今回は本屋という視点から、地域をもっと活性化していくにはどうすべきかを考え続けている私にとって、とても参考になった一冊をご紹介いたします。
「地域の時代が始まったわけではなく、昔から変わらない価値がそこにある」
この本の帯に書かれている日本のグラフィックデザイナーの第一人者である原研哉さん(私の元上司なのです・・・)の言葉です。
クリエイターの仕事とはさまざまな企業やメーカーや地域の課題に対し、デザインの力を通して答えを導き、具現化していく仕事です。仕事の内容も多種多様で、商品のプロダクトデザインや広告デザインといった身近なものから、建築における空間デザインや公共施設等のサインデザインなどの広義的な意味合いのものまで、その範囲は無限だと言ってもいいかもしれません。人や街や地域においてデザインの役割とは必要不可欠なものなのです。
この本では「町」「市」「道県」単位でそれぞれの場所に拠点を置く21人のデザイナーがその場所が持つ魅力や資源を、デザインを通して最大限に引き出し、全国に伝えるためにどのようにその地域の人々と関わり「協働」しているのか、これまでの取り組みや活動内容を紹介しています。
あなたの住む地域も「資源の宝庫」なはずです。
僕らは日々自分の住んでいる場所の普遍的な価値を持つものを認識しているのでしょうか。
お住まいはどこですかとお聞きして「何もない場所だよ」という言葉が返ってきたりしますが、そうではなく地域の魅力を再構築をする人がいないだけなのかもしれません。
デザインが持つ力とはその場所に以前からありながら埋もれてしまっている資源(商品や場所)を掘り起こし、その価値観を再提案していくことではないでしょうか。
そのためにはそこで生活し、そこで仲間を増やし、根付いていく努力が必要です。他の場所から短期的に入り込み、期間が終われば去っていくような会社やクリエイターたちには、地域のもつ魅力の本質を長期的に伝え、還元出来る仕事は出来にくいのです。
ここに紹介されている彼らのように「生活者」の目線を持つ人たちが今こそもっともっといろんな地域に必要だと思います。
東京から55歳で九州に戻って来た私がいうのも全く説得力がありませんが、大きな都市での仕事を目指す前に、自分の住んでいる場所に今一度目を向けてみませんか。宝の山かも知れませんよ。その場所の魅力を創り出す新しいクリエイターが増えていくことを願っています。
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おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる:地域×デザインの実践
新山 直広・坂本 大祐 編 著
出版社 : 学芸出版社 (2022/3/17)
定価 2,400円+税
初版年月日:2022年3月20日
https://honto.jp/netstore/pd-book_31465172.html
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※2022.9.28 追記:台風の影響により、11月後半以降に延期予定です。
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