スラムダンクやNARUTOも福岡ネタ!?~実は福岡と縁のある国民的マンガ3選~

誰もが知る“国民的マンガ”と言って良いほどメジャーなマンガ作品の中に、実は福岡と浅からぬ縁があるとしたら? 今回はそんな3作品をピックアップしました。意外な接点を知ってしまうと、きっと誰かに話したくなるはず。

いきなり話が横に逸れますが、あなたがもし生粋の博多っ子なら、銘菓「ひよ子」を“東京土産”だと言って渡されたとき、思わず「ちょっと待った」コールをかけてしまうのが性というものではないでしょうか。福岡にルーツがあるのだとすれば、ましてやそれがあまり知られていないとなれば、声高に主張したくなるのが福岡人の気質というものです。今回は、そんな視点で“実は福岡と縁のある国民的マンガ”を3つピックアップしました。

『サザエさん』は、百道浜で生まれた。


©長谷川町子美術館


写真提供:福岡市

まずはご存じ『サザエさん』。日曜夕方のマスターピースですが、この作品が生まれた場所が福岡であること、ご存じでしょうか? 原作者である長谷川町子さんは、幼少期や戦中戦後を福岡で過ごします。昭和21年、福岡の地方新聞「夕刊フクニチ」にて「サザエさん」の連載をスタート。サザエ、カツオ、ワカメなどの海にちなんだ登場人物が出てくるアイデアは、百道浜を歩きながら思いついたことが原作の中で描かれています。ちなみにサザエさんがマスオさんとお見合いした場所が実は百貨店「岩田屋」の食堂である、なんていう意外なエピソードも。

2012年には、福岡市早良区に「サザエさん通り」が誕生。脇山口交差点からシーサイドももち海浜公園入口までの約1.6kmの通りで、その中ほどに位置する磯野広場には、「サザエさん発案の地記念碑」もあります。今年は長谷川町子さんの生誕100周年というメモリアルイヤー。作品のルーツにも触れることができるので、ぜひ散策してみてはいかがでしょうか。

★あわせて読みたい記事 サザエさんにまつわる妄想ネタ!
>>「豊臣秀吉がいなかったら国民的アニメ“サザエさん”は生まれていなかった!かも?」

『NARUTO』行きつけのラーメン屋は、福岡市東区に!

©岸本斉史 スコット/集英社

週刊少年ジャンプで連載され、日本のみならず世界にもファンの多い大人気忍者コミック『NARUTO』。主人公のうずまきナルトが、木ノ葉隠れの里一番の忍である“火影”を目指して仲間たちと共に数々の試練を乗り越え成長していく物語です。そんなナルトがことあるごとに訪れる憩いの場が、「ラーメン一楽」。コミック16巻では表紙にも登場するなど、ファンにはおなじみの場所でもあります。ナルトにとっては、子どもの頃から通う常連の店であり、里の住人たちに疎外されていた自分を受け入れてくれる大切な場所として描かれています。


こちらが名島本店。その他、松島店、箱崎店など、福岡市東区近郊に5店舗を展開中。

実はこの「一楽」のモデルとなった同名の店舗が福岡市東区に存在します。作者である岸本斉史先生は九州産業大学の出身で、当時大学近くの「一楽ラーメン」によく通っていたそうです。実際に通われていた九産大前店はすでに閉店していますが、同じ東区内に複数の店舗が現在も元気に営業中。西鉄貝塚駅から徒歩10分程にある名島本店を訪れると、ナルトの好物でもある味噌チャーシュー麺(900円)もちゃんとメニューにありました。

もやしとチャーシューで二郎系のごとく山盛りになった一杯、ナルトがハマるのも納得の美味。スタッフさんによると、連載が終了した今でも「NARUTO」ファンの人が全国各地や海外からも訪れるそうで、“聖地巡礼”的な隠れスポットとして秘かな人気が続いているようです。店内にはNARUTOのフィギュアも展示されていましたよ。


「NARUTO」のゲーム版を手掛ける福岡市のゲーム会社「サイバーコネクトツー」代表の松山洋さんによるサイン色紙も。

★「NARUTO」のゲーム版を手掛ける福岡のゲーム制作会社「サイバーコネクトツー」代表の松山洋氏のインタビュー記事もあわせてご覧ください!>>
『鬼滅の刃』のゲーム開発など、何故次々に話題作を手掛けることができるのか。福岡ゲーム制作会社のサイバーコネクトツー代表、松山洋氏インタビュー。

『スラムダンク』に見つける、意外な福岡との接点。


Ⓒ井上雄彦 I.T.Planning,Inc.

最後はみんな大好きな『スラムダンク』。舞台は神奈川県だし、福岡に接点なんてあったかいな?と思う方も多いかもしれませんが、ポイントは登場人物の名前です。「安西先生、バスケがしたいです」の名言でおなじみの天才シューター・三井寿(みついひさし)の名前の由来となったのが、何と福岡県大刀洗町の井上合名会社が手掛ける日本酒「三井の寿(みいのことぶき)」。これは作者の井上雄彦先生も、伊藤比呂美さんとの共著『漫画がはじまる』の中で自ら明かしています。ちなみに「三井の寿」のラベルデザイン裏面には、湘北高校のユニフォームを彷彿とさせる赤いラベルにミッチーと同じ背番号14がドーンと施されており、原作ファンなら迷わず欲しくなる一品。実際にはこの「14」はアルコール度数の数字ですが、井上先生公認の元、このようなデザインにしているそうです。


ミッチーラベルなのは「三井の寿 純米吟醸 大辛口」。日本酒には珍しいダブルA面ラベルです。

他にも、主人公・桜木花道の友人グループには、「高宮」「野間」「大楠」というキャラクターが登場しますが、いずれも福岡市南区にある地名から取られていると言われています。九州出身の井上先生ならではのエピソードという感じで、さらに親近感が湧きませんか?

あの「ひよ子」もきっと、福岡の「ひよ子」だと思う。

ということで、いかがでしたでしょうか。国民的マンガと福岡の意外な結びつき。ちょっとした雑学・トリビアとして、福岡自慢の小ネタに使ってもらえたら幸いです。最後に余談ですが、『スラムダンク』では、主人公・桜木花道が、高校に入学してすぐに一目ぼれした赤木晴子の兄(赤木剛憲)に挨拶をするために、銘菓「ひよ子」を差し出そうとする場面が登場します。くだんの福岡由来の名付けのエピソードを見るにつけ、きっと井上先生がここで描いたのは“福岡の銘菓”「ひよ子」であることは、想像に難くありません。そこのところを声高に主張して、この稿を〆させていただきたいと思います。

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ライター
前園 興
福岡在住。普段は会社員として働きつつ、時々コピーライターとしてさまざまなネタにいっちょかみ。趣味が高じて個人屋号「高校野球と共に生きる」を主宰し、高校野球に関する取材・執筆活動をライフワークとして行っている。

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