信頼できるファンドをどう見極める?「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2025」から紐解く、投資の基準

近年、急成長を遂げている不動産クラウドファンディング。2024年度の新規案件数は875件・出資額は1763.4億円に達するなど、市場は拡大を続けています。その一方で、「どのファンドを選べばよいのか分からない」と迷う声も少なくありません。そうした中で開催されたのが、投資家にとって有益性や透明性の高いファンドを評価するアワードである「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2025」です。今回は、アワードの主催者、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会 運営委員長の竹馬由夏さんへのインタビューを通じて、信頼できるファンドを見極めるための視点について紐解きます。

 

<不動産クラウドファンディングとは>
インターネット上で投資家から資金を集め、集まった資金をもとに不動産を購入・運用し、その利益を投資家に分配する仕組みのこと。規定の運用期間が終了すると投資元本が返還されるほか、多くのサービスが1口1万円から投資できるので、不動産投資初心者も取り組みやすいことが特徴。

 

<えんfunding(ファンディング)とは>
株式会社えんホールディングスが運営する不動産クラウドファンディングサービス。フクリパの運営会社である、株式会社えんメディアネットが総合プロデュースを手掛けている。自社物件であるデザイナーズマンション「エンクレスト」のみを対象としていることが特徴。

 

 

「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2024」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

地方都市への期待増!「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー」が示す新たな不動産投資の可能性

 

 

 

ついに3回目となった「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー」

 

今回で3回目となった「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー」では、2024年度に引き続き、株式会社えんホールディングスが運営する「えんfunding(ファンディング)」もノミネートされました。同アワードの主催者である一般社団法人不動産クラウドファンディング協会運営委員長の竹馬さんへ、表彰式の模様や受賞ファンドの傾向、審査のポイントなどを伺いました。

 

 

――早速ですが、2026年3月19日に行われた表彰式の様子はいかがでしたか。

 

表彰式には、ノミネートされたファンドの事業者に加え、審査委員や関係者の方々にもご参加いただき、非常に活気ある式となりました。「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー」は、2025年度で3回目の開催となりますが、今回も多数のファンドからエントリーがありました。2025年度は、大賞、特別賞(ユニーク賞・書面契約型特別賞・審査員特別賞)、ユーザーズベストの計5つの賞を選定しています。

 

なお、今回の審査について簡単にご紹介すると、2025年末までにエントリーされたファンドの中から、一次審査を経て、9つのノミネートファンドを選出。その後、3月上旬に最終審査を実施し、その結果を踏まえて、3月19日に表彰式を行いました。

 

一般社団法人不動産クラウドファンディング協会の竹馬さん

 

 

――2024年度の賞は「大賞、安定性・透明性賞、社会貢献性賞、ユーザーズベスト」の4つだったこともあり、賞の内訳が気になっています。今回はどのようなファンドが受賞したのでしょうか。

 

大賞には、地主フィナンシャルアドバイザーズ株式会社さんの地主倶楽部「6号さいたま市南区」が選ばれました。安定性の高さに加え、契約書における損益配分ルールの記載が詳細で、透明性が高い点が評価され、満場一致での受賞となりました。

 

そして3つの特別賞ですが、まずユニーク賞には、全国22物件に分散投資するJ-REITのようなファンドである、穴吹興産株式会社さんのジョイントα「エリア分散型アルファアセット第九弾」が選ばれました。続いて書面契約型特別賞は、クラウドファンディング形式ではないものの、高い透明性が評価された株式会社アンビシャスホームさんのなにわファンド「まいど17号」が受賞。

 

審査員特別賞は、トーセイ株式会社さんのTREC FUNDING「TREC6号 区分マンションファンド横浜東寺尾」が受賞する形となりました。同ファンドは当初ノミネート外でしたが、審査委員からの評価が非常に高かったことから再審査が行われ、受賞が決定しました。

 

なお、ユーザーズベストは前年同様に、対象期間中に「ファインディングファンド」に寄せられたクチコミを集計し、ユーザーの支持を最も多く得たサービスを選出しています。

 

大賞を受賞した、地主フィナンシャルアドバイザーズ株式会社の営業部・吉村篤郎氏(右)と、不動産クラウドファンディング協会の代表理事・横田大造氏(左)

 

 

――審査員特別賞は、「審査過程での議論を踏まえて授与された賞」なのですね。ところで、2024年度にフクリパがお話を伺った際は、株式会社レプスさんが主催を務めていました。今回は、どのような経緯で不動産クラウドファンディング協会さんが主催することになったのですか。

 

まず当協会についてご紹介します。不動産クラウドファンディング協会は、業界の信頼性や透明性、認知度の向上を目的として、2023年に設立された一般社団法人です。不動産クラウドファンディングはインターネット上で募集が行われるため、投資家と直接対面でやり取りする機会が少なく、情報開示の分かりやすさや透明性の確保が非常に重要です。そこで当協会では、クラウドファンディングのデータベースの発信や、厳しい基準を設けた入会審査などを通じて、投資家の方々が安心して判断できる環境づくりに取り組んでいます。

 

お話があった通り、もともと本アワードは株式会社レプスさんが主催していましたが、「中立的な立場で活動している本協会にアワードの運営に携わってほしい」とお声がけいただき、2024年度から運営に関わるようになりました。そして2025年度からは、正式に主催を引き継ぐ形で開催しています。

 

 

 

2025年度は「一般投資家目線の審査」がポイント

――2024年度と比べて、今回の審査で大きく変わった点を教えてください。

 

大きな違いは、審査委員の構成と審査の進め方です。2024年度は弁護士や行政書士などの専門家を中心とした審査委員で構成されていたのに対し、2025年度は専門家6名・個人投資家5名の計11名で審査を行いました。さらに、審査の進め方においては、一次審査にAIを活用。投資家への説明のわかりやすさを軸にノミネートファンドを選びました。

 

2024年度の審査委員は9名だったが、2025年度は計11名での審査となった

 

 

――個人投資家が審査に加わった背景には、どのような狙いがあったのでしょうか。

 

背景には、実際に投資を行う個人投資家の視点や判断基準を、審査に取り入れる狙いがあります。2025年4〜8月にかけて、国土交通省は「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」を開催しました。これは、クラウドファンディングの普及により一般投資家の層が広がる中で、投資リスクを適切に判断できるよう、情報開示のあり方を検討することを目的としたものです。

 

この検討会では、募集画面に掲載すべき情報について、自主規制として整理する必要性が示されました。

これを受けて、2025年9月から翌年1月にかけて「自主規制ルール検討会」が開催され、「不動産特定共同事業に係る商品募集画面のチェックリスト」の内容検討を実施。2026年3月にリストの一般公開に至りました。

 

>>チェックリストの詳細はこちら

https://prop-crowdfunding.org/event/20260331-1/

 

なお、当初の検討会は不動産鑑定士などの専門家が中心であったことから、より幅広い視点を取り入れるため、「自主規制ルール検討会」では一般投資家にも参加していただきました。こうした流れを受けて、今回のアワードでも、実際に投資判断を行う一般投資家の視点を審査に取り入れています。

 

「不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2025」表彰式では、各ノミネートファンド事業者のプレゼン後に、結果発表が行われた

 

――たしかに、その方がより投資家目線での審査が行えそうです。審査の進め方については、AIの導入が大きなポイントなのでしょうか。

 

そうですね。審査方法については、基本的には2024年度と大きくは変わっていませんが、2025年度はノミネートの選定段階でAIを活用しています。先述のチェックリストを事前にAIに読み込ませ、各ファンドの資料がどの程度基準を満たしているのかを確認しました。ただし、AIはあくまで補助的な役割であり、最終的な判断は全て人の目で行っています。

 

なお、ノミネートファンド決定後は、各審査委員が個別に評価を実施。そして、その結果をもとに議論を重ね、各賞を決定しました。ノミネートファンド間には、決定的な差はほとんどなかったこともあり、最終委員会では全員で2時間ほど話し合った結果、最終的な賞の決定に至りました。

 

 

――今回の審査で特に重視したポイントがあれば教えてください

 

審査にあたっては、利回りなどの条件だけでなく、投資家にとっての分かりやすさや、説明責任が果たされているかといった「透明性」を重視しました。単に安全性が高いかどうかではなく、リスクがある場合にそれを適切に開示し、「どのような懸念があるのか」を具体的に説明しているかどうかを評価しています。特に、事業者にとって不利になり得る情報も含めて、どこまで包み隠さず説明しているかは重要なポイントでした。

 

こうした評価の背景には、個人投資家の方々が審査委員に加わった影響が大きいと感じています。昨年は書類の内容を中心に透明性を判断していましたが、今回は募集画面を含め、一般の投資家にとって理解しやすい説明になっているかどうかを、より重視した審査となりました。

 

 

 

「えんfunding」のノミネートに見る、地方都市の可能性

――「えんfunding」は、2024年に引き続き、2025年度もノミネートされています。福岡における不動産クラウドファンディング事業者は、どのくらい存在しているのでしょうか。

 

実は、福岡県内で不動産クラウドファンディング協会に登録している事業者は、現時点でえんfundingさんのみとなっています。もちろん、当協会に所属されていない福岡の事業者さんもいらっしゃいますが、それでも数は非常に限られている状況です。九州地方は特に少なく、国土交通省からも「九州に事業者を増やしたいので、説明会の開催に協力して欲しい」と要望があったほどです。

 

今回ノミネートされた、「えんfunding 第38号」

 

 

――地方で不動産クラウドファンディングが広まりにくいのは、どのような理由があると考えられますか。

大きく2つあります。1つは、制度に対する理解の差です。不動産クラウドファンディングを実施するには、不動産特定共同事業法により、都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要です。そのため、自治体ごとに知識や運用の理解度に差があり、制度が十分に浸透していないのが現状です。

 

もう1つは、出口の難しさです。不動産クラウドファンディングは一般投資家から資金を募るため、出口の見通しが非常に重要です。もちろん物件の立地や特性によっても異なりますが、地方エリアでは都市部と比べて、物件売却などの資金回収手段の見通しが立ちにくいケースも少なくありません。こうした不確実性は投資家の判断に影響を与えるため、結果として、事業として成立させるハードルが高くなりやすいといえます。福岡市は札幌市などと並んで、地方都市の中でも今後の地価上昇が期待されているエリアですが、成長が見込みにくい地域では、出口戦略の難しさがより大きな課題になっていると考えられます。

 

 

――そうした点を踏まえると、えんfundingのように、特定の地域に根ざして事業を展開するケースは珍しいのでしょうか。

 

そうですね。地方の物件を扱う事業者自体は、東京に拠点を置く企業を含めれば一定数存在しますが、地方に拠点を置き、その地域の物件に特化している事業者は非常に限られているのが現状です。その点、えんfundingさんは地元をよく理解したうえで、福岡の物件のみを扱っている点が大きな強みだと感じています。現在は市況の影響もあり、どうしても東京の物件に注目が集まりがちですが、「福岡で福岡の物件を扱う」という一貫した姿勢には、大きな価値があるのではないでしょうか。

 

九州はITに強い企業が複数あるうえに、好奇心旺盛な方が多そうなイメージがあり、本来であれば、こうした事業者はさらに増えてもよいのではないかと感じています。今後、えんfundingさんのように、地域に根ざした事業者が増えていくことを期待しています。

 

 

 

「不動産クラファン初心者」が注目すべきポイント

――フクリパ読者には、「これから不動産クラウドファンディングを始めたいけれど、どう物件を選んでよいか分からない」と感じている方も少なくありません。初心者がまず確認すべき点を教えてください。

 

最も重要なのは、「自分が理解できるものに投資すること」だと考えています。まずは募集ページを見て、その内容に納得できるかどうかを確認してみてください。内容を十分に理解できないまま投資してしまうと、リスクの判断ができず、結果として損失につながる可能性があるためです。

 

 

その際に活用していただきたいのが、当協会で作成したチェックリストです。「運用期間が明示されているか」「利回りの算出方法が記載されているか」といった項目が整理されており、募集ページに必要な情報がそろっているかをチェックできます。事業者向けの内容のため、やや専門的な部分もありますが、ぜひAIなどを活用しながら確認してみてください。

案件選びのポイントについて、わかりやすく語ってくださった竹馬さん

 

 

――利回りだけでなく、総合的に確認することが重要なのですね。

 

投資の際は、どうしても利回りに目が行きがちですが、「利回りが高い=良い商品」とは限りません。一般的に、リスクが高いほど利回りは高くなる傾向があります。そのため、相場とかけ離れた高利回りの場合は、なぜその利回りが設定されているのかを確認することが重要です。例えば、「現状が明らかになっていない土地で、何が建つかも分からないのに利回りが10%ある」といった案件については、「なぜその利回りが実現できるのか」「本当にそのリターンが見込めるのか」を一度立ち止まって考えていただきたいと思います。

 

 

――その他に、初心者に向けたアドバイスがあれば教えてください。

 

投資先を分散させることも、大切なポイントの一つです。例えば、1社にまとめて投資するのではなく、複数の事業者に分けることで、倒産などが起きた場合の影響を抑えやすくなります。また、災害に備えるという意味でも、東京と福岡といったようにエリアを分散しておくと安心です。

 

とはいえ、特定の事業者を信頼し、その事業者に集中して投資するという考え方も一つの選択です。実際に、「この事業者にしか投資しない」という方もいます。投資のスタイルは人それぞれなので、最終的には自分が理解できて、納得感を持てる投資先を選ぶことが大切です。利回りや一見魅力的な条件だけにとらわれず、しっかりと情報を確認したうえで判断してみてください。

 

 

――最後に、不動産クラウドファンディングについて、今後の展望をお聞かせください。

 

現在の不動産クラウドファンディング業界は、過渡期にあると考えています。というのも、投資家の関心を集めるため、利回りがやや高く設定される傾向が見られるためです。平均利回りは7%前後と、本来の不動産投資と比較すると高い水準にあります。こうした状況が続くと、利回りの高さだけで投資先が選ばれてしまい、結果としてリスクの高い案件にも資金が集まりやすくなります。その状態が続けば、業界全体の信頼性にも影響が出てくるかもしれません。

 

その中で大切になってくるのが、投資家一人ひとりの見方です。利回りの高さだけでなく、「なぜその利回りが成り立っているのか」「どのようなリスクがあるのか」といった点にも目を向けながら、投資先を選んでいくことが大切です。

 

そうした視点で資金が集まるようになれば、リスクとリターンのバランスが取れた案件がきちんと評価され、市場も少しずつ健全な形に近づいていくはずです。不動産クラウドファンディングは、本来大きく広がっていく可能性を持った分野でもあります。だからこそ、投資家自身が納得して判断していく姿勢が、これからの業界を支えていくことにつながるのではないでしょうか。

 

 

――フクリパでは、今後も不動産クラウドファンディングに注目していきたいと思います。竹馬さん、今回はありがとうございました!

 

 

参照サイト

不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2025

https://futokuho.jp/lp/awards2025/

 

不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2024

https://futokuho.jp/lp/awards2024/

 

不動産クラウドファンディング・オブ・ザ・イヤー2025 各賞の発表および『募集チェックリスト』の開示について|一般社団法人不動産クラウドファンディング協会

https://prop-crowdfunding.org/event/20260331-1/

 

不動産特定共同事業の利活用促進ハンドブック|国土交通省

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001519666.pdf

 

 

 

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