福岡県内の空き家は、都市部から離れた場所ほど増加
総務省が発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で全国の空き家総件数は、約900万戸です。1993年から2023年までの間に全国の空き家件数は約2倍に増加しました。
今後も少子高齢化の進行や人口の移動などを背景に、空き家は増加する傾向にあるとみられています。
参考サイト:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf
次に示すのは、福岡県の空き家率を示す統計データです。
<平成30年・令和5年の空き家率>土地統計調査データより抜粋
福岡県全体の空き家率は減少傾向にありますが、空き家率が大きく高まっている地域があります。
福岡市近郊のA市では空き家率は全国よりも低く、減少傾向にある一方、福岡都市圏から離れている地域では空き家率も高く、増加傾向にあります。
福岡県が空き家活用をサポート!イエカツってなに?
全国的な空き家率の増加を背景に、福岡県は令和2年10月に福岡県空き家活用サポートセンター、通称「イエカツ」を(一財)福岡県建築住宅センター内に設置しました。
イエカツでできること
イエカツは、空き家の利活用や悩み事に関して、さまざまな解決策の提案をおこなってくれる公的機関です。
専門のスタッフが、空き家の問題を抱える方の悩みを伺って、空き家を今後どのように扱うのが最適なのか、ひとりひとりに寄り添った丁寧なアドバイスをしてくれます。
相談内容を踏まえ、問題の整理や情報提供、専門家や事業者との橋渡しまでをワンストップでおこなってもらえる上に、福岡県が設置する窓口なので相談料は無料。
安心して相談できるのが一番の特徴です。
■イエカツ相談の流れ
遠方に住んでいて物件の管理が難しい方や相続に悩む方など、イエカツには多種多様な相談が寄せられているそうです。
イエカツの相談実績は延べ2,100件以上
イエカツの相談件数は増加傾向にあります。令和2年10月の開設から令和7年2月末までに計2,132件の相談があり、令和6年度は4月から2月末までの11か月間で501件の相談がありました。
背景には、空き家に関する報道が増えたことや相続登記の義務化などが考えられます。
<令和3年度〜令和6年度のイエカツ相談件数>※令和6年度は2月まで
空き家についての不安や疑問を、無料で専門家に相談できる!
イエカツの一番のメリットは、専門知識をもつスタッフに無料で相談できる点。
また、福岡県内の市町村や、空き家等に関わりのある事業者が属する団体とも連携しているため、今まで解決できなかった事案にも、専門家の意見を取り入れた解決方法を提案してもらえる点も大きなメリットです。
空き家問題に直面してからの相談はもちろんですが、「親が家を持っているけど、今のうちにできることを知りたい」「家財整理をしたいけど、相場はいくらくらい?」などの、空き家にしないための準備の部分までアドバイスしてもらえます。
自分で情報を集めたり、業者を探したりする必要がなくなるのはとても助かりますね。
イエカツの相談スタッフにお話を聞きました
では、実際に相談に乗ってくださるスタッフとはどのような方々なのでしょうか?
イエカツの相談員は全員が宅地建物取引士の資格を保有している空き家問題のプロ。みなさん様々な経歴をお持ちでした。
今回はイエカツ窓口で相談員として活躍する3名のスタッフに、イエカツ相談の疑問やアドバイスを伺いました。
赤坂朱音(あかさかあかね)さん
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
令和3年4月より相談員を務める。知人の空き家問題に関わった経験から不動産に興味を持ち、宅建を取得。豊富な資格や営業経験を生かし、丁寧に相談者の意図をくみ取る相談対応を得意としている。
小野順一(おのじゅんいち)さん
宅地建物取引士
令和6年3月より相談員を務める。8年前、両親の体調不良をきっかけに所有していた不動産の管理を手伝うことになり、本格的に不動産の勉強をスタート。接客経験が豊富で、温和な人柄を生かした穏やかで根気強い相談対応が得意。
日下部寿磨子(くさかべすまこ)さん
宅地建物取引士
令和6年3月より相談員を務める。2年前まで分譲住宅の窓口で勤務していた。20年ほど前に両親が所有していた不動産を相続し、空き家問題に直面。専門家の力を借りながら必死に問題解決に取り組んだ経験をもつ。5年前に一念発起し宅建を取得。自身の経験に基づく、相談者の気持ちに寄り添った温かい相談対応が得意。
最も多い相談は「なにから始めたらいいかわからない」
ー空き家の相談で一番多いのは、どのような内容ですか?
赤坂さん
小野さん
日下部さん
赤坂さん
相談前に固定資産税の納税通知書をチェック!
ー相談する時に準備したほうがいいものはありますか?
小野さん
日下部さん
空き家になる前でも、どんなささいなことでも相談OK
ー読者のみなさんにメッセージをお願いします
日下部さん
小野さん
赤坂さん
現在は空き家でも、相談者の方々にとっては家族と過ごした思い入れのある場所です。相談者の方の思いに寄り添いながら解決するための動き方を伝えられるよう工夫しています。多くの方にとって、不動産の売買は何度も経験するものではないので、相続や空き家の問題について相談することを不安に感じる方が多いでしょう。空き家問題の解決に向けて、私たちが精いっぱいサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
イエカツでは、空き家問題に詳しい専門家と連携して、福岡県内各地で空き家や住まいの終活に関する相談会やセミナーを開催しています。
「空き家を相続して困っている」「親が介護施設に入所するために空き家になる」「空き家にしないための相続対策を知りたい」など、空き家に関する心配ごとがある人は、参加してみてはいかがでしょうか。
空き家を放置するとどんどん傷んで、管理が大変になっていきます。早めのご相談をおすすめします。
福岡県空き家活用サポートセンター
■住所:〒810-0001 福岡市中央区天神1-1-1 アクロス福岡東オフィス3階((一財)福岡県建築住宅センター内) [map]
■TEL:092-726-6210
■営業時間:9:00〜17:00
■定休日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始
HP:https://www.fkjc.or.jp/jigyo/iekatsu-2-2