プロが注目する60㎡マンションの隠れた収益性

不動産投資の「常識」が変わる?プロが注目する”60㎡マンション”の隠れた収益性

不動産投資と聞くと、都心のコンパクトなワンルームマンションを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かにそれは王道の選択肢の一つですが、将来の資産形成をより戦略的に考えるビジネスパーソンの間で、今、新たな投資対象が静かに注目を集めています。それが「60㎡前後のファミリー向けマンション」への投資です。一見、投資ハードルが高そうに思えるこの選択肢が、なぜ「空室リスクが低く、長期的に安定した収益が期待できる」と評価されているのでしょうか。リモートワークの普及やライフスタイルの多様化を背景に、この「広すぎず、狭すぎない」絶妙な空間への需要は、かつてないほど高まっています。本記事では、単身者から子育て世帯、そしてシニア層まで、幅広い層に支持される"60㎡マンション"の隠れた魅力と、公的データに基づいた収益性について、専門的な視点から詳しく解説していきます。

  1. 変化する不動産投資環境でファミリーマンションが評価される理由

不動産投資への入り口として、多くの投資家がまず検討するのがワンルームマンション投資です。

比較的少額から始められ、都心駅近の立地選択肢も豊富で、単身者という安定した需要層を対象とする確立された投資手法として、長年にわたり多くの投資家に選ばれ続けています。

 

特に福岡市においては、九州大学をはじめとする大学や企業の集積により、継続的な単身者需要が見込める環境が整っており、ワンルームマンション投資の優位性は今後も続くと考えられます。

 

一方で、近年の不動産市場では、投資家の選択肢が大きく広がっていることも事実です。

 

 

投資環境の変化と選択肢の多様化

マンション発売戸数推移

出典:全国 新築分譲マンション市場動向 2024 年

 

不動産経済研究所の調査によると、2024年の全国の新築マンション発売戸数は59,467戸と前年比8.6%減少しており、不動産投資市場の成熟化が見られ、投資家にとってより戦略的な物件選択が求められる時代となっています。

 

また、2025年1月の日銀による追加利上げなど、金融環境の変化により、投資家はより長期的で安定した収益性を重視する傾向が強まっています。

 

 

投資戦略の変化

従来のワンルーム投資が持つ「少額投資」「管理のシンプルさ」「立地の良さ」といった確立された魅力に加えて、近年ではリスク分散と収益安定性を重視する投資家が増加しています。

 

この背景には、以下のような投資環境の変化があります

●長期運用志向の高まり:短期的な値上がり期待よりも、安定したキャッシュフローを重視

●ポートフォリオ思考の浸透:複数の投資対象によるリスク分散の重要性

●出口戦略の多様化:売却時の選択肢の豊富さへの注目

 

 

ファミリーマンション投資が注目される理由

こうした投資環境の変化の中で、60㎡前後のファミリーマンション投資が注目されているのは、従来のワンルーム投資とは異なる強みを持っているためです。

 

重要なのは、どちらか一方が優れているということではなく、投資家の資金規模、リスク許容度、運用方針に応じて適切な選択ができる時代になったということです。

 

次章では、このファミリーマンション投資が持つ具体的な特徴と魅力について詳しく解説していきます。

 

 

なぜ今「60㎡」が投資家に注目されるのか

前章で見たように、従来のワンルーム投資の強みは健在である一方で投資戦略の変化が起こっています。

では、なぜ今60㎡前後のファミリーマンションが、賢明な投資家たちの注目を集めているのでしょうか。その答えは、この絶妙な広さが持つ「多様性」にあります。

 

 

多様なターゲット層をカバーする万能性

60㎡前後(主に2LDK)のマンションは、ワンルームとは対照的に、実に幅広い居住者層のニーズに応えることができます。

 

●リモートワーカー・DINKS層の台頭

テレワークの導入状況(企業)

出典:令和6年通信利用動向調査の結果

 

 

総務省の調査によると、テレワークを導入している企業の割合は47.3%となっており、約半数の企業が継続してテレワークを導入しています。

 

1週間あたりの在宅勤務の日数

出典:日本におけるリモートワークの現状、メリットとデメリットについて

 

在宅勤務者の42.3%が週3日以上自宅で仕事をしており、「仕事部屋+生活空間」というニーズが急増しました。

 

2LDKなら一つの部屋をワークスペース、もう一つを寝室として使い分けることで、オンとオフのメリハリをつけた生活が可能になります。

 

●子ども一人のファミリー層の安定需要

全国平均居住期間

出典:第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』

 

最も典型的なターゲットが、子ども一人のファミリー層です。60㎡・2LDKは、まさに「ジャストサイズ」と言えるでしょう。この層は最も居住期間が長く、ファミリー層の平均居住期間は5年3か月と、単身者層と比較して大幅に長期間の入居が期待できます。

 

●シニア層のダウンサイジング需要

シニア層のダウンサイジング需要

出典:〈シニアの住み替えに関する調査〉

 

「65歳以上~70歳未満」での住み替えを検討している人が最多で、65歳以降での住み替えを考えている人が約8割に上ります。広すぎる戸建ての管理に負担を感じ、利便性の高い駅近のマンションへ住み替えたいシニア層にとって、夫婦二人でゆったり暮らすのに最適な広さが60㎡なのです。

 

 

多様性が生む長期安定性

これらの多様なターゲット層が存在することにより、60㎡マンションは特定の層に特化するワンルームと異なり、景気変動や社会情勢の変化が、むしろ追い風になることすらあります。

長期にわたって安定した入居率を維持しやすいこの「守りの強さ」こそが、60㎡マンション投資の最大の魅力なのです。

 

 

データで検証する60㎡マンションの収益性と資産価値

前章で解説した60㎡マンションの多様性が、実際にどのような収益性をもたらすのか。ここでは、客観的なデータを基に、ワンルーム投資との比較を通じて60㎡マンションの優位性を検証していきます。

 

 

賃料単価の比較分析:「坪効率」だけで判断してはいけない理由

ファミリー向け賃貸物件の賃料

出典:【賃料動向】LIFULL HOME’Sマーケットレポート(2025年5月)

 

LIFULL HOME’Sの賃貸住宅市場レポート(2025年5月版)によると、首都圏におけるシングル向け物件の平均賃料は84,133円、ファミリー向け物件は137,794円となっています。

 

単純計算では、シングル向け物件(約25㎡)で㎡単価約3,365円、ファミリー向け物件(約60㎡)で㎡単価約2,297円となり、シングル向けの方が「坪効率」は高くなります。しかし、これは表面的な数字に過ぎません。重要なのは実質的な収益性です。

 

 

居住期間の差が生む運用コストの違い

具体的なシミュレーション例

●ワンルーム(25㎡):賃料月10万円、居住期間3年3か月

●60㎡ファミリータイプ:賃料月15万円、居住期間5年3か月

 

入退去に伴うコスト(原状回復費用・仲介手数料)を家賃2か月分とすると、10年間でワンルームは3回、ファミリータイプは2回の入退去が発生します。

 

●ワンルーム10年間収益:1,200万円(年120万円×10年)-60万円(20万円×3回)=1,140万円

●ファミリータイプ10年間収益:1,800万円(年180万円×10年)-60万円(30万円×2回)=1,740万円

 

この結果、表面利回りは劣るファミリータイプの方が、入退去コストの違いにより600万円も多い実質収益を生み出すことになります。

 

 

「売りやすさ」という強み:高い流動性がもたらす出口戦略の優位性

60㎡のマンションに投資するメリットは、実需層が市場にいることです。

 

実需層とは、実際にそこに住むことを目的とする買い手のことであり、ワンルームマンションの主な買い手である投資家と比べて圧倒的に数が多いのが特徴です。そのため、景気や金融情勢に左右されにくく、価格が安定しやすいというメリットもあります。

 

また、実需層は住宅ローンを利用するため売買が成立しやすく、万が一投資がうまくいかなかった場合でも、「最悪自分で住む」という選択肢があります。このように、60㎡のマンションは投資の保険としての役割も果たし、投資家にとって大きな安心材料となります。

 

 

ターゲットエリア(関東圏・福岡)でファミリーマンション投資が有望な理由

60㎡前後のファミリーマンション投資を成功させるには、エリア選定が極めて重要です。関東圏と福岡県は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、共通してファミリー世代の需要が高く、将来性が期待できるエリアとして注目されています。

 

 

関東圏:安定成長と再開発による魅力向上

都道府県別総人口の推移

出典:日本の地域別将来推計人口

 

国立社会保障・人口問題研究所によると、東京都の人口は2020年の1,405万人から2050年には1,440万人と、2020年の水準を上回って推移します。2050年時点で人口指数が100を超えるのは全47都道府県中で東京都(102.5)のみで、長期的な賃貸需要の安定性を示しています。

 

東日本不動産流通機構のデータでは、2024年の首都圏中古マンションの成約㎡単価は76.88万円(前年比+6.9%)に達し、ファミリーマンションの資産価値が着実に向上しています。

 

 

福岡県:成長都市としてのポテンシャル

総務省の人口動態調査(2024年1月1日時点)によると、福岡市は全国市区での日本人住民の増加数が全国一位、総人口増加数が第2位となっています。2040年まで人口増加が見込まれており、継続的な住宅需要が期待できます。

 

福岡市 マンション面積帯別平均家賃

出典:家賃動向 全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2024 年 12 月)

 

「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」の大規模再開発により、雇用の場が拡大し、県外からの移住者が増加中です。アットホーム株式会社の調査によると、福岡市のファミリー向け賃貸マンションの家賃上昇率は前年同月比11.6%増となっており、全国の主要13エリア中でトップとなっています。

 

 

まとめ

本記事では、不動産投資の新たな選択肢として「60㎡ファミリーマンション」の可能性を詳しく解説してきました。

 

従来の定番であるワンルーム投資も決して否定されるものではありませんが、成功を収めるには人口動態や都市計画を深く読み解く、より厳しいエリア選定眼が求められる時代になっています。一方、60㎡マンションは、リモートワーカーから子育て世帯、シニア層まで幅広いターゲット層のニーズに応えられる多様性を持ち、データ分析からも長期的な収益安定性と優れた出口戦略を確認できました。

 

特に関東圏と福岡では、人口増加や大規模再開発により、ファミリー向け物件の需要が継続的に高まっており、60㎡マンション投資は短期的なハイリターンを狙うものではなく、時代の変化に強い普遍的なニーズを捉えた「手堅く賢い」長期戦略と言えるでしょう。

 

重要なのは、ご自身のライフプランやリスク許容度に合った投資手法を見つけることです。まずは一つの可能性として、本記事でご紹介したような視点で情報を集め、比較検討してみてはいかがでしょうか。

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