資金調達だけじゃない、クラウドファンディング

令和の「めんたいロック」が誕生!街をまるごと巻き込んだ地域活性化の取り組み

地域情報誌「NASSE (ナッセ)」でおなじみの株式会社サンマーク。これまで、フリーペーパーの発行やイベントの開催を通して、お店と読者を繋ぐ架け橋の役割を担ってきました。そんな同社が中心となり結成されたのが「博多ぐるめ応援隊」です。メーカーの垣根を越えた明太子弁当や、街を丸ごと巻き込んだまちおこしの取り組みが注目されています。

“地域貢献”を軸に事業を展開。株式会社サンマークとは?

1987年創業の株式会社サンマークは、1993年に熊本で地域情報誌「熊本Nasse (ナッセ)」を創刊し、その後、北九州や福岡でもフリーペーパーを創刊。

現在、地域情報誌「NASSE」を発行するほか、イベントの主催・運営も行っています。またコロナ禍を機に、飲食店向けデリバリー&テイクアウトサービス「ゴチ送」をスタート。さらに、今年2月には、人気飲食店のお弁当が購入できるお店として「ゴチデパ」を大丸福岡天神にオープンさせました。

さらにこの夏、「親不孝通り」を舞台に「めんたいロックフェア」を開催予定なんだとか。まちを巻き込んで大きなムーブメントを作りだそうとする取り組みについて、サンマーク代表取締役社長の阿多浩一(あた・こういち)さんに伺いました。

福岡の食を全国へ広げたい!「博多ぐるめ応援隊」を結成

時代のニーズに合わせてさまざまなコンテンツを生み出し、グルメ、ビューティー、学びのお店と読者をつなぐ役割になることで、地域を盛り上げてきたサンマーク。社長の阿多さんを中心に、昨秋、新たに誕生したのが「博多ぐるめ応援隊」です。

阿多さん

「博多ぐるめと愛をもっと全国へ」を旗印に、地元博多の飲食を盛り上げることを目的に誕生したのが「博多ぐるめ応援隊」です。「NASSE」の発行やイベントなどを通して、これまで多くの飲食店の皆さんにお世話になってきました。そんな皆さんが感染症の影響で辛い思いをしています。


株式会社サンマーク代表取締役社長の阿多浩一さん

そこで飲食店や生産者の皆さんのために、何か恩返しができないかと思ったことが「博多ぐるめ応援隊」結成のきっかけ。グルメのまちとして知られる博多の食文化や魅力を発信し、アピールしていけたらと考えています

人気メーカーが一堂に!夢の「博多めんたいロック弁当」が誕生

阿多さんを隊長に立ち上がった「博多ぐるめ応援隊」。そこで生まれたのが、「博多めんたいロック弁当」です。人気明太子メーカー「ふくや」「やまや」「福太郎」「かば田」の4社が、社の垣根を超えてひとつのお弁当箱におさまっています。これまでありそうでなかった、まさに夢のお弁当なのです。

阿多さん

「博多ぐるめ」となったときに、やっぱり一番に思い浮かぶのは「明太子」。福岡には数百の明太子メーカーがありますが、食べ比べとなると福岡に住んでいてもあまり機会はありません。せっかくならみんなが「食べたい」と思える味をそろえたいと、「NASSE」で読者アンケートを実施。来福した人におすすめする明太子、自分が購入する明太子のそれぞれを教えてもらって上位に名前が挙がったのが「ふくや」「やまや」「福太郎」「かば田」の4社だったんです

とはいえ、お互いにライバル関係。ひとつのお弁当箱に並べて詰めることを、納得してもらえるだろうかと思っていましたが、相談すると皆さん「おもしろい!」と快諾してくれました。現在は弊社が運営するECサイト「九州 NASSE MALL」で販売しています。

明太子のほか、使用する食材は福岡のうまかもんがずらり。博多華味鳥や糸島豚、おきゅうとなど、地元福岡の方はもちろん、県外の方への贈り物にも喜んでもらえそうなラインナップです。

九州 NASSE MALL

「めんたいロック」の聖地・親不孝通りを盛り上げたい!

すでにお気づきの方も多くいることと思いますが、「博多めんたいロック弁当」の名前は、かつてブームを巻き起こした「めんたいロック」から。「めんたいロック」は1970年代~80年代にかけて、福岡を中心に巻き起こったロック・ムーブメントで、多くの人気アーティストを生み出しました。

その「めんたいロック」の聖地といわれるのが、「親不孝通り」。阿多さんは、「博多めんたいロック弁当」をきっかけにして、この夏、「親不孝通り」を舞台に「めんたいロックフェア」を開催することを決めました。

阿多さん

めんたいロックがムーブメントになっていた1980年代、親不孝通りはとてもにぎやかな場所でした。たくさんのライブハウスがあって、若い人で盛り上がっていました。ちょうど、今の50・60代の方ですね。

とてもパワフルなまちで、音楽ファンだけでなく、写真やデザインなどが得意なクリエイターも集まっていて、カルチャーが生まれるまちだったんです。しかし、今では若者の姿が減り、昔からあるライブハウスや個人店も少なくなっています。これはコロナ禍より前からのこと。親不孝通り商店街に店を構えるオーナーさんから、「若い人が来てくれたら」という声を多く聞いていたんです。

そんな親不孝通りをもう一度盛り上げたいと考えたのが、「めんたいロックフェア」。音楽や写真、デザインなどを手掛ける若いクリエイターに「親不孝通り」がテーマの作品を作ってもらい、親不孝通りに出店するお店や長浜公園で展示発表するイベントです。

若い方は、情報収集力に長けています。「親不孝通り」に行ったことがないという人も、作品のモチーフにすることで、実際に現地を訪れるだけでなく、まちが歩んできた時代の変遷までを調べ、親不孝通りがどんな場所かを知ってもらえる機会になるんじゃないかと思うんです

同時にイベントに賛同いただいた飲食店では、「めんたいこお通し」のウエルカムメニューを用意する予定。まさにクリエイティブと食を同時に楽しむ企画です。まるで学園祭や文化祭のようなノリで過ごしてもらい、親不孝通りに訪れるきっかけを作りたいと考えています。

クラウドファンディングに挑戦!親不孝通りのお届け

「めんたいロックフェア」の開催に向けて一歩を踏み出した「博多ぐるめ応援隊」。「めんたいロックフェア」の開催実現に向けて、クラウドファンディングで挑戦しています。「博多めんたいロック弁当」やフェア中、親不孝通りの飲食店で使える食事券などをリターンで用意。2021年7月14日まで支援を募っています。

▶クラウドファンディングページはこちら


博多めんたいロック弁当やめんたいロック焼酎をはじめ、ユニークなリターンがずらり

阿多さん

クラウドファンディングをはじめたのは、もっと多くの人に親不孝通りの現状とまちづくりへの想いを知ってもらいたいと思ったからです。文章や写真、動画で、しっかりと私たちの思いをお伝えできると感じました。

「博多ぐるめ応援隊」の声だけでなく、実際に親不孝通りに出店する皆さんからも、「めんたいロックフェア」への意気込みや親不孝通りの魅力を語ってもらえるように、インタビューや動画撮影を行っています。クラウドファンディング挑戦中に、親不孝通りにまつわるさまざまな情報をどんどん発信していくので、お楽しみに。

withコロナの時代に、地域の課題を解決する会社を目指す

これまで地域に根差した取り組みを多く行ってきたサンマーク。時代の転換期を迎えた今、どのように地域とかかわっていきたいと考えているのでしょうか。

阿多さん

これからは「withコロナ」の時代。2020年を機に、これまでの価値観は大きく変わりました。私たちのお客さまである飲食店やビューティーサロン、スクールの皆さんも、環境や考え方が大きく変わっています。同時に、さまざまな課題が見つかりました。

これまで地域の皆さんの課題を解決する手段として「紙媒体」を中心に、近年はwebにも力を入れていました。私たちの取り組みをきっかけに、地域が元気になって皆さんに喜んでもらえることは、社員にとっても大きな励みややりがいにつながっているのです。これからもソリューション(課題解決)に長けた会社を目指していきます。

地域のお客さまからの「声」を大切に拾い上げ、アイデアを出して新しい時代の会社として成長を続けるサンマーク。「博多めんたいロック弁当」も、「飲食業界を盛り上げたい」という想いから生まれたものです。今年7月に開催予定の「めんたいロックフェア」は、クラウドファンディングの支援募集だけでなく、作品の受け付けもスタートしています。若者にとっては、ディープで謎に包まれたイメージのある親不孝通り。令和の「めんたいロック」をきっかけに、そのディープなまちの魅力にハマってみてはいかがでしょう。

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紙とWEBの編集ライター
戸田 千文
愛媛県出身。広島、東京生活を経て、転勤族の夫とともに2018年夏に福岡暮らしをスタートした。情報誌やレシピ本、WEBコンテンツの企画・制作を通して出会うローカルのおいしいモノ・楽しいコトが大好き。

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