福岡市地下鉄の新型車両「4000系」が、「ローレル賞」を受賞
福岡市地下鉄が昨年11月に導入した新型車両「4000系」が、優れた車両を選ぶ今年の「ローレル賞」に選ばれました。
これまで福岡市交通局の車両では、昭和57年(1982年)に空港線1000系、平成18年(2006年)に七隈線3000系がローレル賞を受賞しており、3度目の受賞となります。
ローレル賞とは?
鉄道友の会HPより(https://www.jrc.gr.jp/award/bl)
ローレル賞は、日本の鉄道車両の進歩発展に寄与することを目的に、鉄道友の会が毎年1回、前年の1月1日から12月31日までの間に国内で営業運転を正式に開始した新造・改造車両を対象として、全国の鉄道愛好家たちでつくる「鉄道友の会」会員の投票に基づき選定している賞のこと。
ローレル賞は“優秀賞”と位置づけられ、その上の“最優秀賞”と呼ばれるものにブルーリボン賞があります。
2025年のブルーリボン賞には特急「やくも」用の新型車両として製造された、JR西日本の273系が選出されています。
鉄道友の会HPより(https://www.jrc.gr.jp/award/bl)
福岡市地下鉄の新型車両「4000系」とはどんな車両?
新型車両4000系(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
福岡市地下鉄の4000系は、2024年11月29日に運行を開始しました。
アルミ製の車体に、従来の車体(1000N系)からブルーのラインを継承。そして、「空の玄関口」福岡空港と希望の未来をイメージしたスカイブルーを新たに車体中央に採用。
前面からは切り落とした食パンのように見え、「青い食パン」とも呼ばれています。
4000系の設計コンセプトは「一人ひとりにやさしい移動空間」。
それを実現するための設計ポイントを、「質の高いサービス」、「静かさ」、「安全・安心の確保」、「省エネ・省メンテナンス」としています。
デザインについて
①大型の案内表示
3画面の案内表示器を設置し、2画面は路線図・次駅等の運行案内、もう1画面はニュース・広告用に。
大型の案内表示(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
②快適なシートレイアウト
7人掛けだった座席を6人掛けにしたことで、通勤車では国内最大の一人あたりの座席幅を480mmに設計。
開放的な車内(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
③ガラスを多用した開放的な車内
荷棚や仕切り戸などにガラスを使い、見通しが良く開放的な空間になっています。
子育て・バリアフリー設備について
①フリースペース
各車両に優先スペースを設け、6号車には子ども連れや大きな荷物を持った人が利用しやすいようにフリースペースが設けられています。
フリースペースは、2歳小児(平均身長85cm程度)が「ひとり立ち」で車窓を楽しめる大型の窓を設置しているほか、保護者、介助者が腰掛けられる座席2方向から座れる座席を配置。
6号車 フリースペース(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
フリースペースの大型窓(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
②優先スペース
各号車の端部には、床面、壁面のカラーを一般部と区別し、エリアの区分けを明確化した優先スペースが設けられています。
座面を通常座席より60mm高くし、仕切りとなる肘掛けを設けて、立ち座り動作の負担を軽減する座席を優先席の一部に導入。そのほか、ベビーカー・車いすのスペースに介助者が休憩できる腰掛が設置されています。
優先スペース(https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138)
このように、すべての人に対する優しさを詰め込んだつくりが、次世代の車両として筋金入りの鉄道ファンからも高い評価を得ました。
乗客の快適性に最大限配慮した設計が高く評価
4000系について詳しく解説しましたが、「一人ひとりにやさしい移動空間」というコンセプト通り、各号車に優先スペースを設けたり、6号車には子連れの方や大きな手荷物をお持ちの方が利用しやすいフリースペースを設置したり、利用する人に向けた「優しさ」が評価されました。
また、台車には、これまでの防音車輪に加えて新たに片軸操舵機構を採用することで非常に静かな車内空間を実現したほか、同期リラクタンスモータを世界で初めて本格導入。従来車と比べ40%の省エネ化が図られています。
これらをふまえ、シンプルな機能美の中に、新たなデザイン・最新の技術をバランスよく搭載し、乗客の快適性に最大限配慮した“次世代の地下鉄車両”としてローレル賞に選出されました。
市交通局によると、4000系は現在3編成を運用中で、2027年度までに計18編成を導入する予定なのだそう。どんな人にもやさしい車両が増えるのは喜ばしいことですね!
参考サイト
https://www.tetsudo.com/news/3548/
https://subway.city.fukuoka.lg.jp/topics/detail.php?id=2138