語る「味噌汁はここの〆ということで……ここの料理は何でも美味いですよ」という言葉は、そのまま濱さんが仲間に話している誘い文句なのかもしれません。

ちなみに「警視庁公安部・青山望」には、『田』以外にも須崎屋台『かじしか』など、福岡の人にはなじみのある店が作品に登場することがあります。
実際に原作ファンが福岡へ旅行に来た際に、これらの店を目的地として訪れる方も多いとか。カウンターのとなりに青山望の存在を感じながら、中洲の夜を楽しんでみるのも一興ですね。

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【味噌汁 田】
住所:福岡市博多区博多駅中洲4-1-19
TEL:092-291-3286

完全黙秘

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作品の登場人物になったかのような臨場感を。

ということで、いかがでしたでしょうか? 小説の中にひっそりと隠れている実在の福岡グルメ

普段利用している店であっても、フィクションの中に登場すると、まるで自分がその作品の登場人物になったような臨場感も味わえます。気になったらぜひ作品を読んで、実際にその店を訪ねてもらえると嬉しいです!

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ライター
前園 興
福岡在住。普段は会社員として働きつつ、時々コピーライターとしてさまざまなネタにいっちょかみ。趣味が高じて個人屋号「高校野球と共に生きる」を主宰し、高校野球に関する取材・執筆活動をライフワークとして行っている。

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