「ドドドガガガ ゲンバをフカボリ」プロジェクトとは?
建設産業は、地域社会の安全・安心の確保を担う、地域の守り手としてなくてはならない存在です。しかし近年は、高齢化やイメージの誤解からくる人材不足が、建設業界全体に深刻な影響を与えています。
上のグラフは、高校・短大・大学から建設業へ就職した新卒就職者の割合を表すものです。2009年の2.9万人を底に増加に転じ、2022年には4.3万人と2014年以降4万人台を維持しています。とはいえ、2022年の結果を見ても、全ての新卒就職者数の7.1%。建設業の就業者数が全産業に占める割合が約8%といわれているので、就業構造全体から見ると、まだまだ足りていません。
そこで福岡県では、主に若年層に建設産業を将来の職業候補のひとつと考えてもらうため、建設産業の魅力をわかりやすく伝える特設サイトを開設しました。
特設サイト:https://kensetsufukuoka.com/
ホームページには、「世界はドドドとガガガでできている!」というキャッチフレーズのもと、現役高校生が実際の工事現場を取材し、建設産業に対するリアルな印象を若年層の目線でわかりやすく伝える動画が掲載されています。
今まさに進行中の天神ビッグバンの超高層ビルでの作業内容や、コンクリートの型枠を組立てる職人のスゴ技、建設現場で活躍する女性を取材した動画など、現場で働く人々の声を皆さんにお届けします。
それぞれの仕事の内容はもちろん、現場のやり甲斐や職人技などが盛りだくさん。インタビュアーが高校生なので、建設現場の知識がまったくないという方でもスッと入ってきやすい内容になっているのもポイントです。
お察しの通り、キャッチフレーズの“ドドド”と“ガガガ”は、工事現場から聞こえる作業音の擬音語。「騒音」と捉えられがちなこの音を「新しいものが生み出されている合図」というプラスイメージへ転換したいという思いが込められています。
さらに今回は、「ドドドガガガ ゲンバをフカボリ」を企画した経緯や内容についてフカボリするべく、プロジェクトを担当した福岡県建築都市部建築指導課の山口和孝さんにお話をうかがいました。
建設産業の人材不足解消を目指して
先述の通り、人材不足が深刻化している建設産業。
「建設産業の深刻な人材不足解消のためには、若い方に建設産業の魅力を発信し、将来の職業候補として認知してもらうことが大切だと考えました」と、プロジェクト発足のきっかけについて話してくださいました。
現場では、積極的な処遇改善が行われていた!
建設産業といえば「きつい」「汚い」「危険」がセットになった「3K」ということばを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし近年、これらのイメージを払拭する新3Kが国土交通省によって発表されました。
新たな3Kは、「給与」「休暇」「希望」の3つです。
この新3Kを実現するために、新しい技術やデジタル技術を導入して、業務の効率化や生産性の向上を図り、長時間労働や人手不足といった建設産業が抱える課題の解決に取り組んだり、教育プログラムにVRを導入したりと、国土交通省を中心としてさまざまな施策が行われており、現場のイメージを少しずつ変えていこうという動きが始まっています。
山口さん
「ドドドガガガ ゲンバをフカボリ」プロジェクトでは、現役高校生が実際の現場で取材を行い、建設産業を実体験!そこで得た感想を自分の声で伝えることで、よりリアルな情報を提供することになったのです。
建設産業がよくわかる!Youtube動画をご紹介
https://www.youtube.com/watch?v=0NSiJdwG_LQ
こちらの動画では、建物の壁や床などを、こてという道具を使って塗り仕上げる「左官」さんに密着しています。薄く美しくモルタルを塗っている姿はまるでメイクアップアーティスト?!その手さばきに思わずうっとり見惚れてしまうはず。建設産業とひとくちにいっても、こんな繊細なお仕事もあるんですね〜。
https://www.youtube.com/watch?v=0L8_IytDHT4
こちらは、壁や柱など建物を組み立てる際の土台となるコンクリートを流し込む枠をつくる「型枠大工」さんを取材!1mmでもずれると建物の形に影響してしまうという、超緻密な作業。職人さんいわく「まるでプラモデルをつくっているような感覚」なのだそうですよ!
https://www.youtube.com/watch?v=RcJUPDu9Oso
そして何と!現場で活躍する女性にも取材!事務職から転職したという彼女。建設現場への憧れと、手に職を就けたいという思いから、職業訓練校を経て左官職人の道に進んだのだそうですよ。現場では、男女別け隔てなく接してくれる先輩や同僚に囲まれながらお仕事する様子がわかります。
これらの動画を見て感じることは、とにかく現場の人が明るく活き活きと仕事をしていること。そして「人の役に立っていることが実感できる」「地図に残るものを造りあげることができる」など、ほかの職業では味わえないようなやり甲斐を感じている方が多くいらっしゃいました。
そのほかの動画はこちらをチェック:https://www.youtube.com/@dododo-gagaga
今後も建設産業の魅力を発信
今後は、子どもや学生も参加できる建設関係のイベント情報や、建設産業分野で進むDX化や働き方改革についての情報を充実させていくほか、天神・博多駅・小倉駅の大型ビジョンでのデジタルサイネージの放映や、県内中学校や高校などへパンフレットを配布する予定なのだそう。
山口さん
この記事を読み終えたみなさん。すでに建設産業に対するイメージが変わったのではないでしょうか?まずは“知る”ことから始めてみる。そのことが、今後の建設産業の未来を明るく照らす第一歩だといえるのではないでしょうか。