【石原和幸の夢コラム】

福岡のまちに、“日本一の園芸店”を作りたい!

唐突ですが、僕は今年で63歳になりました。時々、「あとどのくらい走れるかな?」「何ができるかな?」と柄にもないことを考えることがあります。僕にはまだまだ夢があります。やりたいことがたくさんあります!

福岡のまちに、「日本一の園芸店」を開店させる夢膨らむ

「一人一花運動」をベースにフラワーシティを目指す福岡のまちは、僕との考えがマッチする都市です。人口も増え、ドンドン発展しています。「天神ビッグバン」などで、更なる発展と明るい未来が待ち受けています。 今回はこの上昇気流に乗ってこのまちのさらなる花と緑の発展に寄与できればと願っています。まだまだ具体的なものはありませんが、僕は福岡のまちで皆さんに喜ばれる「日本一の園芸店を作りたい」と真剣に考えているのです。
 
「日本一」という物差しは、敷地面積や扱う品の種類など、数字で測れるものではありません。人々が「花と緑で癒され」、「花と緑のある生活の潤い」に気づき、そして「花と緑の発信」に寄与できる“人と地域貢献度数”だと思います。
 
目標とする園芸店には、温室があり滝が流れています。僕が作る1年365日、朝昼晩と違う表情を見せる世界一の庭園の中にあるイメージです。単純に花や緑、園芸雑貨を購入してもらうだけではありません。緑に囲まれた空間は、散策ができます。ライトアップや雲海などの演出を効かせた庭園を見ながら、お茶やお酒が飲めるカフェやBARもあります。とにかく、花と緑がある生活の良さを体現できる場所にすることです。
 
花教室やイベントを通じて、老若男女に花と緑の楽しさを知ってもらいたい。特に子供たちには、早くその楽しさに気づいてもらい、“花の伝道師”になってもらいたいですね。皆さんの日常に花と緑がある文化を根づかせていければと考えています。
 

一般的に、園芸店は造園分野が苦手です。僕には得意分野ですので、取扱う品にしても草花の小物から樹木などの大物まで多岐にわたる幅広い対応ができるようになります。ですから、一般の方から業者の方まで多くの人が花と緑に触れ合え、利用していただける“プラットフォーム”になればと思っています。さらにいえば、「一人一花運動」の花の発信基地を担えれば嬉しいことです。

僕がこのような気持ちになったのは、故郷・長崎でのプロジェクトがきっかけです。

長崎への貢献と恩返しに造った“人を呼べる庭園”

僕は長崎市の三原というところで生まれ育ち、若い頃は地元で花屋を営んでいました。今から15年くらい前に仕事の拠点を東京へ移したことで活動範囲も全国に広がり、長崎へ帰ることが少なくなりました。長崎に帰ったある日、自宅から何気に夜景を見たときに「街の明かりが少なくなったな、街に元気がなくなったな」と感じました。
 
僕の家からの夜景はネオンの明かりではなく住宅の明かりなので、人口が減っているのだろうと思いました。現に長崎市は転出が転入を上回る“社会減”が全国の市町村で最も多く、2年連続のワースト1位となってしまっている寂しい状況です。大それたことかもしれませんが、まずは「生まれ育った三原からこの長崎をもっと元気で魅力ある街にしたい!」という気持ちになりました。
 

長崎市三原の夜景

庭園デザイナーである僕にできることは、やはり庭園を造ること。とはいえ、造ろうとしている長崎市の三原という場所は、山の上の住宅地にあり、道も狭く分かりづらい辺鄙な場所です。相談する人、する人すべてが「やめとけ、お金の無駄遣いだ」と散々言われました。スタッフからも、いい顔はされませんでした。
 
しかし、そんな反対意見を押し切って、僕は作庭を決断しました。その理由の一つは、「長崎への貢献と恩返しをしたい」という地元愛と、英国チェルシーフラワーショーやハウステンボスのガーデニングワールドカップの出展の経験から、「庭や花や緑で人が呼べる」ことを肌で感じていたことによる、根拠ない自信からでした。
 
これまでのコラムでもお察しのとおり、僕は「やる」と決めたら猪突猛進です。新型コロナウイルスの流行の影響で、毎年出展していた英国チェルシーフラワーショーの中止も重なり、“人を呼べる庭園”を目標に造り始めました。約半年がかりで昨年7月には、主庭が完成しました。そして「三原庭園」と名付けました。
 

「三原庭園」ギャラリー

三原庭園については、http://www.kaza-hana.jp/

「三原庭園」完成後、TVの全国放送で紹介、各地から来園者が

完成後の三原庭園は、NHKや日本テレビの全国番組で紹介されたこともあり、遠くは関東方面からも来ていただくなど、たくさんの方に来園していただきました。
 
今現在もまだまだ発展している途上です。三原庭園の完成後も隣接してカフェやBar、雑貨屋、マッサージ店を開き、お花の教室やこども食堂を開催しています。Xmasにはイルミネーションを飾るなど、とにかくこの町に賑わいを作るためにたくさんのことを挑戦し続けています。
 

三原園芸の様子

「三原庭園」のBar

その成果もあり、三原では新たな雇用が生まれ、人が育ち、人の流れが生まれました。今年の秋には、長崎市から観光地としての指定も受ける予定になっています。
 
僕は今、あの日、自宅から見たあの寂しい夜景を忘れることなく、この町の風景までも変えていきたいと思っています。
 

夢の続きは、福岡のまちでの”日本一の園芸店”実現で

 長崎での僕の夢と挑戦を大いに語りましたが、夢の続きは「福岡で実現したい」と考えています。
 
繰り返しになりますが、僕は福岡のまちに、皆さんに喜ばれる「日本一の園芸店を作る」ことを構想しているのです。ぜひ実現させて、それが福岡の魅力の一つとなり、観光の上でも寄与できれば、僕にとっても最高のことだと思っています。

このコラムを通じて、賛同していただける方やご協力していただける方との新たな出会いがあることを願っています。福岡の新たな魅力の誕生に、良き化学反応が起きることを期待しているのです!

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庭園デザイナー
石原和幸
長崎市生まれ。22歳で生け花の本流『池坊』に入門。以来、花と緑に魅了され生花の路上販売から店舗販売、そして庭造りをスタート。その後、苔を使った庭で独自の世界観が「英国チェルシーフラワーショー」で高く評価されこれまで14回出展し計11個の金メダルを受賞。エリザベス女王より「緑の魔術師」と称される。全国で庭と壁面緑化など緑化事業を展開し環境保護に貢献すべく活躍中。

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